テーマ:自然

1903 「星月夜」に一人歩いた少年時代 想像の旅フランス・長野・茨城・富山へ

 ゴッホが、代表作といわれる『星月夜』(外国語表記=英語・The starry night、フランス語・ La nuit étoilée、オランダ語:・De sterrennacht=いずれも邦訳は星の夜)を描いたのは1889年6月、南フランスサン・レミ・ド地方プロヴァンスにある修道院の精神病棟だった。日本では星月夜は「月は出ておらず、…

続きを読むread more

1898 住みにくい世こそ芸術を 沖縄戦終結から75年の日に

 世界のコロナ禍は収まらず、1000万人感染(日本時間23日午前9時現在、感染者905万7555人、死者47万665人=米ジョンズ・ホプキンス大集計)という恐ろしい現実が近づいている。日本は梅雨、そして劣化という言葉を通り越したひどい政治状況の中で鬱陶しい日々が続いている。本当に「住みにくき世」になっている。そんな時、夏目漱石が『草枕』…

続きを読むread more

1896 地図の旅、札幌へ そこはアカシアの季節

 地図を見ながら想像の旅を続けている。山形を出発した旅は九州へと移り、さらに沖縄を経てヨーロッパまで行った。今回はヨーロッパから帰国し、北海道へと歩を進める。想像の旅だから、強行軍でも疲れることはない。札幌の知人のフェースブックを見ていたら、「アカシアの季節」という文字が飛び込んできた。そうか、あの白い花が札幌の街を包んでいるのかと想像…

続きを読むread more

1892 青春の地は金峰の麓村 地図を見ながらの想像の旅(2)

  閑古啼くこゝは金峰の麓村 山形県鶴岡市生まれの作家、藤沢周平(1927~1997)の句(『藤沢周平句集』文春文庫)である。藤沢の死後、主に鶴岡で集められた色紙や短冊などに見られた7句のうちの1句で、藤沢は鶴岡師範学校を出た後、当時の湯田川村立湯田川中学校(現在は鶴岡市立鶴岡第四中学校へ統合)の教師(国語と社会)をしていたことがある。…

続きを読むread more

1890 空いっぱいに広がる山の輝き・さやけき鳥海へ 想像の旅(1)

 ここにして浪の上なるみちのくの鳥海山はさやけき山ぞ 山形出身の歌人、斎藤茂吉の歌集「白き山」(1949=昭和24年)に収められている山形、秋田県境にある鳥海山(標高2236メートル)を称えた歌である。名作『日本百名山』(新潮社)で、深田久弥は「名山と呼ばれるにはいろいろの見地があるが、山容秀麗という資格では、鳥海山は他に落ちない。眼路…

続きを読むread more

1879 5月の風に吹かれて タケノコとイノシシの話

 世界も日本もコロナ禍によって、大きな打撃を受けている。命が、生活が奪われていく。だが、自然界はこうした人間界とは無縁のようだ。散歩コースでは野ばらやアザミが咲いている。蛇の姿も見かけた。季節は巡り、二十四節気の一つ、立夏(ことしは5月5日)から1週間が過ぎた。さわやかな5月である。季節の便りのタケノコが友人から届いたと思ったら、故郷か…

続きを読むread more

1877 絶望の裏返しには希望が 東野圭吾『クスノキの番人』を読む

 古来、日本には神が木に依り付くという言い伝えがあった。全国の樹齢が千年以上という巨樹は御神木として、多くの人々の信仰の対象になった。東野圭吾の近刊『クスノキの番人』(実業之日本社)は、御神木である巨樹のクスノキに何かを求めようとする人たちと、そうした人たちをクスノキに案内することになった若者の物語だ。ベストセラーを連発するこの著者の作…

