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みんなの「本」ブログ

タイトル 日 時
1594 信用ならない野心家やおしゃべり セイダカアワダチソウの季節に
1594 信用ならない野心家やおしゃべり セイダカアワダチソウの季節に  大佛次郎の『パリ燃ゆ』(朝日新聞)を入院中のベッドで読んだ。ナポレオン三世による国民議会に対するクーデターと第二帝政、普仏戦争でのフランスの敗戦という歴史を経て、パリで蜂起したパリ・コミューンとヴェルサイユの国防政府(政府軍)との攻防を描いた長編のノンフィクションである。その中に大佛が評価した言葉がある。 ...続きを見る

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2017/10/19 18:16
1593 病床の不思議な夢 カズオ・イシグロのノーベル文学賞
1593  病床の不思議な夢  カズオ・イシグロのノーベル文学賞 けがのため、入院している。その病床で数日前、夢を見た。イギリス国籍の日系作家、カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞したというのだ。それは正夢だった。 ...続きを見る

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2017/10/06 07:31
1591 キノコのある生活 山形から季節の便り
1591 キノコのある生活 山形から季節の便り  山形に住む友人から、季節の便りが届いた。この季節といえば、どんなことをしているのだろうと思っていたが、そう、山歩きが趣味の友人は、キノコ採りに明け暮れているのである。 ...続きを見る

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2017/09/14 06:02
1586 「読書は人をつくる」 時間の無駄では決してない
1586 「読書は人をつくる」 時間の無駄では決してない 「読書は満ちた人をつくる」(イギリスのフランシス・ベーコン随想集より。原文=Reading maketh a full man)という言葉がある。英文学者の福原麟太郎は『読書と或る人生』(新潮選書)の中で「満ちた人」とは「心豊かな人」という意味だと書いている。書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている―という新聞記事を読んで、読書に関する本を引っ張り出すと、冒頭の言葉が飛び込んできた。書店が減っているということは、読書をする人も減っているに違いない。心寂しい、そんな時代なのである。 ... ...続きを見る

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2017/08/25 13:54
1585 信じたい「人道主義」 バルセロナのテロに思う
 1585 信じたい「人道主義」 バルセロナのテロに思う  スペインの大都市、バルセロナの中心部で通行人の中にワゴン車が突っ込むというテロがあり、これまでに13人が死亡、100人以上が負傷した。イスラム過激派による犯行とみられている。この街のメーンストリート、ランブラス通りでの惨事である。かつて私もこの通りを歩いた。全世界から集まった観光客を狙ったテロは信じられない思いだ。 ...続きを見る

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2017/08/20 20:33
1583 ガダルカナル・インパールを生き抜く 元兵士の手記
1583 ガダルカナル・インパールを生き抜く 元兵士の手記  72回目の終戦の日である。太平洋戦争で310万といわれる日本人が死亡し、中国(1000万人)をはじめアジア各国で2000万人以上が犠牲になったといわれる。天皇陛下は戦没者追悼式で「ここに過去を顧み、深い反省とともに、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対して、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べた。一方安倍首相は、不戦の決意を述べたものの、アジア諸国への加害責任と反省については口にしなかった。太平洋戦争... ...続きを見る

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2017/08/15 16:10
1582 戦争文学を読む 72年目の夏
1582 戦争文学を読む 72年目の夏  最近読んだ本は、「戦争文学」といえる3冊だ。特攻隊長の体験を基にした島尾敏男の短編集『島の果て』(集英社文庫)、戦争を知らない世代が書いた高橋弘希『指の骨』(新潮文庫)、フィリピン・ミンダナオ島で生まれ、ジャングルでの避難生活を体験した衣山武秀『どこまで行っても上り坂』(自費出版)である。前掲の2冊はフィクション、3冊目は個人史である。手法は違っていてもそれぞれに戦争の実相を描いていて、深く心に迫ってくる。 ...続きを見る

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2017/08/11 13:18
1580 小説『黒い雨』を読みながら 試される政府の本気度
 1580 小説『黒い雨』を読みながら 試される政府の本気度 『黒い雨』(新潮文庫)は、阿鼻叫喚の広島の街の姿を井伏鱒二という冷静な作家によってに描かれた原爆小説だ。この時期、本棚から取り出して再読する人もいるだろう。私もその一人である。この小説は原爆小説とはいえ、正面から政治上の主張はしていない。それが逆に被爆者の悲惨な実情が読む者に伝わってくるのである。 ...続きを見る

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2017/08/08 09:31
1576 消えた新聞の青春群像 増田俊也『北海タイムス物語』
1576 消えた新聞の青春群像 増田俊也『北海タイムス物語』 「北海タイムス」という新聞があったことを北海道民の多くが記憶しているだろうか。1998(平成10)年9月に「休刊」宣言をして事実上の廃刊をしてからもう19年になる。この北海タイムスを舞台に、入社間もない整理部記者の苦闘を描いた増田俊也著『北海タイムス物語』(新潮社)を読んだ。経営が傾き、厳しい労働環境の中で整理部記者として自立を目指す主人公を通じて、新聞業界の裏の姿が克明に記されている。この本は、新聞人としてのスタートが北海タイムスだったという著者の「挽歌」のように私は思えた。 ...続きを見る

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2017/07/20 07:38
1569 目に優しい花菖蒲 一茶を思う一日
1569 目に優しい花菖蒲 一茶を思う一日  むらさきも濃し白も濃し花菖蒲 京極杜藻  うつむくは一花もあらず花菖蒲 長谷川秋子 ...続きを見る

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2017/06/13 17:18
1567 2つの大戦の過去とは決別できない 『ヨーロッパ炎上 新・100年予測』の結論
1567 2つの大戦の過去とは決別できない 『ヨーロッパ炎上 新・100年予測』の結論  ヨーロッパの国々の関係は複雑だ。ヨーロッパをまとめていたEUは、イギリスの離脱決定によって今後の雲行きが怪しいし、シリアなどから押し寄せる難民問題は解決が困難だ。ジョージ・フリードマンの『ヨーロッパ炎上 新・100年予測』(ハヤカワ文庫)は、そんなヨーロッパ情勢を分析し、今後を占う本である。著者はヨーロッパの今後をどう予測しているのだろう。 ...続きを見る

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2017/06/01 15:49
1566 新しい青色の発見 この色のバラは普及したのか
1566 新しい青色の発見 この色のバラは普及したのか  つい先日、米オレゴン州立大学で「YInMnブルー」という鮮やかな新しい青色を発見した、というニュースが流れた。テロが相次ぐ時代、平和の象徴ともいわれる青い色に、新しい色が加わったことは喜ばしいことだと思う。 ...続きを見る

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2017/05/23 21:20
1564 「戦争との決別は権利であり、義務である」 江崎誠致著『ルソンの谷間』再読
1564 「戦争との決別は権利であり、義務である」 江崎誠致著『ルソンの谷間』再読  江崎誠致著『ルソンの谷間』(光人社)を再読した。この小説は1957(昭和32)年3月、筑摩書房から出版され、この年の7月、第37回直木賞を受賞している。江崎の体験を基に、太平洋戦争末期、米軍のフィリピン奪回作戦でマニラから撤退する日本軍兵士の悲惨な実態を描いたものだ。内容は純文学の要素も強く、芥川賞を受賞してもおかしくない作品だ。 ...続きを見る

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2017/05/06 21:41
1560 「怖い絵」について 人の心に由来する恐怖
1560 「怖い絵」について 人の心に由来する恐怖  西洋絵画には、見る者に戦慄を感じさせるものが少なくない。そうした絵画を中野京子はシリーズで取り上げた。その第1作はラ・トゥールの『いかさま師』からグリューネヴァルトの『イーゼンハイムの祭壇画』まで22の作品を恐怖という視点で紹介した『怖い絵』(角川文庫)である。恐怖は人の心に由来するものであり、登場する絵も1点を除き、人間(ジェンティレスキ『ホロフェルネスの首を斬るユーディト』のような人を殺す恐ろしい場面の絵も含まれる)中心に描かれている。 ...続きを見る

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2017/04/25 16:33
1558 苦闘する学芸員たち 政治家の発言にひるむことなかれ
1558 苦闘する学芸員たち 政治家の発言にひるむことなかれ  これまで全国のさまざまな博物館や美術館を回り、学芸員から話を聞いた。彼ら、彼女らはいかにして、自分や同僚たちが企画した展覧会に多くの入場者を呼ぶか奮闘していた。そんな人たちに対し、山本幸三地方創生相が外国人観光客らへの文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないとだめ」と発言し、問題視されると撤回した。学芸員の仕事を理解していない妄言としか言いようがない。 ...続きを見る

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2017/04/18 15:45
1557 『グローバル・ジャーナリズム――国際スクープの舞台裏』を読む
1557 『グローバル・ジャーナリズム――国際スクープの舞台裏』を読む  「こんにちは。私はジョン・ドウ(匿名太郎)。データに興味はあるか?」ドイツ・ミュンヘンの南ドイツ新聞の記者に、インターネットを通じて飛び込んできたこの一文が、タックスヘイブン(租税回避地)による世界各国の首脳や富裕層による資産隠し、課税逃れを暴いた「パナマ文書」報道につながった。このプロジェクトに参加した、澤康臣記者(共同通信社)著『グローバル・ジャーナリズム――国際スクープの舞台裏』(岩波新書)は、デジタル技術を駆使し、さらに足と頭を使って謎を解明していく記者たちの姿が活写されている。 ... ...続きを見る

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2017/04/14 16:22
1555 無知は万死に値する 「呉下の阿蒙」を思う
1555 無知は万死に値する 「呉下の阿蒙」を思う  中国・三国志に呉の呂蒙という人物が登場する。彼は無学な武人だったが、主君の孫権から学問をするよう勧められ、勉学に励んだ。後年、旧友の魯粛という将軍がその進歩に驚き、「今はもう呉にいたころの蒙さん(阿はちゃんという意味)ではない」とほめたという。旺文社・国語辞典からの受け売りだが、この故事転じて、昔のままで進歩のない人物や学問のないつまらない者を「呉下の阿蒙」(ごかのあもう) というのだそうだ。 ...続きを見る

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2017/04/07 17:03
1554 詩人が憂えた不満足時代 大岡信逝く
1554 詩人が憂えた不満足時代 大岡信逝く  5日に亡くなった詩人の大岡信(まこと)は1980年代、パリに住んだことがある。当時、フランスでは大統領選があったが、それを見た大岡は「フランス人の大半は各人各様の正当な理由によって不満足だろう。もっと他にましな選択があるのではないかと思い、結局それが今のところまったく見つからないので、皆たいそう不満足である」という感想を記している。36年も前のことである。このころから世界が混沌とした状況に陥っていることに、詩人は気がついていたのだ。 ...続きを見る

