1850 人類登場時代のチバニアン 地質年代に日本名認定

 
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 国際地質科学連合は17日、千葉県市原市にある約77万4000~12万9000年前の地質時代を「チバニアン」(千葉時代)と呼ぶことを決めたという。地質年代に日本の地名が付くのは初めてのことである。ここまで至るには一部学者による反対行動などの紆余曲折があったが、「チバニアン」は世界的な地質名として認知されたことになる。私は4年近く前、この場所に行き、ブログに記した。この機会に当時のブログを以下に再掲する。


 千葉の養老渓谷に出掛けたことがある人は多いだろう。自然が美しく、温泉もある。そこにもう一つの隠れた名所があることを最近知った。地質学的に貴重な場所で、地質学の専門用語でいうと「地球磁場逆転期の地層」と呼ぶ。養老渓谷から流れ出ている養老川沿いの崖面(露頭)にあり、ことし8月末から9月初めにかけて開催される地質学の交際会議でこの場所が磁場逆転期の地層として「国際模式地」に選ばれるかもしれない。その現場を地球の驚異を感じながら歩いた。

 かつては地球の地磁気の向きは南北逆だったという。地磁気というのは、地球が示す磁気的現象で、地球を大きな磁石に見立てたときのN極とS極の向きはこれまで何度も逆転、最後の磁気逆転の時期は約77万年前だったと、国立極地研究所などの研究グループが2015年5月に発表している。その磁場逆転した証拠とした地層が養老川沿いの崖面(千葉セクション)だ。

 この場所に行くには、養老渓谷に向かう県道から少し外れて右に上った市原市の田淵会館が目印になる。地区の集会場と思える会館の駐車場に車を置き、山道を約500メートル下って行くと養老川が流れ、川の左崖には以下のような案内表示があった。

「地球磁場(N極・S極)逆転期の地層 この付近の地層は、地球の磁場(磁極)が反転していた時代の深海底に積もってできました。現在の方位磁石の針は、地球のほぼ北を示しますが、この時代にはほぼ南を示していました。その証拠を示す海底の地層が露出し、最もよく見ることのできる場所は、地球上でイタリアと日本のここ市原市の田淵だけです。緑:現在と同じ磁場の地層 赤:磁場が逆転していた時代の地層 黄:磁場がふらふらしていた時代の地層」

 その横の崖面を見ると、緑、赤、黄3色の印が縦に付けられていて、磁気が変動したことがよく分かる。房総半島は、かつては深い海の底にあり、千葉セクションといわれるこの場所は堆積した地層を見ることができるため、地質学者による研究の対象となってきたのだという。

 同じように、磁場の逆転期を示す地層はイタリアの2カ所でも見つかっている。ユネスコの国際地質科学連合(IUGS)はことし8月末から9月初めにかけ南アフリカのケープタウンで国際会議を開き地質年代の境界を最も観察・研究しやすい地層を「国際標準模式地」として指定する予定だ。このうち市原とイタリアの3カ所は新生代第4紀更新世の前記と中期の境目の模式地の候補になっており、市原については「チバニアン」(千葉時代の意味のラテン語)という名前で申請されるという。

 たまたま訪れたのは5月の初め。天気は良く、養老川まで下る道は狭いとはいえ舗装されていて、歩くのは快適だった。養老川が見えてくると舗装は終わり、泥濘の道になった。川べりはすべりやすくて危ない。スニーカーできたことを後悔し、長靴を持ってくればいいと思った。田淵会館脇の地層へ向かうスタート地点には、案内表示とともに日本とイタリアの国旗が掲揚されていた。3カ所の候補地のうちどこが模式地に指定されるか分からないが、晩夏のニュースが楽しみだ。

水温む渓谷稀有な地層あり(2016.5.2)

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