続きを読むread more

1874 窓をあけよう 風は冷たくとも

 前回に続いて、詩の話です。大分県出身のクリスチャンで詩人、江口榛一(1914~1979)の「窓をあけよう」をこのブログで取り上げたのは8年前の2012年のことでした。あらためてこの詩を読み返してみました。最近の社会情勢に合致するような言葉が、この詩には含まれていました。   窓をあけよう。   窓をあけると風がはいる。   …

続きを読むread more

1867 ライラックがもう開花 地球温暖化ここにも

 つつましき春めぐり来てリラ咲けり 水原秋櫻子      近所を散歩していたら、ライラック(リラ)の花が咲いているのを見つけた。まだ4月に入ったばかりだから、例年よりもかなり早い開花だ。空は青く澄み渡り、紫色の花からは微かな香りが漂ってくる。世界を覆う新型コロナウイルス感染症の猛威という現実を忘れ、つかの間美しい花に見入った。 …

続きを読むread more

1865 マロニエとクスノキの対話 困難な時代だからこそ

 3月もきょうで終わり。木々も芽吹き始める季節である。私が体操広場と呼ぶ広場にあるマロニエ(トチノキ)も少しずつ葉を出しつつある。葉の出し方は個体差があり、新緑が美しい木もあれば、まだ全く芽吹きのない木もある。明日から4月、広場は急速に緑に包まれる。そう、4月は「生命力」を感じる季節なのだ。2年前のブログでキンモクセイとけやきの架空対談…

続きを読むread more

1860 東日本大震災から9年 被災地訪問記再掲

 きょうで東日本大震災から9年になる。9年という歳月は日本社会に様々な変化をもたらした。大震災のあと私が初めて被災地に入ったのは岩手県だった。以下に当時、別の媒体に書いた訪問記を再掲する。(政治は民主党から自民党政権に代わり、第2次安倍政権は現在も続く長期政権になった。 今、日本だけでなく世界では新型コロナウイルスとの闘いに目が向けられ…

続きを読むread more

1850 人類登場時代のチバニアン 地質年代に日本名認定

   国際地質科学連合は17日、千葉県市原市にある約77万4000~12万9000年前の地質時代を「チバニアン」(千葉時代)と呼ぶことを決めたという。地質年代に日本の地名が付くのは初めてのことである。ここまで至るには一部学者による反対行動などの紆余曲折があったが、「チバニアン」は世界的な地質名として認知されたことになる。私は4年近…

続きを読むread more

1849 福島の昆虫や野鳥に異変か「慢」の時代への警鐘

 福島に住むジャーナリストの大先輩から届いた賀状に気になることが書かれていた。昨年からトンボが飛んでいない、コオロギの鳴き声も聞こえない、セミの声は弱々しい、ホタルの光も印象が薄い……。昆虫だけでなくスズメやツバメなどの野鳥の数も減ったように思う、というのである。間もなく東京電力福島原発事故から9年。福島に何かが起きているのだろうか。 …

続きを読むread more

1839 冬の朝のアーチ状芸術 虹の彼方に何が……

 今朝は天気雨が降った。そのあと調整池の上には見事なアーチ状の虹が出た。虹は、雨上がりの時などに太陽と反対方向に現れる色のついた光の輪であり、太陽の光が雨滴の中で屈折して反射して発生するものだ。虹については世界で様々な言い伝えがあり、虹を指差すと悪いことが起きると信じている地域もあるそうだが、一方で虹に夢や希望を託す人も多いかもしれない…

続きを読むread more

1835 季節外れマロニエの緑葉 人生至宝の植物に異変

  ラジオ体操をやっている広場に約20本のマロニエ(セイヨウトチノキ)がある。ほとんどの木が葉を落としつつあるのに、なぜか1本だけ青々と葉が茂っている。桜の花が季節外れに咲いたなどという話は聞いたり、実際に見たりすることがあるが、季節外れにマロニエの葉が茂るのを見たのは初めてだ。気候変動の影響だろうか。今年は植物も戸惑う年といえるようだ…