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2017/04/06 14:19
1551 木々の葉のさまは人の世と同じ 『イーリアス』から
1551 木々の葉のさまは人の世と同じ 『イーリアス』から  まことに、木々の葉の世のさまこそ、人間の世の姿とかわらぬ、  木の葉を時に、風が来って地に散り敷くが、他方ではまた  森の木々は繁り栄えて葉を生じ、春の季節が循(めぐ)って来る。  それと同じく人の世系(よすじ)も、かつは生い出て、かつまた滅んでゆくもの。 (岩波文庫・ホメーロス『イーリアス』より) ...続きを見る

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2017/03/19 09:50
1549 春に文句を言う人は トルコの小話より 
1549 春に文句を言う人は トルコの小話より   冬の寒い一日、皆は、天気の悪いことをこぼしていた。一人が言った。 「満足することを知らんもんもおる。そんな輩は、いつも不平ばかり言うんじゃ。冬になれば、ああなんて寒いんだと言う。夏になれば、なんて暑いんだとくる」 「そのとおりじゃ」とホンジャが答えた。「しかし、春にまで文句を言う奴はおらんて」 ...続きを見る

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2017/03/06 09:52
1548 ある障害者の体験 電車内は文化レベルの尺度
1548 ある障害者の体験 電車内は文化レベルの尺度  障害者支援のNPOを運営している知人が視覚障害者になった。視野狭窄の病気が進行したためで、医師からは外出する際、白い杖を持つように勧められ、知人は白い杖を持って外出、電車に乗るようになった。そこで知人が体験したことは、現代社会のよそよそしさだった。 ...続きを見る

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2017/02/23 15:37
1547 優れた人との出会いが花の時代 『わたしの渡世日記』から
1547  優れた人との出会いが花の時代 『わたしの渡世日記』から 「人は老いて、ふと我が来し方を振り返ってみたとき、かならず闇夜に灯を見たような、心あたたまる経験を、自分も幾つか持っていることに気づくだろう。それがその人の『花の時代』である。(中略)私の場合でいうならば、優れた人間に出会った時期をこそ、私の花の時代と呼びたい」 ...続きを見る

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2017/02/21 11:51
1546 再読『一九八四年』 全体主義の芽がそこに…
1546  再読『一九八四年』 全体主義の芽がそこに…  北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシア・クアラルンプール空港で暗殺された事件が国際的波紋を呼んでいる。北朝鮮による多国籍の人間を使った請負殺人との見方も出ている。国際空港を舞台にした事件は、全体主義国家の恐怖を描いた英国の作家、ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』の世界が再現されたようで、暗い気持ちになる。 ...続きを見る

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2017/02/18 17:42
1545 市民が支える小さな山荘 愛の鐘響く新庄・杢蔵山
1545 市民が支える小さな山荘 愛の鐘響く新庄・杢蔵山  作家の深田久弥(1903〜1971)は、長い年月をかけて日本の名峰、百座を登頂した。その実体験を基に名作『日本百名山』を書いた。その後記(新潮文庫)で「日本人ほど山を崇び山に親しんだ国民は、世界に類がない。国を肇めた昔から山に縁があり、どの芸術分野にも山を取扱わなかったものはない。近年殊のほか登山が盛んになって、登山ブームなどといわれるが、それはただ一時におこった流行ではない。日本人の心の底にはいつも山があったのである」と書き、日本人が山と縁が深い国民であることを強調している。 ...続きを見る

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2017/02/08 07:14
1544 異質さを認め尊重する手がかり トランプ時代の『アンネの日記』の読み方
1544 異質さを認め尊重する手がかり トランプ時代の『アンネの日記』の読み方 「人間相互の“異質さ”を認めあい、尊重しあうための手掛かりとして読んでいただければと思う」。翻訳者、深町眞理子は、『アンネの日記 増補新訂版』(文春文庫)のあとがきで、こんなことを書いている。イスラム圏7か国出身者の入国禁止令を出して物議をかもしているトランプ米大統領の姿を見ていて、この本を読み返した。 ...続きを見る

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2017/02/05 15:53
1543 豊穣な音楽の世界 恩田陸著『蜜蜂と遠雷』を読む
1543 豊穣な音楽の世界 恩田陸著『蜜蜂と遠雷』を読む  ピアノコンクールをテーマにした作品として思い浮かべるのは『チャイコフスキーコンクール ピアニストが聴く現代』(中央公論社)である。ピアニストの中村紘子(21016年7月26日に死去)がこのコンクールの審査員を務めた体験から、コンクールの舞台裏を紹介した作品で、1989(平成元)年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。それから長い歳月を経て、今度は恩田陸が同じようにピアノコンクールをテーマに、音楽の世界を描くフィクションに挑んだ。 ...続きを見る

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2017/01/26 15:39
1536 考えながら送る黄金時間 冬霧の朝に
1536 考えながら送る黄金時間 冬霧の朝に  朝の散歩道にある調整池から霧が出ていた。冬の霧である。俳句では、霧は秋の季語になる。だからこの季節には「塔一つ灯りて遠し冬の霧 蘭草慶子」の句のように、「冬の霧」を使う。次第に明るさが増す霧の道を歩きながら、この1年を振り返った。その年の世相を漢字一文字で表す恒例の「今年の漢字」は「金」だったが、私の場合「考」が当てはまる。 ...続きを見る

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2016/12/19 12:13
1535 真珠湾攻撃幻の第一報  配信されなかったAPの速報
1535 真珠湾攻撃幻の第一報  配信されなかったAPの速報  旧日本海軍が真珠湾の奇襲攻撃に踏み切ったのは1941(昭和16)年12月8日未明(日本時間)で、時差が19時間あるから現地時間は7日(日曜日)朝のことだった。米国ホノルル海軍基地から米海軍省に届いた電報は「Air Raid Pearl Harbor This Is No Drill !!!(真珠湾空襲、演習にあらず)」という内容だった。米国の代表的通信社APの現地記者も当然、速報を流したはずだ。だが、その速報は流されることはなく、幻の第一報になったことがAPの記録に載っている。 ...続きを見る

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2016/12/13 17:27
1534 「些細なことでも予断は許さない」 最近のニュースに思うリルケの言葉
1534 「些細なことでも予断は許さない」 最近のニュースに思うリルケの言葉 「この世のことはどんな些細なことでも予断を許さない。人生のどんな小さなことも、予想できない多くの部分から組み合わされている」。オーストリアの詩人、ライナー・マリア・リルケ(1875〜1926)は唯一の長編小説『マルテの手記』の中で、こんなことを書いている。含蓄ある言葉である。昨今の世界の動きを見ていると、リルケの考え方の確かさを感じ、身震いする思いなのだ。 ...続きを見る

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2016/12/10 21:07
1533 「ありがとうハワイの病院」 人間魚雷・元兵士の記録
1533 「ありがとうハワイの病院」 人間魚雷・元兵士の記録  安倍首相が今月末、ハワイ真珠湾を慰霊訪問するという。75年前の1941(昭和16)年12月8日、多くの日本人は山本五十六率いる連合艦隊の「奇襲攻撃」に狂喜した。一方、アメリカでは「リメンバーパールハーバー」という言葉が使われた。日本の開戦通告が攻撃開始より遅れたため、卑怯な戦法として「12・8」は米国民には忘れてはならない屈辱の日となった。それほどこの奇襲攻撃に怒ったアメリカは、太平洋戦争で捕虜にした日本兵をハワイでどのように扱ったのだろう。手元にある一冊の戦争体験記録を読み返した。 ...続きを見る

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2016/12/07 18:19
1532 便利さで失ったもの 『薇』・詩人たちの考察 
1532 便利さで失ったもの 『薇』・詩人たちの考察   現代社会は便利さを追求するのが当たり前になっている。しかし、それによって、人間は楽になるかといえば、そうでもない。コンピューターは世の中の進歩に役立った。パソコンの導入によって企業の事務処理能力が格段に楽になったはずだが、仕事量は相変わらずだし、紙の消費量も減らない。便利さとは何だろうと考えるは私だけではないだろう。 ...続きを見る

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2016/12/02 16:58
1530 M君の急逝 セネカの言葉で考える人生の長短
1530 M君の急逝 セネカの言葉で考える人生の長短   中学時代の同級生だったM君が急逝した。ことし7月一緒に旅行をしたばかりで、訃報に耳を疑った。故郷・福島での会合に出て、川崎の自宅に戻った直後のことだったという。ローマ帝国時代の政治家でストア学派の哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカは「生きることは生涯をかけて学ぶべきことである」(道徳論集『人生の短さについて他2篇より』と述べている。M君の急逝を聞いて、人生について考えさせられた。 ...続きを見る

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2016/11/26 21:59
1526 文革時代の寒村の悲しみ 曹乃謙著『闇夜におまえを思ってもどうにもならない』
1526 文革時代の寒村の悲しみ 曹乃謙著『闇夜におまえを思ってもどうにもならない』  人間は欲望を求める動物である。「食欲、睡眠欲、性欲」が3大欲望といわれるそうだが、このほかにも物欲、金銭欲、名誉欲と欲望は果てしない。だが、その欲望を満たすことできない存在も少なくない。曹乃謙著(杉本万里子訳)『闇夜におまえを思ってもどうにもならない』(論創社)は、睡眠欲を除いてほとんどの欲望を満たすことができない、寒村の人々を描いたユーモアとペーソスが入り混じった独特の文体の小説である。 ...続きを見る

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2016/11/12 12:37
1524 ボブ・ディランのノーベル文学賞 サルトルは拒否したが……
1524 ボブ・ディランのノーベル文学賞 サルトルは拒否したが…… 《「キューバ危機」の時、ディランは、ソ連からの攻撃を想定した小学生の頃の訓練を思い出していたのかもしれない。》 ...続きを見る

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2016/10/13 21:08
1523 読書家の生きた証 本を愛して
1523 読書家の生きた証 本を愛して 9月末に亡くなった先輩は読書家だった。同時に、渥美清主演の映画「男はつらいよ」をこよなく愛した人情家だった。 ...続きを見る

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2016/10/12 18:53
1512 彼岸花とアカザのこと 気象変動と食べ物
1512 彼岸花とアカザのこと 気象変動と食べ物 ことしの日本列島は、台風による大雨で各地に大きな被害が出ている。北海道では農作物への影響も少なくない。温暖化による気象変動が激しい季節だが、秋の彼岸も近い。間もなく彼岸花(別名、曼珠沙華)も開花するだろう。たまたまこの花のことを調べていたら、かつて彼岸花は飢饉のときを考えて食用として植えたものであるという話が『つい誰かに話したくなる雑学の本』(講談社+α文庫)に載っていた。球根に毒があるという彼岸花がどうして食用になったのだろう。 ...続きを見る

