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zoom RSS 1722 言葉に畏敬の念を 危ういSNS社会

<<   作成日時 : 2018/11/02 16:36   >>

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「言葉は人間が背負い込んだ大きな不幸の一つ」作家の松浦寿輝が言葉について、『月の光 川の光外伝』(中公文庫)の中でこんなふうに書いている。小説『川の光』(続編『川の光2』・中央公論社)は突然始まった川の改修工事によって、川辺の棲家を失ったクマネズミ一家が平和な暮らしを求めて川の上流へと旅をする冒険物語。人間はあくまでわき役で、主役は動物たちだ。動物から見たら言葉を持つ人間は、複雑怪奇な存在なのかもしれない。

 昨今、言葉を使った新しい分野として存在感を高めているのがSNS(ツイッター、フェースブック、ブログ、インスタグラムなど)といわれるインターネットを使った交流サイト・伝達手段だ。匿名もあるし、トランプ米大統領のように実名でツイッターに投稿するケースも少なくない。旧聞に属するかもしれないが、こうしたSNS上のニュースを信用するかどうか、日経新聞が電子版読者にアンケートしたところ、「信用しない」が87・1%、「信用する」が12・9%という結果(2017年1月26日)が出たという。2年近く前のアンケートだが、いまもそう変わりはないはずだ。フェイク(偽)ニュースという言葉が付きまとうSNSは、危うい伝達手段になっているのだろうか。

 私は2006年からこのブログを書き続け、今回で1722回になる。名前も公表している。ブログを書く目的は、自己紹介に書いた通り「世の中の事象に好奇心を持ち続け、日常に接する風景や社会現象を観察し、表現すること」である。文章表現の磨き方も兼ねていて、できるだけ分かりやすい表現を心掛け、誹謗中傷は書かないことに努めている。今後もこの方針に変わりはない。私の信頼する友人の一人は、東日本大震災後の現地の姿を取材して「震災日誌 in 仙台」というブログで報告し続けている。フェイク(偽)ニュースとは無縁の現場第一という丁寧な取材ぶりが、このブログからは伝わる。

 ドイツの文豪、ゲーテは「格言と反省」という散文集のなかで「だれでも話しているので、それでもうことばについて語る資格があるように思っている」と述べている。人間は生まれてから次第に言葉を身に着けていく。正確な言葉の使い方を知らなくとも日常生活に困ることはないから、言葉に対する畏敬の念は薄れる。そのことをゲーテは「語る資格があるように思っている」と述べ、私たちの大いなる勘違いを指摘したのだろう。現代の私たちは、その勘違いを自制しながら、あるいは自省しながら、人の心を打つ言葉を発信すべきなのだろう。

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 1606 人の心を打つ言葉 カズオ・イシグロの幼い経験

 182 『川の光』 大人も読める寓話(松浦寿輝著)

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