続きを読むread more

1829 本を繰り返し読むこと ヘッセ『郷愁』とともに

 高橋健二訳・ヘルマン・ヘッセの『郷愁』(新潮文庫)は、まさしく名著である。アルプスの高山に囲まれ、美しい湖水風景が広がるスイス山間部の小さな村に生まれ、成長するペーター・カーメンチントという主人公の自己形成史ともいえる、透明感にあふれる作品を再読した。自然の抒情的描写と自己考察で進行する作品は、初めて読んだ昔とは異なる感慨を与えてくれ…

続きを読むread more

1828 ただ過ぎに過ぐるもの 優勢なセイタカアワダチソウ

 散歩コースの遊歩道から調整池を見ると、池の周辺の野原は黄色い花で埋め尽くされている。言わずと知れた外来植物のセイタカアワダチソウである。例年、この花とススキは生存競争を繰り返しているのだが、今年は外来植物の方が圧倒的に優勢だ。この道を歩き続けてかなり長い。そして、2つの植物の生態の変化に飽きることはない。  手元の百科事典による…

続きを読むread more

1825 あの川もこの川も氾濫 想像力欠如の楽観主義

 千曲川や多摩川、阿武隈川、那珂川という著名な川から、耳慣れない川まで数えることができないほどの河川が氾濫した。台風19号による未曽有の大雨は関東甲信越、東北を中心に甚大な被害を及ぼした。被害の全容はまだ分からない。浸水被害を伝えるテレビの映像を見ながら、台風15号に続く自然の脅威に身をすくめる思いの時間を送っているのは私だけではないだ…

続きを読むread more

1818 地球温暖化に背を向ける大人への警鐘 グレタさんの訴え

 16歳の少女の訴えを全世界の大人はどう受け止めたのだろうか。23日にニューヨークの国連本部で開かれた気候行動サミット。一番注目を集めたのは16歳の少女、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの大人への怒りを込めたスピーチだった。地球温暖化に背を向ける政治家・大人が数多く存在する中で、グレタさんの訴えが空振りにならないことを願う…

続きを読むread more

1815 米大統領とオオカミ少年 ハリケーン進路騒動

 古代ギリシア(紀元前6世紀ごろ)の寓話作家イソップ(アイソーポス)の『イソップ寓話集』は、様々な事象を寓話(教訓や風刺を含めたたとえ話)にしたものだ。その中にある「オオカミ少年」(あるいは「嘘をつく子ども」)の話は、よく知られている。朝刊の国際欄にこの話を連想させる記事が載っていた。オオカミ少年のように思えるのは、またしても米国のトラ…

続きを読むread more

1814 北海道に生きた農民画家 神田日勝作品集から

 絶筆の馬が嘶く(いななく)夏の空 農民画家といわれた神田日勝さんが32歳でこの世を去ったのは、1970年8月25日のことである。絶筆となった絵は、この句(妻の神田美砂呼=本名ミサ子さん作)にあるように馬をモチーフにした作品(未完成)だった。私がこの画家を知ったのは初めて北海道に暮らした時で、30年近く前だった。その後、この画家のことは…

続きを読むread more

1813 天災と人災「小径を行く」14年目に

   台風15号によって私の住む千葉県は甚大な被害を受けた。中でも大規模停電は、昨年北海道地震で起きた「ブラックアウト」の再現かと思わせた。東京電力によると、全面復旧にはまだかなりの時間を要するという。これほど深刻な災害が起きているのに、なぜかこの日本はのんびりとしている。新聞やテレビを見て私はため息をつくばかりだ。  被害が深…

続きを読むread more

1812 炎暑地獄の9月 台風去って難が来る

   9日未明に千葉市に上陸した台風15号は、最大瞬間風速57・5メートルを記録し、同じ千葉市に住む私は眠れぬ夜を明かした。台風のすごさはテレビの映像で知ってはいたが、それを目のあたりにした。あちこちで街路樹が倒れ、屋根のテレビのアンテナが横倒しになり、瓦も飛んでいる。屋根が飛んでしまったガレージもある。遊歩道にはけやきの倒木と飛ばさ…