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2016/09/08 17:20
1511 雲流れゆく9月 やってくるへちま忌
1511 雲流れゆく9月 やってくるへちま忌 朝も秋ゆうべも秋の暑さかな  ...続きを見る

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2016/09/02 16:12
1508 この世は美しく甘美な人の命 お盆に思う
 1508 この世は美しく甘美な人の命 お盆に思う 日が暮れて草のにほひの盆の寺(今井杏太郎 ) お盆である。昨日夕、家族で墓参りをした。寿陵(生前墓)であるわが家の墓にはお骨は入っていない。 ...続きを見る

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2016/08/14 21:22
1505 被爆者たちの死の舞踏 71年前の人類の悲劇の体験
1505 被爆者たちの死の舞踏 71年前の人類の悲劇の体験 きょう6日は、広島原爆の日だった。河野治彦『灯篭流し 陽の目を見なかった父の原爆小説』(文芸社)を読み返した。原爆投下から終戦までの1週間の広島の街の実情を記した手記である。痛みに耐えるために地団駄を踏む格好をしながら、経を読むように一つの場所を回り続ける被爆者のことが描かれている。小説と銘打っているが、これは71年前の真実だ。 ...続きを見る

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2016/08/06 17:56
1502 あすなろ物語 横綱目指す稀勢の里
1502 あすなろ物語 横綱目指す稀勢の里 大相撲の大関・稀勢の里は名古屋場所も優勝できなかった。夏場所と名古屋場所で連続して「綱取り」の場所といわれながら優勝できずに場所を終えている。辛口の解説者、北の富士さんは「稀勢の里を横綱にさせたい後援会の会長になりたいくらいだ」と広言する。歯がゆくても横綱になるだけの力量があるのは、いまは稀勢の里しかいないから、そう言うのだろう。そんな稀勢の里には「アスナロ」の言葉がぴったりする。 ...続きを見る

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2016/07/25 16:17
1500 年輪を刻んで 懐かしく、心温まる人たちとともに
1500 年輪を刻んで 懐かしく、心温まる人たちとともに 日本各地には、「巨樹」と呼ばれる大木がかなり存在する。福島県いわき市の国宝・白水阿弥陀堂の境内にも、イチョウの大木があった。いわき市の天然記念物に指定され、樹高29メートル、幹回り5・9メートルで、推定樹齢は不明だという(いわき市HPより)。巨樹の本に紹介されている代表的巨樹とは比較にならないが、なかなか風格があって見ていて飽きない。 ...続きを見る

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2016/07/17 21:17
1498 危険度増す国際支援活動 不公正・不平等社会とテロ
1498 危険度増す国際支援活動 不公正・不平等社会とテロ バングラデシュの首都ダッカで起きたIS関連グループによるレストランでの外国人を狙った7月1日のテロから8日が過ぎようとしている。日本人7人を含む多くの外国人や警察官が犠牲になった。犯行グループ7人は全員がバングラデシュの若者だった。日本人被害者は英語で「私は日本人だ」と話したが、標的から外れることはなかった。イスラム過激派から見れば日本人も「敵」であることが、今回の事件で追認された。 ...続きを見る

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2016/07/09 22:16
1491 川上さんの予言 大記録への挑戦続くイチロー
1491 川上さんの予言 大記録への挑戦続くイチロー 大リーグで活躍するマーリンズ・イチローの大記録達成が近づいてきた。8日(日本時間9日)のツインズ戦に出場したイチローは3安打を打ち、メジャー3000本安打まで29本(2971)にまで迫り、メジャー最多安打のピート・ローズの4256本まで日米通算であと7本(4249)になった。「秒読みに入った」という気の早い表現もあるが、いずれにしても通算で新記録は間もなくだろうし、3000本も今シーズン中には間違いなく達成されるだろう。大記録を達成した後のイチローの去就が気になる。 ...続きを見る

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2016/06/09 17:39
1489 孤独感と戦う森の生活 ソーローと大和君
1489 孤独感と戦う森の生活 ソーローと大和君 「わたしは、ある人が森のなかで道に迷い、とある木の根もとで飢えと疲れとために死にかかったが、肉体的の困憊のため病的になった想像力が彼の周囲にあらわした怪奇な幻像――それを彼は現実であると信じたのだ――によって孤独感をまぬがれた、という話を聞いたことがある。同様に、肉体的および精神的の健全さと力とによって、われわれはこれと似た、しかしもっと正常で自然な付き合いによって絶えずなぐさめられ、自分が決して孤独でないことを知るようになれるのである」 ...続きを見る

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2016/06/04 11:59
1488 都合のいい「新しい判断」 政治に必要なのは「モラルと思想」
1488 都合のいい「新しい判断」 政治に必要なのは「モラルと思想」 「理性ある動物、人間とは、まことに都合のいいものである。したいと思うことなら、何にだって理由を見つけることも、理屈をつけることもできるのだから」。アメリカ独立宣言起草委員の1人で、アメリカ建国の父ともいわれるベンジャミン・フランクリンの言葉である。以前にもこのブログで書いているが、安倍晋三首相の消費税増税再延期の記者会見を聞いて、この言葉を思い出した。 ...続きを見る

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2016/06/02 21:50
1486 詩から想像する太古の歴史 最後のネアンデルタール人の哀愁
1486 詩から想像する太古の歴史 最後のネアンデルタール人の哀愁 埼玉県在住の9人の詩人による『薇』という詩誌14号に「最後の一族」という秋山公哉さんの詩が載っている。ヒト属の一種といわれるネアンデルタール人のことを描いた詩である。偶然だが、イギリスの人類学者アリス・ロバーツの『人類20万年 遥かな旅路』(野中香方子訳、文春文庫)を読んでいる。現在進行形なのはこの本が分厚く、内容が濃いためだ。この本にもネアンデルタール人が絶滅したといわれるジブラルタルの旅が記されている。秋山さんの詩を読み、ロバーツの本の頁をめくり太古の歴史を考えた。 ...続きを見る

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2016/05/28 21:46
1482 花が香り立つ季節 バラは五月晴れが似合う
1482 花が香り立つ季節 バラは五月晴れが似合う いまごろは七十二候でいえば「末候」=竹笋生ず(たけのこしょうず)に当たる。「たけのこが、ひょっこり出てくるころ」という意味だそうだ。だが、温暖化からか、たけのこの旬は過ぎている。この季節、あちこちで咲いているバラの香りがかぐわしい。 ...続きを見る

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2016/05/20 13:14
1481 この世は勧善懲悪ではない ゴンクール賞 『天国でまた会おう』
1481 この世は勧善懲悪ではない ゴンクール賞 『天国でまた会おう』 ピエール・ルメートル著『天国でまた会おう』(ハヤカワ文庫、上下)は『第一次世界大戦(1914〜1918)で、上官によって瀕死の状況に追い込まれながら生き延びたフランスの元兵士2人が戦後、どのように生きたを描いている。2人は壮大な詐欺事件という悪事を持って社会に復讐し、英雄として復帰し上流社会の一員となった上官は悪事によって破滅する。2つの悪の結末は勧善懲悪(善いことをすすめ、悪事を懲らしめる)の結末ではない。だが、フランスらしいエスプリに富んだ作品で、読後感はさわやかだ。 ...続きを見る

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2016/05/11 21:52
1479 街路樹の下を歩きながら 文章は簡単ならざるべからず
1479 街路樹の下を歩きながら 文章は簡単ならざるべからず 大型連休が終わった。熊本の被災地では、依然避難所暮らしを余儀なくされている人が少なくない。一方で、被災地以外では多くの人がどこかに出掛け緑の季節を楽しんだのだろう。それがこの季節の習わしだ。以前は私も同じ行動をとっていた。だが、最近は違う。主に本を読み、体を動かして時間を送っている。緑が増した街路樹の下を歩きながら、読んだ本の内容を反芻することもある。 ...続きを見る

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2016/05/05 22:48
1478 戦争写真『硫黄島の星条旗』の謎 太平洋戦争とは何だったのか
1478 戦争写真『硫黄島の星条旗』の謎 太平洋戦争とは何だったのか 太平洋戦争をとらえた写真の中で、米国ではAP通信カメラマンの「硫黄島の星条旗」が傑作として名高い。激戦地の摺鉢山山頂に米国旗・星条旗を掲げる6人の米兵たちの姿を撮影した写真である。この写真をめぐって、1人の兵士がこれまで言われてきた兵士と別人の可能性があり、海兵隊が調査を進めているというニュースが流れている。真偽は不明だが、謎は解き明かされるのだろうか。 ...続きを見る

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2016/05/04 18:14
1476 桐の花が咲く季節 漂うマロニエに似た芳香
散歩道の斜面にある桐の花(俳句の季語は夏)が満開だ。いつもの年よりも早く花が咲いている。ことしの八十八夜(立春から88日目)は5月1日、立夏は5月5日だ。紫の筒状の花を見て、季節は春から夏へとバトンタッチをしていることを実感する。 ...続きを見る

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2016/04/29 13:59
1474 「スティグマ」助長の責任は ハンセン病患者の隔離法廷
最高裁は、かつてハンセン病患者の刑事裁判などを隔離された療養施設などに設置した特別法廷で開いていたことに対し報告書を公表し謝罪した。「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、おわびする」という内容で、「特別法廷は憲法の公開の原則に違反する」という有識者委員会の指摘は受け入れず、しかも謝罪したのは寺田逸郎最高裁長官ではなく、事務方トップの今崎幸彦事務総長だった。最高裁のこの姿勢は謙虚さに欠けるもので、形式的謝罪としか映らない。 ...続きを見る

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2016/04/26 14:40
1471 新緑の季節なのに…… 4月の読書から
熊本、大分で大きな地震が続いている。新緑の季節。地震がなければこの地域の人々も木々の緑に心を癒されていたはずである。だが、いまは揺れにおびえながら地震が早く収まることを念じる日々だろう。そんな昨今、私が読んだ中に2冊の震災関連本がある。以下は辞書、地図も含めて4月になって読んだ(見た)本の寸評。 ...続きを見る

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2016/04/20 16:48
1467 ユネスコ憲章の精神とかけ離れた世界の実態 ガルシンの嘆きはいまも
オバマ米国大統領が5月のG7伊勢志摩サミット参加時に、広島を訪問することを検討しているというニュースが流れた。訪問が実現すれば、現職の米国大統領としてはもちろん初めてである。オバマ大統領は2009年チェコ・プラハで「核兵器なき世界」を訴える演説をしてその年ノーベル平和賞を受賞したが、核安全保障サミットを提唱したくらいでその理想は実現に程遠い。広島、長崎への原爆投下は空前絶後の人類に対する核兵器の使用だった。それに対し、米国からの公式謝罪はない。広島訪問が実現した場合、オバマ大統領は何を語るのだろ... ...続きを見る

