テーマ:映画

1792 新聞記者とは 映画と本から考える

 かつて新聞記者は若者の憧れの職業の一つだった。だが、最近そうした話は聞かない。背景にはインターネットの発達や若者の活字離れなどがあり、新聞自体が難しい時代に直面していることを示している結果なのだろう。そんな時、『新聞記者』という題名に惹かれて、一本の映画を見た。つい最近まで、新聞紙上をにぎわした森友学園・加計学園疑惑を彷彿させるよ…
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1716 茶道と25年の歳月 映画「日日是好日」

「日日是好日」という言葉を座右の銘にしている人がいるだろう。広辞苑を引くと「毎日毎日が平和なよい日であること」と出ている。元々は中国の『碧巌録』(へきがんろく)という禅に関する仏教書の中にある言葉だという。読み方は3通り(にちにちこれこうにち、にちにちこれこうじつ、ひびこれこうじつ)ある。この言葉を題名にした映画を見た。先月亡くなった名…
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1670 虐待死と新幹線殺人 満席の『万引き家族』

 東京都目黒区のアパートで船戸結愛ちゃんという5歳の女の子が虐待で死亡、継父と実母が逮捕されたのに続き、走行中の新幹線車内で22歳の男が乗客を刃物で襲い、女性客を守ろうとした男性が殺される事件が起きた。2つの事件とも家族の在り方が問われる深刻な背景があった。折から、現代の日本社会を風刺するような是枝裕和監督の映画『万引き家族』が先週から…
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1643 言葉を武器にした政治家 映画『ウィンストン・チャーチル』を見る

「戦争には決断。敗北には闘魂。勝利には寛仁。平和には善意」(『第二次大戦回顧録』より)第二次大戦下、イギリスの首相としてナチスドイツ、日本と戦い、連合国を勝利に導いたチャーチルは、この長文の回顧録によって1953年、ノーベル文学賞を受賞した。この人を描いたイギリスの映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』(ジョー・ラ…
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1641 読んだふりの本『一九八四年』と映画『ペンタゴン・ペーパーズ』

 読んでもいないのに見栄を張って読んだふりをしてしまうという本があるという。イギリスではその「読んだふり本」のトップがジョージ・オーウェルの『一九八四年』だと、日本版(ハヤカワ文庫)を翻訳した高橋和久さんが書いている。内容が暗く、難解なだけに買ってはみたものの「積んでおく本」になっていたが、ベストセラーなので読んだかと聞かれたら、読んだ…
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1568 視覚障害者の希望とは 映画「光」が示す先は

 光を失うということは、どのような恐怖なのかは経験者にしか分からない。新潟の知人もその一人である。映画「光」を見て、知人の苦しみを考えた。どら焼きづくりに、ささやかな希望を見つけたハンセン病回復者を描いた「あん」に続く、河瀬直美監督の作品だ。視覚障害者用の映画の音声ガイドづくりが進む中で、視力を失っていく写真家の姿を追った映画のストーリ…
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1547 優れた人との出会いが花の時代 『わたしの渡世日記』から

「人は老いて、ふと我が来し方を振り返ってみたとき、かならず闇夜に灯を見たような、心あたたまる経験を、自分も幾つか持っていることに気づくだろう。それがその人の『花の時代』である。(中略)私の場合でいうならば、優れた人間に出会った時期をこそ、私の花の時代と呼びたい」  子役から長い間、女優として第一線で活躍し、文筆家としても知られた故…
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1531 音楽は希望の使い 市民オーケストラの映画「オケ老人」

 「オケ老人」という題名に惹かれて映画を見た。老人が中心の市民オーケストラを、杏演ずる高校の数学教師が指揮するストーリーだ。杏の指揮ぶりが真に迫り、オーケストラのメンバー役の俳優はベテラン(笹野高史、左とん平、小松政夫、石倉三郎、藤田弓子、茅島成美ら)をそろえ、映画の面白さを引き立てている。  現在、全国に幾つこうした市民オーケス…
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1433 混沌とした時代への訴え 映画『人生の約束』

白銀の立山連峰の威容を見たのは、4年前の1月のことだった。日本海側の冬は晴れる日が少ない。だが、私が訪れた2012年1月下旬の数日は青い空が戻り、高岡の雨晴海岸の後方にそびえる剱岳が美しかった。その白銀の立山連峰を堪能させてくれるのが、映画『人生の約束』(監督・石橋冠、主演・竹野内豊)だ。 時代の最先端を行くIT企業の…
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1422 芸術は歴史そのもの 絵画と映画と

12月になった。季節は冬。人生でいえば長い歴史を歩んできた高齢者の季節である。最近、歴史を考える機会が増えた。それは絵画であり、映画だった。まず、絵画展。「村上隆の五百羅漢図展」(六本木ヒルズ、森美術館)、DIC川村美術館(千葉県佐倉市)の「絵の住処―作品が暮らす11の部屋」の2つ。そして映画は「黄金のアデーレ 名画の帰還」と「ミケラン…
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1420 大量遭難の背景は 映画『エベレスト3D』と原作『空へ』

