1815 米大統領とオオカミ少年 ハリケーン進路騒動

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 古代ギリシア(紀元前6世紀ごろ)の寓話作家イソップ(アイソーポス)の『イソップ寓話集』は、様々な事象を寓話(教訓や風刺を含めたたとえ話)にしたものだ。その中にある「オオカミ少年」(あるいは「嘘をつく子ども」)の話は、よく知られている。朝刊の国際欄にこの話を連想させる記事が載っていた。オオカミ少年のように思えるのは、またしても米国のトランプ大統領だった。

 またしても、という表現を使ったのは、トランプ氏がこれまで何度もツイッターで騒動を起こしてきたからだ。今回もお騒がせに使われたのは、ツイッターだった。新聞報道によると、今月上旬、米東部にハリケーン・ドリアン接近したが、トランプ氏は1日、ツイッターで上陸が予想されたフロリダ州だけでなく西側にあるアラバマ州も「直撃して予想以上の被害が出そうだ」と、警告した。

 当時、同州に被害が出ることは予想されておらず、国立気象局の地元事務所は直後、「アラバマはドリアンの影響は受けない」という否定のツイッターを発信した。結果的に気象局の予想通り、アラバマで被害はなかった。このため米国メディアが「トランプ氏のツイートは不正確」と批判すると、トランプ氏は自分が正しいと主張し、批判報道を「フェイクだ」と攻撃しているのだ。

 騒ぎに輪をかけたのは、国立気象局を所管する米海洋大気局(NOAA)が無署名でトランプ氏を支持する声明を発表したことだ。これに対しても米メディアは、政府高官がNOAAの幹部に解任をちらつかせながら対応を迫ったということなど、具体的事実を挙げ「ホワイトハウスから圧力があった」と報道した。

 寓話「オオカミ少年」は、こんな内容だ。村の羊飼いの少年が退屈しのぎに「オオカミが来た」と嘘をつき大人が武器を持って待ち構える。しかしオオカミは現れない。その後も少年は同じ嘘を繰り返す。その結果、大人たちは少年の言うことを信じなくなり、本当にオオカミが現れた時には誰も助けに出ず、村の羊全部がオオカミの餌食になってしまう。

 この寓話には、人は嘘つきと思われると、たまに真実を話しても信じてもらえない。正直に生きることが大切――という教訓があることは言うまでもない。誤報を繰り返して信頼を失うことを「オオカミ少年効果」とも呼ぶそうだ。トランプ氏のツイッター発信は「オオカミ少年的」と言われても仕方がないだろう。「政治的圧力で気象予報を変えるよう求めるべきではない」という米科学振興協会(AAAS)の声明には、科学者たちの深い憂慮が込められているように思える。台風15号の進路についても正確には予測できなかった。科学に素人の政治家がツイッターなどで軽々に情報を流すことは厳に慎むべきことである。

 写真は沖縄で見かけた美しい姿の蝶。本州では珍しくないが、沖縄では珍しいといわれるアゲハ(ナミアゲハ)?(記事とは無関係です)。


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