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2016/04/11 11:33
1466 犬が眠る場所 あれから3回目の桜 
わが家の飼い犬、ゴールデンレトリーバーのhanaが死んだのは2013年7月30日だった。その遺骨は庭の金木犀の根近くに埋めてある。家族で居間からよく見える場所として選んだのだが、いまになって思うと一冊の本の内容が深層心理に働いたのかもしれない。それは宮本輝の『彗星物語』(角川文庫)だった。hanaは、「うちの飼い主は主体性がない」と、笑っているかもしれない。 ...続きを見る

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2016/04/08 15:28
1465 未曾有の災害乗り超えて 『霊性の震災学』を読む
学問的には幽霊は研究外という。幽霊と聞くと、オカルトや霊性という言葉を思い浮かべる人も多いだろう。それは心が穏やかではない、背筋が凍る話である。しかし、東日本大震災後の被災地では幽霊現象が相次いだという。震災直後に回った宮城県でそのことが話題になっていた。その幽霊現象を含め、被災地で起きたさまざまな現象を検証し、論文にしたのが『呼び覚まされる霊性の震災学 3・11生と死の狭間で』(新曜社)である。 ...続きを見る

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2016/04/04 08:54
1463 旅で感じるもの ミャンマーはアジアの楽園になれるのか
放浪の旅に明け暮れた自由律の俳人、種田山頭火は、「道は前にある、まっすぐに行かう(行こう)」が信念だった。そして、「句を磨くことは人を磨くことであり、人のかがやきは句のかがやきとなる。人を離れて道はなく、道を離れて人はない」(『山頭火句集』・ちくま文庫所蔵の随筆「道」より)と書いている。放浪の旅をしながらも、山頭火が人生の深淵を考え続けたことがうかがえる。旅というものはさまざまなことを考え、感じる機会でもあるのだ。 ...続きを見る

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2016/03/29 14:07
1461 ウクライナ危機の本質とは 『プーチンとG8の終焉』
ロシアによるクリミアの併合、混迷するウクライナ危機はかつての米ソ冷戦時代の再来かといわれた。クリミア併合をきっかけに欧米を中心とする国々がロシアに経済制裁を加え、これまでのG8という枠組みからロシアを除外する動きが続いた。こうした国際社会の動きの中で、プーチン・ロシアを取り巻く情勢をフォローし、今後の国際社会の在り方を考え、ロシアの将来を占ったのが本書(佐藤親賢著、岩波新書)である。 ...続きを見る

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2016/03/24 14:23
1460 なぜ日本は原発大国になったのか 『原子力政策研究会100時間の極秘音源』
『原子力政策研究会100時間の極秘音源―メルトダウンへの道―』(新潮文庫)という題名からは、やや難解な原子力に関する本であることを想像させる。 ...続きを見る

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2016/03/19 07:28
1459「ラオスにいったい何が」 特別な光と風を感じる人々
村上春樹の「大いなるメコン川の畔で」(文藝春秋社刊『ラオスにいったい何があるというんですか』所蔵)というエッセーは、ラオスの世界遺産の街、ルアンプラバンの旅の記録である。この街へ入るときに通過したベトナム・ハノイでベトナム人に「どうしてまたラオスなんかに行くんですか」と不審そうに質問された村上は、言外に「ベトナムにない、いったい何がラオスにあるというんですか」というニュアンスが読み取れたという。その答えは―。 ...続きを見る

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2016/03/17 15:19
1457 「或る晴れた日に」「でもぼくらは永久にもどれない」 
何気なく本棚から『立原道造詩集』(ハルキ文庫)を取り出し、パラパラと頁をめくっていると、「或る晴れた日に」という詩があった。外は雨がぱらついている。寒い冬に逆戻りしたような天気だ。きょうは3月11日。5年前の大災害を思い出しながら、詩を読んだ。 ...続きを見る

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2016/03/11 09:53
1454 大震災・原発事故を生き抜く 悪漢から逃れる薄幸の少女「バラカ」 
桐野夏生の新刊『バラカ』(集英社)に描かれる日本は、悪い奴が跋扈している。大震災の前と後の日本社会。日本にきていた日系ブラジル人同士の両親から生まれ、「バラカ」と名付けられた女の子の数奇な運命を軸に物語は進行していく。そこに描かれる、悪い奴がのさばる社会の姿は、現代日本とそう変わらない。 ...続きを見る

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2016/03/07 10:51
1453 3・11から5年 モーツァルトのレクイエム「涙の日」
「罪ある人 裁きを受けるために 塵より蘇える日 それは涙の日」 『レクイエム』(死者のためのミサ曲)の第7曲「ラクリモサ」の第8小節でモーツァルトの筆は途絶えた。それから間もない1791年12月5日未明、かつて神童といわれた音楽家は35歳という若さでこの世を去った。その後、弟子のジュースマイアーによって補筆完成した曲は、モーツァルトの「魂の歌」として演奏され続けている。あと1週間で3・11から5年。友人が所属する仙台のオーケストラが3月11日の「祈りのコンサート」でこの曲を演奏するという。一方、... ...続きを見る

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2016/03/04 15:55
1451 「理想の音を求めて」 ピアノ調律師を描いた『羊と鋼の森』『調律師』
ピアノの調律師を描いた2冊の本を読んだ。宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋)と熊谷達也『調律師』(文春文庫)である。調律に魅せられた山育ちの青年(宮下著)と妻を交通事故で失った元ピアニストの調律師(熊谷著)が、それぞれの理想の音を求める物語だ。2冊を読み終え、ピアノ曲のCDを聴いている。この美しい演奏の陰に、調律師という専門分野の人たちがいることを思う。 ...続きを見る

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2016/03/01 14:59
1449 村上春樹の旅行記 「貴重な文章修行」
最近、村上春樹の『遠い太鼓』(講談社文庫)と『辺境・近境』(新潮文庫)という旅行記を続けて読んだ。前者は1986年から3年間、ギリシャ・イタリアに住み、周辺の各地を旅した記録である。後者はアメリカやメキシコ、ノモンハンという海外の旅と香川県でのうどん食べ歩き、故郷である神戸の街歩きの記録を収録している。かつて、若者が海外の旅でバイブルのようにしていたのは沢木耕太郎の『深夜特急』(新潮社)といわれた。だが、なかなかどうして村上作品も沢木に負けないほど長旅の友になっているらしい。 ...続きを見る

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2016/02/26 20:31
1448 雪についての雑感 登校の子ら足遅く
暖冬が続いていると思ったが、うっすらと雪が積もった。この地域(千葉市の南部)では、2014年2月8日から9日の大雪以来、積雪はなかったから久しぶりのことである。家の前を、雪が大好きな子どもたちがはしゃいで登校している。2年前の大雪の際のこのブログでは「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残した中谷宇吉郎(1900〜62)のことを書いている。中谷は雪の研究とともに、学生時代に指導を受けた寺田寅彦(1878〜1935)と同じく、随筆家としても名を残した。 ...続きを見る

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2016/02/25 15:11
1447 言葉との格闘 乙川優三郎の現代小説
乙川優三郎といえば、時代小説の作家と思っていた。『五年の梅』や『生きる』という本は私の本棚にもある。その乙川が現代小説にも筆を染めている。最近、そのうち『脊梁山脈』など3冊を集中して読んだ。文芸評論家・作家の丸谷才一は『文章読本』(中央公論社)の中で、「文章上達の秘訣は一つしかない。名文を読むことだ」と言い切っているが、乙川の文章はまさにそれに当てはまる。 ...続きを見る

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2016/02/24 18:38
1446 洛外人の徹底批判 井上章一『京都ぎらい』
1781年(明和元年)に書かれた二鐘亭半山(木宝卯雲)の京都見聞録『見た京物語』には「花の都は二百年前にて今は花の田舎たり、田舎にしては花残れり」という記述がある。「花の田舎」というのが江戸時代中期の京都のイメージである。それから235年が過ぎた京都はいま、アメリカの大手旅行雑誌が選んだ「訪れたい世界都市ランキング」の1位になったと報じられ、海外からの観光客でにぎわいを見せている。その京都を徹底的に批判したのが井上章一著『京都ぎらい』(朝日新書)である。 ...続きを見る

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2016/02/22 16:20
1444 貶められた無限の可能性 この世で最も美しい言葉……
「言葉はこの世の最も美しいものの一つである―言葉は、眼には見えないが、絶えずわれわれの側にただよってわれわれが弾くのを待っている、不可思議な楽器のようなものだ」 ...続きを見る

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2016/02/19 14:28
1441 最後の手紙は「僕ハモーダメニナツテシマツタ」 子規と漱石の友情
覚せい剤事件で警視庁に逮捕された元プロ野球選手、清原和博の高校野球時代の同級生、元巨人投手の桑田真澄が清原の逮捕について語った言葉が報道された。友を思う気持ちと悔恨の情が含まれた話だ。桑田の言葉は「友情とは何か」を考えさせるもので、明治時代の俳人・正岡子規と作家・夏目漱石の関係を思い浮かべた。 ...続きを見る

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2016/02/05 14:36
1438 人生の選択 グローバル化時代の望郷とは
望郷とは、「故郷をしたいのぞむこと。故郷に思いをはせること」(広辞苑)という意味だ。世はグローバル化時代。飛行機をはじめとする交通機関やインターネットという情報手段の発達によって、世界は狭くなった。だから、望郷という言葉はあまり使われなくなった。だが、この言葉は海外で暮らす人には付き物だろう。 ...続きを見る

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2016/01/26 22:06
1436 モラルハザードとバス事故 恐怖のニュートラル走行
長野県軽井沢町で発生したスキーツアーバス事故で、バスのギアがニュートラル状態にあったというニュース流れている。ニュートラルとは、ギアがかみ合わずに動力が伝達されない状態のことで、下り坂でこの状態になるとエンジンブレーキは当然かからないから、フットブレーキに頼ることになる。なぜ、こうした状態になったのか、調査の結果が待たれる。かなり以前、この状態(ニュートラル)のバスに乗り合わせ、恐怖の体験をしたことを思い出した。 ...続きを見る

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2016/01/22 16:56
1434 暖冬で咲いた「セイタカアワダチソウ」 自然の風景
暖冬のせいか、もうフキノトウが出たというニュースもあった。私の散歩コースでは活動期を終え、枯れたはずの「セイタカアワダチソウ」が勢いを取り戻し、再び花が咲き始めている。この北アメリカ原産の雑草は、本来は10月から11月に咲く秋の花だ。それが狂い咲きしている。そんな光景は初めてだ。 ...続きを見る

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2016/01/16 18:46
1432 「物理学者は罪を知った」……  原爆の父の悔恨
新年早々、北朝鮮の核実験(北朝鮮は水爆実験成功と発表)という物騒なニュースが流れた。このニュースを聞いてアメリカの核開発を担ったマンハッタン計画を主導し、原爆の父といわれた物理学者、ロバート・オッペンハイマー(1904―1967)の「物理学者は罪を知った」という言葉を思い浮かべた。 ...続きを見る