登山の醍醐味は、困難を乗り越えて頂上に立ったときの達成感なのだろうか。登山をやらない私にはその辺のことは分からない。1996年にエベレスト(8848メートル)で起きた大量遭難で、遭難を免れたジャーナリスト、ジョン・クラカワーが体験したことは、そうではなかった。 大量遭難を描いた映画『エベレスト3D』を見た後、遭難した商業登山隊(ニ…
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1418 画家フジタが生きたパリ 喜びと悲しみを内包した芸術の都

映画「FOUJITA」は、フランスを中心に活動した画家、藤田嗣治(1886~1968)の半生を描いた日仏合作の作品だ。監督は小栗康平、主演はオダギリ・ジョー。藤田といえば、オカッパ頭とロイドメガネで知られ、1820年代のパリで日本画の技法も取り入れた「乳白色の肌」の裸婦を描いて注目を集め、エコール・ド・パリ(20世紀前半、世界各地からパ…
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1388 繰り返してはならない「日本の一番長い日」 8月15日を前に

70年前の今ごろ、日本は太平洋戦争末期の断末魔状態にあった。それでも、旧陸軍を中心とする軍部は「一億総玉砕」を唱え、本土決戦を主張した。極限状況下にあって、人間は狂気に陥る。映画『日本の一番長い日』を見て、それをあらためて感じた。 戦争を終結するためにはどうすべきか。鈴木貫太郎を首班とする内閣は和戦派と戦争継続派に別れて閣内が一致…
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1379 トマス・モアと安保法制  政治家の理性とは

『ユートピア』の著者、トマス・モア(1478~1535)は中世イングランドの法律家・思想家だ。 イギリス史上、最高のインテリで暴君といわれたヘンリー8世(カトリック信者でありながら6回結婚を繰り返した)の離婚に反対したとして反逆罪に問われ、ロンドン塔に幽閉されたのち、斬首刑になった悲劇の人物だ。死後400年後の1935年、カトリッ…
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1374 映画「愛を積むひと」 美瑛を舞台にした大人のメルヘン 

定年になったら田舎暮らしをする―。そんな夢を実現している人たちは少なくないだろう。私の知り合いにも何人かいる。映画『愛を積むひと』は妻の希望で北海道・美瑛に東京から移り住んだ夫婦を中心にした大人のメルヘン、あるいはファンタジーといっていい。そう表現した理由は後で書くが、美瑛の自然美が何より心に沁みた映画だ。 この映画は、米国で出版…
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1371 映画「あん」・社会の片隅で ハンセン病回復者の生き方 

「あん」はハンセン病(末尾に注)回復者の生き方をテーマにした映画だ。主要な登場人物は3人である。どら焼き店をやっている訳ありの男(永瀬正敏)、そこに放課後に通うかぎっ子の女子中学生(内田伽羅•樹木希林の実の孫)、どら焼きのにおいに惹かれてやってきて、働かせてほしいというハンセン病回復者の高齢の女性(樹木希林)である。日本社会…
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1370 映画『おかあさんの木』 忘れてはならない戦争の不条理

ことしは戦後70年。あの戦争は遠い存在になったのだろうか。決して、そうとはいえない。国会では集団的自衛権の限定的行使を容認する安保法制が審議中であり、政権は憲法学者が口をそろえて「違憲」だと断じたことに耳を貸そうとしない、頑なな姿勢をとっている。世の中がおかしな雰囲気になっている。 映画『おかあさんの木』を見た。夫を早くに心臓発作…
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1346 過去と向き合う姿勢 「パリよ永遠に」とメルケル首相来日

来日したドイツのメルケル首相が講演で、第2次大戦中に関係が悪化した周辺国との和解には「過去と向き合うことが重要」との認識を示し、不倶戴天の敵だったドイツとフランスの関係が和解から友情に発展したのは「両国民が歩み寄ろうとしたところから始まった」と語った―というニュースを読んだ。かつてドイツはフランスを占領し、ヒトラーはパリの主要な建造物を…
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1340 帰還兵の悲劇の連鎖 映画『アメリカンスナイパー』

新聞の外信面に「『米軍伝説の狙撃手』を射殺 元海兵隊員に終身刑判決」(東京)という記事が出ていた。イラク戦争を題材にし、現在日本でも上映中の映画『アメリカンスナイパー』のモデルとなった、元海軍特殊部隊の射撃の名手ら2人を銃で射殺した元海兵隊員に対する判決だ。 つい先日、話題の映画を見たばかりだった。映画の幕切れには字幕でアメリ…
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1319 健さんの死 空に一筋の雲  「ひた向きに生きたい」

「高倉健のようにひた向きに生きたい」いつかの酒席で私はこう話したらしい。人間は自分とは遠い存在に憧憬を持つから、私は酔いにまかせてそう言ったのだろうか。 「現在の暦でいうと、2月はいちばん寒い季節だと思います。その寒い季節の真ん中である2月16日が、ぼくの生まれた日です。それと、もう一つ、これは冗談と思って聞いていただければいいこ…
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1313 蘇ったグレース・ケリー 映画「公妃の切り札」

