1490 でんでん虫の季節 白居易の詩に思う

梅雨は憂鬱(ゆううつ)な季節だ。じめじめしていて気持ちもカラッとしない。うっとうしいニュースも少なくない。朝、散歩をしていると、道の真ん中にカタツムリが2匹いた。道を横切ろうとしているようだ。カタツムリも懸命に生きようとしているのだろう。 かたつむり甲斐も信濃も雨の中 飯田龍太 飯田龍太は山梨県出身の俳人で、生涯のほとんどを山梨で過ごした。父親はホトトギス派の飯田蛇笏。山本健吉はこの…

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1487 嫌われる鳥でも ヒヨドリが玄関脇に営巣

野鳥の中で、ヒヨドリは全体が灰色と姿も美しさとは程遠く、鳴き声もピーヨ、ピーヨとやかましい。冬、庭のガーデンテーブルにミカンを置くとメジロがやってくるが、ヒヨドリがついてきてメジロを追い払って、食べ尽くしてしまう。そんなヒヨドリを好きだという人はそういないのではないか。私もヒヨドリは好きになれない。だが、最近、このヒヨドリと付き合う日々が続いている。 それは、私の家の玄関横にあるカクレミノ…

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1474 「スティグマ」助長の責任は ハンセン病患者の隔離法廷

最高裁は、かつてハンセン病患者の刑事裁判などを隔離された療養施設などに設置した特別法廷で開いていたことに対し報告書を公表し謝罪した。「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわびする」という内容で、「特別法廷は憲法の公開の原則に違反する」という有識者委員会の指摘は受け入れず、しかも謝罪したのは寺田逸郎最高裁長官ではなく、事務方トップの今崎幸彦事務総長だっ…

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1469 つり橋と日本列島 明日への希望を

熊本で14日夜、最大震度7(激震、家屋の30%以上が倒れ、山崩れや地割れができる)という強い地震が発生し、多くの被害が出ている。気象庁が定めた震度階級のうち最も高い( 強い)震度であり、九州では初めてという。日本が地震国であることを再認識させ、あらためてこのような国土に立地する原発の安全性に危惧を抱くのだ。 物理学者の寺田寅彦は、日本列島の特徴を「平生地震の研究に関係している人間の目から見…

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1458 俳句は謎めいた水晶球・おかしみの文芸 ある句会にて

「俳句は硬直した読みしかできない標語ではなく、謎めいた水晶球のごときもの、すなわち詩でなければならない」。作家で俳人の倉坂鬼一郎は『元気が出る俳句』(幻冬舎新書)の中で、理想の俳句についてこんなふうに書いている。正岡子規を愛する人たちが集まった恒例の句会に参加したが、「謎めいた水晶球のごとき詩」の域に達するのは難しいと痛感した。 俳人の金子兜太は『俳句のつくり方が面白いほどわかる本』(中経…

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1445 うぐいすの初音を聞く朝 ホーホケキョは雄鳥

ラジオを聞きながら散歩をしていたら、うぐいすの便りをやっていた。きょうは九州の佐賀、四国の高知、さらに関東の神奈川で初音を聞いたというのである。私の住む千葉市はまだまだかなと思って聞いていると、イヤホンを付けた耳に懐かしい響きが飛び込んできた。聞き間違いかとイヤホンを外すと、やはりうぐいすが近くで鳴いている。「春告鳥」ともいうが、今年は例年より春の到来が早い。 手元の鳥類の図鑑や百科辞典に…

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1431 冬・翡翠との出会い 『よだかの星』を読む

近所の公園でカワセミを見た。俳句歳時記を調べると、「雀より大きいカワセミ科の鳥で全体が青緑色、いわゆる翡翠の玉に似てきわめて美しい。翡翠は異称で、雄を翡、雌を翠という。嘴は黒くて鋭く長い。夏、渓流や池沼に沿った杭や岩・樹枝の上から魚を狙い、見つけると急降下して捕える。飛翔は直線的で、飛翔中にツィーという声で鳴く」(角川学芸出版)と出ており、夏の季語に入っている。だが、私が住む地域(千葉市)では、…

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1430 大空に輝く初日に寄せて 届いた「古里はいま」の詞

「大空のせましと匂う初日かな」(田川鳳朗) 6時半前に起き、近くの公園のラジオ体操会場に行くと参加者は10人余と普段の3分の1程度しかいない。東の空には金星が西の空には半月と木星が輝いている。体操が終わって、散歩コースの調整池に向かう。7時。次第に東の空が茜色に染まり始め、太陽が姿を現した。鳳朗の句のような初日の出の光景だ。 俳句歳時記(角川学芸出版)には、初日の出は「年が改まった感…