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2016/01/07 15:51
1429 続・風景との対話 読書について
調整池から霧が出ている。西の空には満月(寒月)の余韻の白い月が見える。師走の朝である。新聞の朝刊を開くと、読書欄には書評委員が選んだ「注目の本、心に残る本」各3点が紹介されていた。多くの委員がいるのに重なる本はほとんどない。それは読書の傾向が人によって異なるものであるかを示すものだ。私もこの機会に心に残ったことしの本、6点(フィクション4点とノンフィクション2点)を選んでみた。(6点にしたのは特に理由はありません) ...続きを見る

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2015/12/27 15:59
1428 「人生最高の日」は 沖縄の得難い体験の共有
寒い季節になると、思うのは南の暖かな地域のことだ。中でも沖縄のことが気になる。沖縄といえば、奄美大島から沖縄に移り住んで16年になる知人がとてもいい話を教えてくれた。それは沖縄の人たちの心根の優しさを示す、文字通り心温まる話である。 ...続きを見る

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2015/12/24 21:40
1424 「詩とは何か」 詩論『詩のオデュッセイア―』が最終回
詩人・コラムニストの高橋郁男さんが詩誌「コールサック」(コールサック社、年4回発行)で連載していた詩論『詩のオデュッセイア―』が、近刊の84号(2015年12月)で最終回(9回)を迎えた。人類の歴史とともに編まれてきた数多くの詩を、寸感を添えて紹介してきた連載の最終回は、「詩とは何かについて」考察したものだ。 ...続きを見る

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2015/12/08 16:23
1420 大量遭難の背景は 映画『エベレスト3D』と原作『空へ』
登山の醍醐味は、困難を乗り越えて頂上に立ったときの達成感なのだろうか。登山をやらない私にはその辺のことは分からない。1996年にエベレスト(8848メートル)で起きた大量遭難で、遭難を免れたジャーナリスト、ジョン・クラカワーが体験したことは、そうではなかった。 ...続きを見る

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2015/11/23 18:30
1417 セザンヌの少年の絵 秋の日の特別な時間
家の前にある遊歩道には、けやきの木が街路樹として植えてある。そのけやきの葉がことしは特に色づいているように見える。いまが紅葉の盛りのようだ。最近訪れた那須高原でも美しい紅葉を見ることができた。それも数十年ぶりの友人との再会という嬉しい出来事まで付いていて、ひときわ思い出深い秋を味わった。 ...続きを見る

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2015/11/10 16:12
1416 夜長の季節の本の読み方 あなたは寝過ぎ派、寝不足派?
「書読まぬ男は夜長哉」。正岡子規の句である。秋の夜長、本を読まない男は寝過ぎ、読む男は寝不足になるというのである。テレビやスマホなど、いまの時代は本を読まなくとも夜更かしになる材料は事欠かず、寝不足派が圧倒的に多いのではないか。 ...続きを見る

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2015/11/07 09:03
1415 尺八の音を聞き歩く秋日和  千鳥ヶ淵の光景
昨日、東京の街をぶらぶらと歩いた。最高気温は17・4度。日陰に入るとやや肌寒いが、歩くには爽快な一日だった。千鳥ヶ淵の戦没者墓苑付近を通りかかると「仰げば尊し」のメロディが流れてきた。近づいてみると、60歳は超えたと思われる男性が尺八を吹いていた。太平洋戦争で亡くなり、身元の分からない遺骨が安置されている戦没者墓苑とこの曲が似合うかどうかは人それぞれの感想があるだろう。私は、ふと足を止めた。 ...続きを見る

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2015/11/02 11:29
1414 一番大切なものは希望 『生きて帰ってきた男』『世界の果ての子どもたち』を読む
「希望だ。それがあれば、人間は生きていける」 最近読んだ本のうち小熊英二『生きて帰ってきた男 ―ある日本兵の戦争と戦後』(岩波新書)のラストにこんな言葉が出てくる。一方、中脇初枝『世界の果ての子どもたち』(講談社)は、3人の少女が分け合って食べた一つのおむすびを通じて、国境を超えた友情の大切さを訴えた物語だ。ノンフィクション、フィクションの違いがあるが、2冊は戦前と戦後という時代を背景に、懸命に生きる人たちを描いた作品だ。 ...続きを見る

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2015/10/28 15:18
1410 優しい「月の山」 届いた出羽の風景
(月山の降臨?現象) 森敦の『月山』(1974年に芥川賞を受賞)は、霊山である出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)の一つ、月山(1984メートル)の麓の小さな寺にある夏に住み着いた男が長い冬を過ごした後、どこかに去っていくという話の名作で、森自身の体験を基にした私小説だ。この作品で森は前段で月山について細かく描写している。たまたま山形の知人から月山の珍しい写真が届いた。それは美しい風景であり、霊山を象徴するような写真だ。 ...続きを見る

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2015/10/07 14:13
1408 ヨンキントとユトリロと 感受性強く知的な芸術家たち
詩人の大岡信は、『瑞穂の国うた』(新潮文庫)というエッセーの中で、秋のしみじみとした感じを象徴するのは酒であり、騒がしいビールの季節が終わり、10月は静かな日本酒の季節だという趣旨のことを書いている。酒がおいしい季節がやってきて、私の部屋のカレンダーは酒と縁が深いオランダの風景画家ヨハン・バルトルト・ヨンキント(1819年〜1891年)の『オーフェルスヒーの月光の下で』(オーフェルスヒーはロッテルダムの空港近くにある地区)という1871年作の絵になった。ヨンキントは日本ではあまり知られていないが... ...続きを見る

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2015/10/05 14:19
1407 垣間見る山頭火の世界 どこからともなく秋の雲
夜が明けても見える月、あるいは明け方まで残っている月のことを「残月」という。朝、西の空を見ると、すじ雲(巻雲)を従えて白くて丸い月が、すすきの彼方に浮かんでいた。一昨日の夜は、だれが名づけたのかスーパームーン(要するに満月)だった。白い残月、秋本番が近付いていることを肌で感じる朝だ。 ...続きを見る

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2015/09/30 13:27
1405 見えそうな金木犀の香り 開花した秋の花
見えさうな金木犀の香なりけり(津川絵理子) 金木犀が開花した。例年よりかなり早い。辞典には「中国原産で、仲秋のころ葉腋に香りの高い小花を多数つける。橙色の花を開くのが金木犀、白いものは銀木犀という」と出ている。わが家には金木犀が2本、銀木犀が1本あるが、後者は花が咲いても香りはあまりなく、気をつけないと、いつのまにか花が散っていたりする。 ...続きを見る

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2015/09/23 20:36
1404 維持してほしい風情ある姿 2つの小さな仏堂
全国に「阿弥陀堂」や「観音堂」「薬師堂」が幾つあるか知らない。だが、人それぞれに、この名称を持つ建物に接したことがあるだろう。2002年の映画『阿弥陀堂だより』に出てきた小さな阿弥陀堂は、味わい深い思いで見たことを覚えている。秋の彼岸の一日、茅葺の小さな「阿弥陀堂」と「観音堂」を見る機会があった。いずれも千葉県市原市の山あいにひっそりと建つ重文(国指定重要文化財)だが、私たち以外に堂に詣でる人の姿はほかになかった。 ...続きを見る

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2015/09/22 19:12
1400 大災害で救助された人間と犬 5万年前からの家族 
今月10日、北関東を流れる鬼怒川の堤防が茨城県常総市で決壊した。濁流に襲われて街が消える状況を映したテレビ画面は2011年の東日本大震災を想起するものだった。屋根に取り残された年配の夫婦と思われる2人がそれぞれ犬を抱えて、自衛隊のヘリによって救助されるシーンもあった。2人にとって、この犬たちは家族と同じ存在だったのだろう。 ...続きを見る

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2015/09/13 20:44
1399 飽食の時代を考える 首相動静とミンダナオの事件
新聞に首相動静という欄がある。そこには首相の前日の動きが掲載されている。ちなみに昨日(8日)の夜の動静は「午後6時53分、東京・内幸町の帝国ホテル着。同ホテル内の宴会場『梅の間』で日本経済新聞社の喜多恒雄会長、岡田直敏社長らと会食。午後8時55分、同ホテル発。午後9時13分、東京・富ケ谷の私邸着。9日午前0時現在、私邸。来客なし」とある。これを見ていて思うのは「飽食の時代」という言葉である。 ...続きを見る

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2015/09/09 10:12
1392 高校野球の「魔力」 私的決勝戦の印象
甲子園の夏の高校野球全国大会は、神奈川県代表の東海大相模が10−6で宮城県代表の仙台育英を倒して、45年ぶり2度目の優勝を飾った。仙台育英が一時6−6まで追い上げたが、9回表に東海大相模のエース、小笠原がホームランを打ち、さらにダメ押し点を上げて、追いすがる育英を突き放した。仙台に住んだことがある私には、この結果は残念でならない。 ...続きを見る

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2015/08/20 18:29
1388 繰り返してはならない「日本の一番長い日」 8月15日を前に
70年前の今ごろ、日本は太平洋戦争末期の断末魔状態にあった。それでも、旧陸軍を中心とする軍部は「一億総玉砕」を唱え、本土決戦を主張した。極限状況下にあって、人間は狂気に陥る。映画『日本の一番長い日』を見て、それをあらためて感じた。 ...続きを見る

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2015/08/13 23:22
1387 200万部売れた本 芥川賞は「又吉現象」
本は売れないという最近の出版界の常識を覆すように、第153回芥川賞を受賞した又吉直樹『火花』の発行部数が200万部を超えたという。今年の十大ニュースにノミネートされる現象といっていいだろう。駅の売店で、この作品が載っている文藝春秋9月号を買って、もう一つの芥川賞受賞作品、羽田圭介の『スクラップ・アンド・ビルド』とともに読んでみた。批判を恐れずに書くと、又吉作品がなぜ200万部以上売れるのか理解できなかった。 ...続きを見る

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2015/08/10 22:33
1382 『戦争紀行』(杉山市平著)再読 侵略戦争への警告
ことしは戦後70年になる。私的な俳句の会合が8月にあるが、この句会の兼題(出題によって事前に句をつくり、句会で発表すること)の一つが「終戦記念日」(傍題 敗戦忌、終戦の日、終戦日、八月十五日)と指定された。案内には「今年は昭和90年、戦後70年。節目にあたり一句試してみましょう」とあり、暑さに耐えながら句を考えている。そんな日常、8年前の2007年7月に出版された『戦争紀行』(いりす・同時代社)という本を再読した。 ...続きを見る