 国の面積が約197ヘクタールとヴァチカン市国に次いで世界で2番目に小さな国が地中海に面したモナコである。人口は3万6千人余とミニ国家だが、金持ちが住む国としても知られ、日本人では元サッカー選手の中田英寿やテニスのクルム伊達らも居住権を持っているという。  モナコの大公レニエ2世とハリウッドの人気スターだったグレース・ケリーが結婚…
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1287 hana物語(29) つぶやき6

「この季節は散歩もいや 私の日記から」  このところ、hanaは散歩を嫌がる。朝も夕方も散歩に連れ出そうとすると、横になって寝たふりをするのである。この暑さに参り、エアコンの効いた部屋の方が楽だと、動物的勘が働くのだろうか。 仕方なく、リードを引っ張り、無理やり散歩に連れ出す。途中までは、帰りたがって、座り込んだりする。その力は…
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1197 時代・歴史を考えるきっかけ 小説「ああ父よああ母よ」と映画「小さいおうち」

最近、加賀乙彦の小説「ああ父よああ母よ」(講談社)を読み、山田洋次監督の映画「小さいおうち」を見た。 小説は1927年に中国の旧満州の地主の4男として生まれた主人公を語り部として、日中戦争から中華人民共和国の誕生を経て共産党独裁という厳しい政治体制の中で、文化大革命など激しく揺れ動く中国社会で過酷な生き方を強いられる中国人家族の物…
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1168 非情な天才と差別に耐えた大リーガー 伝記映画で知るやり返さない勇気

米国の伝記映画を見た。伝記映画というのは、実在した歴史上の人物の半生あるいは生涯を描いた作品だが、これまで制作された数多い伝記映画は完全な伝記や史実に基づいたものではなく、制作者によって創作や脚色されることが珍しくないそうだ。それはさておき、私が最近見た「「スティーブ・ジョブズ」と「42 ~世界を変えた男~」は、既に故人になったアップル…
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1134 人の生き方を問いかけるアニメ 宮崎駿監督の「風立ちぬ」

どんな世の中でも自分の仕事に打ち込む姿は悪くはない。政治や社会情勢に引きずられることなく、仕事ができれば幸せなことだ。宮崎駿監督のアニメ「風立ちぬ」を見て、そう思った。 私たちも含め、多くの人は時代にほんろうされて生きている。このアニメの主人公である堀越二郎は厳しい時代に生きた。だが、彼はそうした時代にあって、戦闘機を設計するとい…
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1085 ソロモン諸島の地震と映画「ライフ・オブ・パイ」 危機を乗り越えるのに必要なことは

マグニチュード8・0という巨大地震が起きた南太平洋のソロモン諸島に、以前旅したことがある。直行便はなく、成田からグアム、ナウル経由で首都ホニアラに入った。 「ソロモン」という呼び方は、16世紀に初めて諸島のひとつ・ガダルカナル島に入ったスペイン人探検家が砂金を見つけ、これこそが探していた古代イスラエルの「ソロモン王」の財宝だと思っ…
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1078 老いることはこうも悲しい 「山田洋次監督の「東京家族」

老いるということは、こうも悲しいのだろうか。この映画を見て、そう思った。人は喜んで老いているわけではない。だが、だれもがいつしか老いていき、社会からも家族からも余計な存在として扱われてしまう。 一人暮らしを選択した主人公(橋爪功)のラストシーンを見て「遠い親戚より近くの他人」という言葉を思い出した。その訳は、映画を見ていただけ…
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1073 「正義と良心・生き方とは」を考える ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」

ミュージカル映画はほとんど見ない。それでも「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)や「王様と私」(1956)など、何本かの映画は心に焼き付いている。この正月、退屈するだろうと思いながら、トム・フーバー監督の英国映画「レ・ミゼラブル」を見た。上映時間158分という長い映画だった。私の予想は完全に外れ、最後まで画面に引き込まれ、俳優たち…
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1043 人間のつながり・悲しみ・不屈の闘志 映画・北のカナリアたち・黄色い星の子供たち・天地明察

最近、相次いで3本の映画を見た。邦画(「北のカナリアたち」「天地明察」)2本、洋画(「黄色い星の子供たち」)1本だ。 3年前、話題になった「告白」という湊かなえの小説は現代の「負」を強調した作品だった。その作者の短編集「往復書簡」の中の「20年後の宿題」が原作とはいえ、吉永小百合主演の映画「北のカナリアたち」は、出口のない暗い…
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1007 山頭火と高倉健 映画「あなたへ」を見て思うさまざまな人生

「このみちや いくたりゆきし われはけふゆく」(注=筆者。この道は、多くの人々や人生が行き交っている。私はその人生をきょうも歩いている) 作者は放浪の俳人といわれ、無季自由律俳句(句の中に季語を入れない)で知られる種田山頭火である。歌人・若山牧水の「幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく」と、相通ずる旅への思…
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