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1426 風景との対話 冬の空を見上げて

朝焼を見た。俳句歳時記(角川学芸出版)で調べてみると、夏の季語の天文の項にあって「日の出間際の東の空が赤く染まる現象で、夏に多い。俗に朝焼の日は天気が下り坂になるといわれる」という説明が付いている。それにしても、空気が乾いたこの季節(冬)の朝焼は見事であり、道行く人も「きれいですね」と声をかけてきた。 昼の時間が一番短い冬至は、ことしは12月22日である。毎朝、同じ時間帯に散歩をしてい…

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1412 湖とりまく山の紅葉 日光にて

「湖をとりまく山の紅葉かな」 俳人の正岡子規が日光を訪れたのは明治25年10月30日のことだ。前日、宇都宮に入った子規はこの日、日光に足を伸ばし、華厳の滝や中禅寺湖を見て、翌31日に東照宮に参拝している。子規はこの旅で『日光の紅葉』という俳句入りの短い随筆も書いている。冒頭の句はこの作品の中の一句である。ことしの紅葉は例年より早いらしい。先日訪れた日光は、子規の句のような錦繍の季節を迎えていた。…

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1396 子規の9月 トチノミ落ちて秋を知る

俳人の正岡子規が亡くなったのは1902年(明治35)9月19日で、白露の末候「玄鳥去る」(つばめさる)のころだ。当時は秋のたけなわだったかもしれないが、現代は残暑厳しいころである。ロンドンに留学中だった親友、夏目漱石に子規の訃報が届いたのはそれから2カ月半後のことで、漱石は冬のロンドンで5句の秋の句を作った。そのうちの1句に「手向くべき線香もなくて暮れの秋」という、「暮れの秋」という微妙な表現を…

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1394 ああ田沢湖よ 秋田を歩く

過日、晩夏の秋田を歩いた。角館も田沢湖も人影はまばらで、昨今話題の中国人観光客の姿も見かけなかった。秋田新幹線の田沢湖駅はふんだんに秋田杉を使った美しい建物だった。私がこれまで見た中では北海道の旭川駅とともに気に入った建物だ。だが、駅前は寂しく、たまたま昼食に入った店の料理はひどかった。 親戚の家族とともに入った店には先客として15人くらいの学生とみられる若い男女がおり、まだだれも料理…

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1393 「現代を憂え、戦後をかみしめる」 ある句会にて

何度も書いているように、今年は戦後70年である。この間、日本は平和を享受してきた。だが昨今、政治の世界では国の防衛について、大きな進路変更を迫る動きがあることはご承知の通りである。そんな政治とは別にして、今年の戦没者慰霊式典で天皇は「さきの大戦に対する深い反省」という言葉を述べ、日中戦争・太平洋戦争に対する明確な姿勢を示した。そんな中で同好の士による句会が開かれ、兼題の一つである「終戦記念日、終…

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1331 貫く棒のごとき生き方 正月雑感

去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの 高浜虚子 エーゲ海の日の出  北海道の友人が描いた私の散歩道の風景  同・北海道に咲くオオバナノエンレイソウ 毎朝、近所の公園でやっているラジオ体操に参加して1年半になった。40人ほどの参加者は昨年の11月下旬から半減した。寒い期間は遠慮しようという人も少なくない…

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1312 山茶花の赤い花 温暖化で早まる開花時期

遊歩道にけやきの葉が舞落ちる季節になった。けやきの木を見上げると、茶や赤い色が増している。10月も最終週になったのだから、落ち葉が増えるのは当然なのだ。近くの公園では、山茶花の赤い花が咲き出した。ことしの立冬は来週の11月7日だが、冬はもうそこまで近づいている。 日本の七十二候で、立冬の「初候」は「山茶始めて開く」(この山茶は、椿ではなく山茶花のこと)だ。 夏目漱石は「山茶花の垣…

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1300 いわし雲の季節に 子規去り112年

俳人の正岡子規が亡くなったのは明治35年(1902)9月19日だった。既に112年が過ぎている。秋の彼岸入りのころで、秋真っ只中のこの世との別れだったといえる。朝、空を見上げたら、鰯雲(いわしぐも)が浮かんでいた。 この雲の正式名称は巻積雲(けんせきうん)だが、鰯雲のほか鱗雲(うろこぐも)、鯖雲(さばぐも)とも呼ばれる秋の空を象徴する雲である。 俳句歳時記(角川学芸出版)の「鰯雲」の…