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2015/07/26 20:45
1381 美を考える ニュースに登場する醜悪な人たち
最近、美について考えることが多い。美という概念からは芸術、哲学から自然界まで幅広いものを感じとることができる。関心事の一つである仏像を見ても、その気品ある姿は美そのものである。私の家の墓地がある寺には薬師如来像がある。顔の表情はとても柔らかで、穏やかだ。こうした美とは対極にあるのが「醜悪」だ。それが新聞、テレビに度々登場する人たちから感じるのはどうしたことか。 ...続きを見る

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2015/07/22 21:07
1375 「マドレーヌに紅茶」と「羊羹にお茶」 『失われた時を求めて 全一冊』
「プル―スト効果」という現象がある。フランスの作家、マルセル・プルースト(1871-1922)の長編小説『失われた時を求めて』で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸したとき、その香りをきっかけとして幼いころの記憶が鮮やかに蘇るという描写から名付けられた、心理学や精神医学の世界ではよく知られた言葉だという。 ...続きを見る

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2015/06/30 22:26
1372 イザベラ・バードが見たアジサイ 『日本奥地紀行』より
梅雨の時期の花といえば、アジサイだ。この季節を好きという人はそう多くないだろう。だが、この花を見ていると少し気分は落ち着く。植物には南限や北限があるが、アジサイは日本のどこでもみることができる花である。イギリスの旅行作家、イザベラ・バード(1831〜1904)の『日本奥地紀行』(平凡社、高梨健吉訳、1885年版より)、あるいは『イザベラ・バードの日本紀行』(講談社学術文庫、時岡敬子訳、1880年版より)の中の北海道編にもこの花が出てくる。 ...続きを見る

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2015/06/18 22:34
1370 映画『おかあさんの木』 忘れてはならない戦争の不条理
ことしは戦後70年。あの戦争は遠い存在になったのだろうか。決して、そうとはいえない。国会では集団的自衛権の限定的行使を容認する安保法制が審議中であり、政権は憲法学者が口をそろえて「違憲」だと断じたことに耳を貸そうとしない、頑なな姿勢をとっている。世の中がおかしな雰囲気になっている。 ...続きを見る

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2015/06/09 09:01
1369 どくだみの季節 意外においしい?梅雨の花
関東地方まで梅雨入りした。この季節の花といえば紫陽花が一番幅をきかせているようだが、木陰を歩いていると、どくだみの白い花(白く密集して見えるのは総苞で、苞の中心に黄色い花を穂状に付ける=角川・俳句歳時記)が一面に咲いているのを見かける。薬用になることから「十薬」ともいわれ、どくだみ茶は老廃物の排出に効果があるという。そのほかこの多年草はゆでたり、てんぷらにしたりして食べると意外にうまいそうだ。 ...続きを見る

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2015/06/08 18:46
1365 世界が狂気になる前に 核廃絶への道は?
ニューヨークで開催されていた核不拡散条約(NPT)再検討会議が、1ヵ月も議論を続けながら最終文書を採択できないまま5月24日に閉幕した。広島、長崎の原爆被爆者の核兵器の廃絶の願いは、核保有国の身勝手によって消し飛んでしまった。手元にあったヘルマン・ヘッセ(1877〜1962)の「花に水をやりながら」(1932年8月28日)という短い詩を読み返した。 ...続きを見る

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2015/05/25 10:46
1363 読書の楽しみ 新しい世界への旅
読書の楽しみは何だろう。本を読むたびに新しい世界を知ることができ、脳が活性化する。だから、目が疲れても本を手放すことができない。以下は最近読んだ文芸作品だ。独断と偏見でその寸評を記してみる。 ...続きを見る

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2015/05/21 21:06
1361 5月は好きですか ノバラの芳香に包まれて
5月という月を嫌いな人はいるのだろうか。よほどの事情がある人を除けばかなり高い確率でこの季節は日本人にとって人気度は高いだろうと思う。「5月という月は、草花にせよ、鳥とか昆虫にせよ、生命力が躍動して大きく羽ばたく時期です」(新潮文庫『瑞穂の国うた』とは、詩人の大岡信の言葉である。 ...続きを見る

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2015/05/18 13:04
1360 人生の特別な一瞬 心に残る風景
叙情詩で知られた詩人の長田弘さん(75)が亡くなった。本棚にある長田さんの詩集『人生の特別な一瞬』(晶文社、2,005年)を取り出して、読み直した。この中に「もう一度ゆきたい場所」という詩がある。小学校と中学校、そして高校のことを書いた詩で、読む者に望郷を感じさせる。まず詩の全文を紹介し、後半では長田さんの出身地である福島県の元小学校校長の心温まる話を書いてみる。 ...続きを見る

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2015/05/11 10:16
1358 下がるほど美事(見事)な藤の花 山に広がる紫の房
山藤の花が見事に咲いている。藤の花は蝶形をしていて房になって咲いているのが特徴で、ことしは例年よりもその美しさが際立っているようだ。花が下を向いているために「下がり藤」とも呼ばれ、家運が下がるという理由で敷地内に植えるのは不吉だという説もある。しかし、かつて勢力を誇った藤原氏の家紋は下がり藤であり、藤=不吉説の真偽はよく分からない。 ...続きを見る

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2015/05/01 20:05
1353 二足のわらじの芸術家たち 多彩な才能に畏敬
手近にあったCDをかけると、ロシアのアレクサンドル・ボロディン(1833〜87)の「ノクターン〜弦楽4重奏曲第2番ニ長調第3楽章」が流れてきた。ボロディンといえば作曲家のほかに化学者の顔を持ち、二足のわらじを履き続けた人である。多方面に才能を発揮した人物と言えば、イタリア・ルネッサンス期のレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452〜1519)がいるが、一芸だけでなく多芸に才能を発揮する存在は少なくない。 ...続きを見る

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2015/04/20 16:38
1351 障害を持つということ 『奇跡の人』とつんく♂さんのこと
シンガソングライターで音楽プロデューサーのつんく♂さんが喉頭がんのため声帯を摘出、声を失ったことを母校・近畿大学の入学式で公表した。原田マハ著『奇跡の人』(双葉社)を読んでいる途中にこのニュースを知り、人にとって声を失うことがいかに大変なものであるかを考えた。 ...続きを見る

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2015/04/07 07:49
1344 戦争は人間の所業の空しさ 戦艦武蔵発見に思う
戦艦「武蔵」が米軍の攻撃で沈没したのは1944年10月24日のことである。それから既に70年が過ぎている。米マイクロソフトの共同創業者ポール・アレン氏がフィリピン中部のシブヤン海でその武蔵を発見したとインターネットのツイッターで写真や動画を掲載した。武蔵に間違いないとみられる。吉村昭の記録文学『戦艦武蔵』(新潮社)を本棚から探し出し、あらためて頁をめくった。 ...続きを見る

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2015/03/05 16:17
1342 透明感あふれる朝 開花待つ花々たち
文芸評論家の杉本秀太郎は「春の花は、どれも押しなべて人を過去のほうへ、回想へ、幼少時へと引き戻すのは何故だろう」(講談社学術文庫・花ごよみ)と書いている。春は花の季節でもあるが、杉本が書くように、この季節の花は桜やつくしをはじめとして人を回想へと引き戻す、不思議な作用を持つようだ。そうした花々の季節が近付いている。 ...続きを見る

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2015/03/02 14:41
1337 円環的な結末 ハッピーエンドの『サラバ!』
西加奈子が長編小説『サラバ!』(第152回直木賞を受賞)を書くに当たって、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』やイアン・マキューアンの『贖罪』を意識したかどうかは分からない。しかし、上下に及ぶ長編を読み終えての感想をいえば、この作品は2つの海外作家の名作と同様「円環的な結末」ということになる。 ...続きを見る

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2015/02/16 21:48
1335 春の声が聞こえる? 2月生まれの季節感
暦の上では立春が過ぎて「東風凍を解く」(暖かい春風が吹いて、川や湖の氷が溶け出すころ)季節である。実際には1年で一番寒い時期が続いている。霜柱が立ち、朝歩いていると、耳が痛くなをるほどだ。西の空には欠け始めた月が見える。しかし、夜が明けるのが次第に早くなり、「光の春」が近づいていることを実感する。 ...続きを見る

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2015/02/07 09:49
1331 貫く棒のごとき生き方 正月雑感
去年今年(こぞことし)貫く棒のごときもの 高浜虚子 エーゲ海の日の出  ...続きを見る

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2015/01/05 11:46
1329 外交史料館で「マッサン展」 スコットランドとの交流史
「マッサン展」という風変わりな名前の特別展が、外務省外交史料館で開催中だ。東京・麻布台の飯倉公館に隣接した外交史料館別館をのぞくと、明治以降からの外交資料の常設展示のほかに、「マッサン展 竹鶴政孝と知られざる日本・スコットランド交流史」と題して、日本で初めてウイスキーをつくった竹鶴政孝関係の資料が展示されていた。 ...続きを見る

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2014/12/29 11:31
1323 マスコミの役割いずこへ 2冊のジャーナリズム論を読む
最近の日本のマスコミ界は、何となくおかしい。時の政府を監視するという一番大事な役割を投げ捨て、政権にすり寄っている新聞、テレビが目についてしまう。マスコミ界から「へそ曲がり」がいなくなってしまったのか。そんなことはないはずだ……。こんなことに思い患っている昨今、マスコミについて語る2冊の本を読んだ。昔の本と新刊本である。 ...続きを見る

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2014/12/10 21:18
1321 太平洋戦争開戦から73年 「恐ろしい冒険」と記したチャーチル
風邪をひいて1週間、朝の散歩と公園でのラジオ体操をやめていた。今朝から再開したが、いつもの散歩の時間の6時過ぎでもまだ外は薄暗い。きょう12月8日は、73年前の1941年(昭和16)に日本軍がアメリカの真珠湾の攻撃を行い、太平洋戦争に突入した日である。 ...続きを見る

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2014/12/08 15:19
1318 「がんばっぺ までいな村」 原発事故で全村避難の飯舘村が絵本に
東日本大震災から3年8カ月が過ぎた。東京電力福島第1原発事故で、避難した福島の人々の多くは依然として故郷に帰る見通しがつかないまま、むなしい日々を過ごしている。その中に全村避難となった飯舘村の人たちが含まれている。日本のふるさとのような存在の飯舘の震災の前と後を描いた絵本が出版され、絵を描いたかとーゆーこさんの「原画展」が16日まで東京・秋葉原の画廊で開催された。 ...続きを見る

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2014/11/16 21:34
1317 渡り鳥がやってきた 白鳥と皇帝ダリアに寄せて
今朝は寒い朝だった。散歩コースから見た調整池は、外気が冷えたために発生する水蒸気が上がっていた。渡り鳥の姿も次第に増えている。渡り鳥といえば、白鳥の飛来地で知られる新潟県の人造湖・瓢湖にも白鳥の季節がやってきたという。知人から写真が届いたのを見て、冬の訪れを実感した。 ...続きを見る

