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zoom RSS 1531 音楽は希望の使い 市民オーケストラの映画「オケ老人」

<<   作成日時 : 2016/12/01 11:35   >>

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 「オケ老人」という題名に惹かれて映画を見た。老人が中心の市民オーケストラを、杏演ずる高校の数学教師が指揮するストーリーだ。杏の指揮ぶりが真に迫り、オーケストラのメンバー役の俳優はベテラン(笹野高史、左とん平、小松政夫、石倉三郎、藤田弓子、茅島成美ら)をそろえ、映画の面白さを引き立てている。

 現在、全国に幾つこうした市民オーケストラがあるのか分からない。だが、映画のオーケストラと同様、それぞれに歴史を持っているはずだ。仙台在住の友人、松舘忠樹さんも市民オーケストラで演奏を楽しんでいる一人である。所属するのは「仙台シンフォニエッタ」という1998年に設立された弦楽器を主体とする室内オーケストラで、ここでコンサートマスターをしている。

 松舘さんは『アマチュアオーケストラは楽しい』(笹気出版)という本を出している。それによると、「仙台シンフォニエッタ」のメンバーは、「20〜30歳台の若い人もいるが、還暦を過ぎた世代や昭和初年生まれという元気な老年が主力」(「中高年合宿は楽し」より)である。松舘さんは元NHKの社会部記者で、医者や学校の先生、家庭の主婦、会社員と様々な人で構成しており、「オケ老人」とよく似ている。

 アマチュアの団体はもめごとが多いという。「オケ老人」も、オーケストラが分裂し、残ったのが老人ばかりという設定だ。松舘さんがかつて所属していたアンサンブルも、ワンマンリーダーの「アマチュアはプロの演奏家を引き立てるのが役割」という方針に反発して、松舘さんら多くのメンバーが身を引き、新たに「仙台シンフォニエッタ」を結成した。いまでは「仙台で一番楽しい演奏をするオーケストラ」という評判という。
 
 仙台といえば、2011年3月11日の東日本大震災を忘れてはならない。松舘さんは、大震災後被災地を訪ね歩き、その実情を「震災日誌in仙台」というブログで報告し続けている。さらに、「仙台シンフォニエッタ」は被災した人たちを招待し、鎮魂と再生を願う演奏会を毎年開催しているのである。

 人は、音楽に何を求めるのだろう。「希望の使い」と書いたのは音楽評論家の吉田秀和だった。大震災で大事な人と財産を失った人たちに、希望を持ってもらうことは容易ではない。だが、音楽はその希望の使いという役割を果たすことが可能なのである。それを松舘さんらは実践しているのだ。映画「オケ老人」に登場する老人たちも楽器を演奏することが生きがいであり、音楽が希望の使いであることを私たちに教えてくれている。

 追記 松舘さんからの連絡によると、仙台シンフォニエッタはこのところ若返りが進み、最近開いたコンサートでは前半の2曲でトップに座った新コンマスは30歳台の弁護士で、団員とし大学出たての女性や現役の大学生も入団したという。そして、松舘さんは今回のコンサート限りでコンマスを降りた。今後は一団員として音楽を楽しむのだろう。

 「震災日誌in仙台」

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 時々、ふらりとこのブログに寄っています。少しばかり感じるところが似かよっているのでしょうか。[オケ老人]のタイトルに惹かれて、今日、覗いてきました。札幌狸小路に近いシネマコンプレックスの一画は100席のステージに、どう見ても私の年代(団塊、だんご?)以上の方がどどっと押し寄せ盛況、にぎやかでした。開演初めの30分程度は映画よりこの方たちを観察する方に気を取られていましたが、何と言って良いのでしょうか、音楽が絡むとぐっとこみ上げる場面に少し、ちゅうちょしてしまいます。話はそれますが、漫画の「ピアノの森」でも毎回、こみ上げてくるものの存在に、これは何だろうと思い続けていました。私の中で音楽が生きているのでしょうか。「オケ老人」の映画を見終えた後は、おかげさまで幸せな、温かい気持ちで帰路に就くことができました。しかし最近の日本映画はこじんまりと、温かくまとまっているのが多いですね。私自身も、それでほっとしているのですが。数日前のBSNHKで見た「アラビアのロレンス」のスケール、映像表現力と比べてはいけないのですが、団塊世代の悪癖でしょうか、少々気になります。庭の写真もずいぶん出来すぎ(人工的)ですね。勝手なコメントでしたが、ブログは結構楽しみに拝見しています。では、氷雪で足元がおぼつかない北国より。
tagsap(札幌)
2016/12/02 22:37
tagsap様
 コメントありがとうございました。最近の日本映画については私も同感です。制作費をあまりかけず、制作期間も短くという背景があるのでしょうか。最近の映画では「この世界の片隅で」(アニメですが)もよかったと思います。
写真は、庭ではなく上野の国立博物館前の風景です。(説明をつけるのを忘れました。すみません)
 私も札幌で暮らしたことがあります。転ばぬよう気をつけてください。
遊歩
2016/12/05 09:07

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