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1256 はびこる「緑の怪獣」 繁殖力旺盛なクズがイタズラ・注意看板を覆う

朝の散歩の途中、調整池の周りで写真のような看板を見た。看板には「かいだんちゅうい あぶない!」の文字と、青い体をした伝説の生き物・カッパらしいものが池にはまっている。その看板をツル性の植物がぐるぐると巻きつき、怪しい雰囲気を醸し出している。それは「緑の怪獣」の異名を持つクズ(葛)の仕業だった。繁殖力の強いクズがこの周辺でも確実に生息範囲を広げている。 『週末のナチュラリスト』(パキラハ…

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1247 懐かしきは夕菅の花 季節の花に寄せて

ことしも私の散歩コースにユウスゲ(別名、黄菅)と似た黄色い花(ヘメロカリスらしい)が咲き始めた。かつてユウスゲはそう珍しくはなかったが、都市化現象が進んだ影響で一部の地域では絶滅危惧種に指定されるほど、姿を消しているという。高原に自生し、軽井沢を代表する花といわれる。一方、ヘメロカリスはユウスゲやカンゾウ(ワスレナグサ)類を品種改良したもので、絶滅の心配はない。まだ一輪しか咲いていないが、花期は…

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1244 飛び立ったキジバトの雛 鳥たちに見た生命力

野鳥が巣立ちをするのを初めて見た。きょう9日夕方のことである。わが家の東側にあるキウイフルーツにキジバトが巣をつくったのは5月7日のことで、さらにその後卵を産み、この月の26日には雛がかえった。 それから順調に育った雛たち(2羽)が、空へと飛び立った。巣づくりから1ヵ月余、新しい生命は健やかに成長し、私たち家族の下を去った。寂しいような、うれしいような複雑な思いで雛たちと別れた。 キ…

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1243 ひっそりと咲く夏アザミ 春から秋までの路傍の花

散歩コースの調整池の周囲にアザミの花が咲いている。アザミは漢字で「薊」と書く。俳句の季語は春である。立夏はとうに過ぎているが、キク科の植物であるあざみは種類が多く、春から秋にかけて花が咲き続けるという。このうち夏に咲くアザミ を「夏薊」といい夏の季語になっている。 雑草に混じって咲く紫の花は可憐である。きょうの朝も夏薊の花を見て足を止め、「あざみの歌」もあったはずだ、どんな歌だった…

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1236 薔薇が咲く季節 香りに誘われて…

薔薇の季節になった。薔薇好きが高じて、バラ園を運営しながら句作を続けた俳人がいる。長い間、俳誌「みちのく」を主宰した原田青児(2013年1月、94歳で死去)である。作家で俳人の倉阪鬼一郎が原田のことを「薔薇の俳人」と呼んでいるように、原田は数多くの薔薇に関する句を残した。 原田以外でも薔薇は俳人たちの心を動かすようで、かなりの名句が生まれている。薔薇は古代から色と香りが愛されてきて5月が最…

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1211 雛祭り終え菜の花の季節 ある句会にて

正岡子規の研究をライフワークにしている知人の呼び掛けで、2011年夏から世代の近い人たちが集まり、酒を飲みながら子規のことを中心によもやま話をする「子規を語る会」の会合が開かれている。私も参加しているその会合がいつの間にか9人の「句会」へと発展し、先日、今年初めての会が開かれた。私を含めほとんどのメンバーはこれまで俳句とは縁のない生活を送っており、事前に宿題のように出される「兼題」と当日の試験と…

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1192 冬の日の東京タワー 富士山隠す寒の靄(もや)

東京タワー(高さ333メートル)が1958年12月23日に完成してから、55年が過ぎたという。半世紀以上も東京のシンボル的存在だったタワーも、東京スカイツリー(634メートル)という倍近い超高層建築物の登場でやや影が薄くなった感がある。見慣れた存在とはいえ、入ったのは高校生のころと子どもと一緒だったかなり以前の2回しかなかった。エレベーター事故のため休止していた特別展望台(250メートル…

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1191 子規と漱石の青春 伊集院静の「ノボさん」

伊集院静の新作「ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石」は、日本の文学史上に大きな足跡を残した2人の交遊をテーマにした小説だ。小説とはいえ実在した人物を取り上げているため、ほぼ史実に沿った内容といえる。 巻末に参考資料が出ていないので、どのような文献を利用したのかは定かではないが、子規の生涯を軸に史実を基にして作家として許される範囲で色付けを施しながらまとめた作品ではないかと思った。 米国…

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