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2014/11/14 10:01
1305 進まぬジャーナリズムの変革 メデイァ批評15年のコラム集
朝日新聞の原発事故をめぐるいわゆる「吉田調書」と慰安婦に関する「吉田証言」の2つの誤報問題は、日本のジャーナリズムが危機的状況にあることを感じさせる。そんなときに新聞通信調査会が刊行した『ジャーナリズムよ メディア批評の15年』という本に目を通した。 ...続きを見る

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2014/10/06 11:07
1301 国産ウイスキーをつくった竹鶴政孝の生涯 再読『ヒゲのウヰスキー誕生す』
先ごろ、イギリスからの独立の可否を問う住民投票があり、独立反対票が賛成票を上回り、イギリスにとどまることになったスコットランドは、スコッチウイスキーの生産で知られる地域である。18世紀までは、スコットランドの地酒に過ぎなかったウイスキーが、イギリスだけでなく全世界で飲まれるようになるのは、本格的な酒税導入の結果だと川又一英著『ヒゲのウヰスキー誕生す』(新潮社)の中に書かれている。 ...続きを見る

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2014/09/24 16:56
1282 hana物語(24) 第2章 つぶやき1
人はなぜペットを飼うのだろうか。さまざまな事情があるだろうが、私の家族の場合は、思わぬ形でやってきたhanaという珍客を私と娘が大賛成、妻は戸惑いの気持ちで迎え入れた。 ...続きを見る

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2014/09/03 07:30
1274 hana物語(16) 金木犀とともに
私がhanaの骨を庭の一隅に埋めてやろうと思った理由は、家族の「近くに置きたい」という言葉だけではない。私のブログにリンクしている「消えがてのうた part2」のaostaさんの「ボンボンがいた日々」(2012年8月31日)という、絶唱ともいえるブログを読み、さらに名作「ハラスのいた日々」で、作者の中野孝次さんが愛犬ハラスの亡骸を庭の柘榴の木の根元に埋めたことを書いていたことを思い出したからだ。 ...続きを見る

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2014/08/26 08:52
1270 hana物語(12) 私は末っ子
hanaは小さいころからわが家にしばしば遊びにやってきていたので、3歳過ぎてからわが家に移り住んでもすぐに慣れてしまった。当時、わが家は私と妻、2人の娘の4人暮らしで、hanaは3番目の娘、すなわち末っ子のような存在になった。 ...続きを見る

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2014/08/19 08:37
1265 hana物語(7) 短い命を燃焼
人間と飼い犬の強い結びつきは「忠犬ハチ公」の話でよく知られている。飼い主が愛情をかければ、犬にもそれがよく伝わるということなのだろう。 ...続きを見る

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2014/08/12 22:35
1261 一陣の涼風が アジア教育友好協会の本『輝く瞳とともに』
アジアの山岳地帯で学校を建設しているアジア教育友好協会という認定NPOがある。私も会員になっているこのNPOが、ことしで創立10周年を迎えた。ラオス、ベトナム、タイの山岳少数民族地帯で建設した学校は191校になる。10周年の記念に『輝く瞳とともに アジアの途上国に学校をつくった人たちの物語』(かんき出版)という本を出版した。この本には、どのようにしてAEFAが山岳少数民族地帯で学校建設に取り組み、村々に溶け込んだのか、支援者の声や現地の実情を中心に克明に記されている。 ...続きを見る

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2014/08/08 22:38
1256 はびこる「緑の怪獣」 繁殖力旺盛なクズがイタズラ・注意看板を覆う
朝の散歩の途中、調整池の周りで写真のような看板を見た。看板には「かいだんちゅうい あぶない!」の文字と、青い体をした伝説の生き物・カッパらしいものが池にはまっている。その看板をツル性の植物がぐるぐると巻きつき、怪しい雰囲気を醸し出している。それは「緑の怪獣」の異名を持つクズ(葛)の仕業だった。繁殖力の強いクズがこの周辺でも確実に生息範囲を広げている。 ...続きを見る

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2014/08/03 14:22
1255 待宵草が咲いている hanaの死から1年
朝、いつもの散歩コースである調整池の周囲を歩いていると、黄色い花がひっそりと咲いているのを見かけた。帰宅して図鑑で調べると「マツヨイグサ」(待宵草)と分かった。この花はたしか昨年の夏も見た。しかし、わが家で飼っていた犬のゴールデンレトリーバー(メス11歳)のhanaが重い病気にかかっていて、散歩をしていても花を楽しむ余裕はなかったから、写真も撮っていない。 ...続きを見る

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2014/07/30 20:57
1253 ユリの季節 牧野富太郎の考察を読む
「百合の香を深く吸ふさへいのちかな」。ハンセン病の療養所で生涯を送った俳人、村石化石(ことし3月8日、91歳で死去)の句。 ...続きを見る

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2014/07/23 11:32
1250 マレーシア航空機撃墜で「藪の中」を考える 現実の機微は……
「藪の中」という言葉がある。広辞苑には「関係者の言うことが食い違っていて、真相が分からないこと」とある。芥川龍之介の短編小説『藪の中』が、この語源といわれる。ウクライナで起きたマレーシア航空機撃墜事件でも、ウクライナ対親露派・ロシアの言い分が対立している。 ...続きを見る

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2014/07/19 10:26
1246 憂鬱な季節でも 梅雨には読書を
 気象庁主任技術専門官の宮尾孝さんが書いた「雨と日本人」(MARUZEN BOOKS)という本を読んだ。今は雨とは一番縁が深い季節である。このところ、梅雨の晴れ間がのぞいて、憂鬱さは少し解消されたが、やはり、この季節はうっとうしい。石原とか鈴木とかいう政治家(屋)たちの妄言・暴言がこれに輪をかけている。紫陽花が咲いていなければ、さらに気持ちが落ち込むのではないかとさえ思ってしまう。    宮尾さんの本によれば、日本人はこんな憂鬱な季節は早く過ぎ去ってほしいという願望を持ち、良寛和尚でさえその... ...続きを見る

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2014/06/24 11:44
1239 故郷の原風景とは 盲目の詩人の静かな問いかけ
「コールサック」という詩誌に、金沢在住の詩人、うおずみ千尋さん(69)が「盲目の日に」という連載エッセイを載せている。最新号の78号には「故郷の風景―3月11日に寄せて―」と題して、うおずみさんが故郷の福島県いわき市で送った少女時代の思い出について書いている。 ...続きを見る

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2014/05/21 11:07
1238 一面が白い幻想の世界 ノイバラ咲く調整池
散歩コースに調整池があることは、このブログで何回も書いている。周囲が1周1キロほどの散歩コースになっていて、すり鉢状の底の部分に池が3分の1、残りが雑草地帯(野原)になっている。雑草のほかにいつの間にか雑木も育ち始め、現在は一面白い花のノバラ(ノイバラ)が咲いている。野原に咲くノバラは幻想的である。ノバラで多くの人が思い出すのは、「童は見たり…」の「野ばら」というあの歌だろう。しかし、この歌に出てくるノバラは白ではなく赤い色である。なぜなのだろう。 ...続きを見る

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2014/05/20 16:21
1235 キジバトその後 巣作り終えてひなを待つ
キジバトの話を先週のブログに書いた。5月7日にキウイフルーツの木の間に巣作りを始めたハトたちは、しばらくは午前中の短い時間しか巣にいなかったが、いつのまにか完成し、卵を産んだのか11日からは終日、巣の中に必ず一羽がいるようになった。平和の象徴といわれるハトの雛が無事にかえることを願う日々がしばらく続くことになる。 ...続きを見る

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2014/05/13 10:41
1233 桐花の香りに包まれて 奇麗な風吹く散歩道
都市部ではほとんど見かけなくなったのが桐の木だ。その桐の木が私の散歩コースの調整池の斜面に2本ある。花の季節を迎え、大きくなった2本の木は薄紫の花をびっしり咲かせている。花を見上げていると、紫の花から何やらかぐわしい香りが漂ってくる。正岡子規は5月から6月にかけての季節を「六月を奇麗な風が吹くことよ」と詠んだが、いま、調整池の周囲にもきれいな風が吹いている。 ...続きを見る

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2014/05/09 07:25
1232 死語でなかった「奴隷」という言葉  ナイジェリアの女子生徒誘拐事件に思う
ナイジェリアといえば、奴隷海岸を思い浮かべる。13世紀にポルトガルによってラゴスが建設され、奴隷貿易の拠点となり、その後17世紀から19世紀にかけてヨーロッパの貿易商たちはアフリカの人々をアメリカ大陸に奴隷として送り続け、ナイジェリアの海岸一帯は「奴隷海岸」といわれた。そんな歴史を持つナイジェリアで起きたイスラム過激派による多数の女子生徒誘拐事件は、パキスタンのマララさんの事件と符合するものだ。 ...続きを見る

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2014/05/08 09:50
1230 「躑躅の花で山が燃えるよう」 難しい当て字の話
近くの泉自然公園(千葉市若葉区)に行くと、山躑躅(ヤマツツジ)の花が満開だった。華やかで、躑躅がある一帯は燃えているような錯覚に陥った。それにしても、躑躅という字は難しい。あまりに難しいので、平仮名かカタカナで書くことが多いのではないか。杉本秀太郎著「花ごよみ」(講談社学術文庫)には、次のような解説が載っていた。 ...続きを見る

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2014/04/28 09:57
1228 酒を傾けて アルコールにまつわる話
「酒 傾ければ 愁い来らず」(月下独酌より)。唐時代の詩人、李白はこんな詩を残している。 ...続きを見る

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2014/04/25 15:28
1227 機械とシステムが進化しても 大惨事に思うこと
乗客乗員239人を乗せたマレーシア航空機が行方不明のまま40日以上が過ぎた。発見の手掛かりがないまま、このニュースも途絶えがちだが、韓国では16日、全羅南道珍島近くで旅客船「セウォル」号が沈没、現在までの情報では修学旅行のソウル市内の高校生ら33人が死亡、269人の安否が不明(179人が救助され、修学旅行引率者の教頭が自殺した)という痛ましい事故が発生した。救助活動は難航しており、世界中の人々が息を詰める思いでニュースを見ているのではないか。 ...続きを見る

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2014/04/19 20:38
1226 「ぼく、いいものいっぱい」 異文化で生きる子どもたちの絵本
「ぼく、いいものいっぱい―日本語で学ぶ子どもたち―」(子どもの未来社)という絵本が出版された。海外から日本にやってきた子どもたちを教える日本語学級で、長い間教師をしていた知人の善元幸夫さん(63)が丸山誠司さんの協力で絵本にまとめたものだ。 ...続きを見る