続きを読むread more

1811 ツバメ去り葛の花咲く 雲流れ行く季節に

 朝、調整池の周囲にある遊歩道を散歩していたら、多くのツバメが飛び回っていた。そういえば、七十二候の四十五候「玄鳥去(つばめさる)」は間もなく(18日)だ。ツバメは南へと帰る日のために、ことし生まれた子ツバメを訓練しているのだろうか。残暑が続くとはいえ、自然界はツバメだけでなく、次第に秋の装いへと移り始めていることに気が付く。  …

続きを読むread more

1803 涼を呼ぶ寒蝉鳴く 猛暑の中、秋を想う

 猛暑が続いている。暦の上では立秋(8月8日)が過ぎ、きょう13日は七十二候の「 寒蝉鳴」(かんせんなく)に当たり、盆入りである。寒蝉は「かんぜみ・かんせん」と読み、秋に鳴くセミであるヒグラシやツクツクボウシのことをいう。散歩コースの調整池の小さな森で朝夕、涼を呼ぶようにヒグラシが鳴いている。この鳴き声を聞くと、私は秋が近いことを感じる…

続きを読むread more

1795 前倒し夏休みなのに 梅雨寒続く7月

 梅雨寒や背中合わせの駅の椅子 村上喜代子  梅雨寒の気候が続いている。昨年の今頃は猛暑になっていたが、今夏は天候不順で肌寒い日がなかなか終わらない。私の住む千葉市の市立小中校(165校)は、例年より1週間繰り上げて夏休みになる。3連休だから、実質的にきょう13日から8月いっぱいまでの長い休みである。前倒しの理由は予算不足を補うた…

続きを読むread more

1789 雨の日に聴く音楽 アジサイ寺を訪ねる

 きょうは朝から雨が降っていて湿度は高い。ただ、午後になっても気温は約21度と肌寒いくらいだ。それにしても梅雨空はうっとうしい。CDでショパンの「雨だれ」(前奏曲15番 変ニ長調)をかけてみたら、気分がさらに重苦しくなった。仕方なく別のCDをかけ直した。モーツァルトだ。ショパンには悪いが、雨の日もやはりモーツァルトだと思う。 「雨…

続きを読むread more

1786 雨の季節に咲く蛍袋 路傍の花を見つめて

 散歩道で高齢の女性2人が話している。「あら、ホタルブクロがそこに咲いているわよ」「そうね。懐かしいわ。私の子どものころ、この花を『あめっぷりばな』、って言ってたのよ」「そうなの。面白い名前ね。私の学校帰りの道の両脇にもあって、これが咲くと、ああ梅雨に入ったと思ったものよ」  2人は追憶の日をたどるように、話を続けている。2人の邪…

続きを読むread more

1784 いつくしみある地の夏 里山の風景を見る

 室生犀星の詩集『抒情小曲集』のなかの「小景異情」の「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」(その2より)はよく知られている。同じ詩集の「合掌」にも実は心に染みるものがある。福島の里山を訪ねて、その思いを深くした。   みやこに住めど   心に繁る深き田舎の夏ぞ   日を追ひては深む   いつくしみある地の…

続きを読むread more

1779 桑の実は名物そばよりうまい  自然の活力感じる季節

 自然を愛好する人にとって、忙しく楽しい季節である。山歩きが趣味の山形の友人からは珍しいタケノコ「ネマガリダケ(月山筍)」が送られてきて、彼の山歩き姿を思い浮かべながら、旬の味を堪能した。自然の活力を最も感じる季節、病と闘いながら旺盛な食欲を発揮し続けた正岡子規の随筆を読み、庭の一隅の桑の実を観察した。もう少しでこの実も熟れ始める。 …

続きを読むread more