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2014/04/11 22:40
1225 木々の若葉の光 百花繚乱の季節に
百花繚乱の季節である。その意味は、「種々の花が咲き乱れること。転じて、優れた人・業績などが一時にたくさん現れることをいう」(広辞苑)だそうだ。これからの季節は、文字通り百花繚乱といっていいほど、花が次々に咲く。わが家の狭い庭を見てもパンジー、チューリップ、海棠、シャクナゲ、ミモザが咲き、ハナミズキ、オオデマリの全盛期もそこまで来ている。そんな季節、STAPという名の万能細胞をめぐるニュースは見ていて憂鬱になる。集中砲火にさらされた自称「未熟」という若き研究者に未来があるのかと思い、学問・研究の世... ...続きを見る

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2014/04/10 16:23
1224 観桜のころ 花の冷えと花の重さの下で
花の冷えと花の重たさの下をゆく―。中央公論の名編集長として知られた俳人篠原梵の句である。山本健吉はこの句について「らんまんと咲いた花の下を行く。その冷えと重さを感じながら―。言い方に近代風の機知が感じられる」(句歌歳時記・春、新潮社)と評している。桜の花と冷えは付き物のようで、わが家周辺の桜は満開だが、桜の下を歩くと、冷えとともに、花の重さも感じる気がした。 ...続きを見る

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2014/04/06 17:24
1223 「一九四五年に生まれて」 パーキンソン病とたたかう友人の静謐な文章
知人が重い病気になった。現代の3大病といわれるものの1つだ。自覚症状がないままに病は進行し、知人の体を蝕んだ。知人から病の話を聞いて心が沈んでいるとき、パーキンソン病と闘う友人から、1冊の本が届いた。 ...続きを見る

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2014/04/02 23:08
1222 さまざまの事おもひ出す桜かな 東京を歩いて
「さまざまの事おもひ出す桜かな」。芭蕉45歳(1688年)の時の句である。桜が満開になった先日、こんな思いを抱きながら東京の街を歩いた。 ...続きを見る

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2014/04/01 15:16
1215 南米の旅―ハチドリ紀行(4) パラグアイ移民として50年
イグアスの滝からの帰り、パラグアイ・イグアス市の移住地で東京五輪(1964年)の直前に鹿児島から移住したという一人の日本人に会った。園田八郎さん(64)である。南米移民というと戦前の話かと思っていたが、高度経済成長の陰で依然として移民政策は続いていたのだ。いまではパラグアイ経済を支えるまでになったという日系の人たちの存在。園田さんの話は興味が尽きなかった。 ...続きを見る

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2014/03/20 11:12
1211 雛祭り終え菜の花の季節 ある句会にて
正岡子規の研究をライフワークにしている知人の呼び掛けで、2011年夏から世代の近い人たちが集まり、酒を飲みながら子規のことを中心によもやま話をする「子規を語る会」の会合が開かれている。私も参加しているその会合がいつの間にか9人の「句会」へと発展し、先日、今年初めての会が開かれた。私を含めほとんどのメンバーはこれまで俳句とは縁のない生活を送っており、事前に宿題のように出される「兼題」と当日の試験ともいうべき「席題」に四苦八苦しながら取り組んだ。 ...続きを見る

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2014/03/04 16:32
1210 したいことに理屈をつける人間 3月は交替の季節
前回のブログに引き続き「言葉の贈物」(岩波文庫)からの引用。「理性ある動物、人間とは、まことに都合のいいものである。したいと思うことなら、何にだって理由を見つけることも、理屈をつけることもできるのだから」。米国の政治家・科学者で「建国の父の一人」(独立宣言の起草委員)といわれるベンジャミン・フランクリン(1706−1790)の言葉である。 ...続きを見る

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2014/03/02 17:20
1209 現代の状況を見通していた?ゲーテ 賢明に身を保つこととは
「人はいつも考えているものだよ」とゲーテは笑いながらいった。「利口になるには年をとらねばいけないねとね。だが、実のところ、人は年をとると、以前のように賢明に身を保つことは難しくなってくる」―。これはドイツの詩人で作家のヨハン・ペーター・エッカーマン(1792年−1854年)による「ゲーテとの対話」の一節(岩波文庫・ことばの贈物)だ。昨今、著名人による言葉の軽さ、賢明さとはかけ離れた言動が目につく。わが身を振り返っても、ゲーテの言葉は耳が痛い。 ...続きを見る

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2014/02/28 10:42
1208 いまも色あせない芸術作品 モネとマーク・トゥインに触れる
偶然だが、この1週間に2人の個性的な芸術家の世界を垣間見る時間を持った。フランスの画家・クロード・モネ(1840年11月14日―1926年12月5日)の作品を中心にした「「モネ、風景をみる眼」展(国立西洋美術館)を見、「トム・ソーヤの冒険」で知られる米国の作家・マーク・トゥイン(1835年11月30日―1910年4月21日)のノンフィクション作品「ヨーロッパ放浪記」(彩流社、上下巻)を読んだからだ。2人の作品に共通するのは、1世紀以上の年月が過ぎても色あせない新鮮さであり、自然や人間を見る眼の確... ...続きを見る

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2014/02/25 09:07
1206 3・11、最前線の初動は インタビュー集「『命の道』を切り開く」
「降る雪が雨へと変わり、氷が解け出すころのこと。昔からこの季節は農耕の準備をはじめる目安」―きょう19日は24節気の「雨水」に当たる。立春が過ぎ、雨水、啓蟄を経て春分へと季節は向かっていく。 ...続きを見る

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2014/02/19 22:15
1203 相次ぐ人気車種のリコール ソチ五輪の陰で
ソチ五輪のニュースが大きく扱われている中で、11日と13日の新聞に日本の代表的自動車メーカーであるホンダとトヨタの人気車種、ハイブリット・フィット(ホンダ)、プリウス(トヨタ)のリコールの記事が載っている。対象の車はフィットが8万1000台、プリウスは日本だけでも99万7千台だという。こんな記事を見ていると、本当に安心して車に乗っていいのか不安になる。若者の車離れが加速するのも当然かもしれない。 ...続きを見る

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2014/02/13 14:26
1202 幻のオリンピック物語 2020東京大会は成功するのか
ロシアのソチで冬季五輪(第22回)が開催されている。旧ソ連時代、1980年夏の大会がモスクワ(22回大会)で開かれたが、アフガニスタンへのソ連軍の侵攻をめぐって日本を含む西側の多くの国が参加をボイコット、寂しい大会になった。そんな経緯があり、ロシアにとっては国の威信をかけた2度目のオリンピック開催といっていい。そのためか、開会式ではロシアの栄光の歴史を紹介し、「偉大なるロシア」を強調する演出だったと、報道されている。 ...続きを見る

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2014/02/10 21:05
1198 カメラは特別な目 霧の朝の一断面
3日は節分。歳時記には「立春の前日で、新暦2月3日ごろにあたる。もともと四季それぞれの分かれ目をいう語だが、現在は冬と春の境をいう」(角川学芸出版編)とあり、光の春がそこまで近づいている節目の一日なのだ。朝、自宅周辺は濃い霧に包まれた。外気が暖かく、手袋やマフラーを外して歩いても寒くはない。カメラを持って朝の散歩に出た。 ...続きを見る

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2014/02/03 14:14
1197 時代・歴史を考えるきっかけ 小説「ああ父よああ母よ」と映画「小さいおうち」
最近、加賀乙彦の小説「ああ父よああ母よ」(講談社)を読み、山田洋次監督の映画「小さいおうち」を見た。 ...続きを見る

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2014/02/01 18:59
1194 かぐや姫の物語 モルッカ(インドネシア)にもあった竹取物語
アニメ映画「かぐや姫の物語」(高畑勲監督)は、日本最古の物語といわれる「竹取物語」を映像化したもので、美しい色彩が心に残る作品だ。 ...続きを見る

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2014/01/22 21:46
1193 シリウスで気付く多様な価値観  物事には光と影が
太陽を除き、地球から見える最も明るい恒星(自ら光を発する天体のこと)はシリウス(おおいぬ座の一等星)だという。いまの季節、夜空に輝いて見えるので目に付く星だ。出雲晶子著「星の文化史事典」(白水社)には、星に関する様々な話が出ており、シリウスについてもやや長めの文章で紹介している。そこには国によってこの星に対する見方が異なることが書かれていて、世界では物の見方が多様であることを再確認する思いで読んだ。 ...続きを見る

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2014/01/21 10:56
1191 子規と漱石の青春 伊集院静の「ノボさん」
伊集院静の新作「ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石」は、日本の文学史上に大きな足跡を残した2人の交遊をテーマにした小説だ。小説とはいえ実在した人物を取り上げているため、ほぼ史実に沿った内容といえる。 ...続きを見る

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2014/01/16 10:26
1189 寂しい冬景色の城跡 佐倉で子規は何を思ったのか
国立歴史民俗博物館がある千葉県佐倉市の佐倉城跡に俳人・正岡子規直筆の句碑がある。 ...続きを見る

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2014/01/09 21:53
1188 16歳少女の不屈の志 「わたしはマララ」を読む
パキスタンのマララ・ユスフザイさんは16歳の少女である。同世代でマララさんほど世界に名を知られた少女はいないだろう。女性にも教育の機会をと訴え続け、イスラム過激派のタリバンによって頭を銃撃されたマララさんは奇跡的に命の危機を脱し、2013年国連で「学校に行けない子どもたちのために1冊の本と1本のペンを」とスピーチした。 ...続きを見る

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2014/01/08 21:52
1186 藍と茜の光景 ほのぼのとした年のはじめに
「初空の藍と茜と満たしあふ」(山口青邨)。 ...続きを見る

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2014/01/02 22:45
1184 森で見た天狗の羽団扇 ヤツデの白い花、そして梨木香歩「冬虫夏草」
小さな森を歩いていると、白い球状の花が咲いている木があった。ヤツデである。この木はかつて鑑賞用や目隠し用として家々に植えられていて、珍しくなかった。 ...続きを見る

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2013/12/27 14:02
1180 荘子・胡蝶の夢に惹かれて ある詩人を偲んだ絶唱
詩人の飯島正治さんが亡くなって3年が過ぎた。亡くなる1年前の2009年から飯島さんが中心になって発刊した詩誌「薇」の第9号が手元に届いた。9人の同人による詩と「小景」という短いエッセーが掲載されている。言葉と向き合う達人たちの詩の中で、ふくもり いくこさんの「胡蝶の夢」が心に残った。荘子をめぐるやりとりを記し、飯島さんを偲んだものだ。 ...続きを見る

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2013/12/12 06:41
1171 そうか、もう君はいないのか 滅びの美の季節
「そうか、もう君はいないのか」―。作家の城山三郎が亡くなった愛妻の回想を記し2008年に出した本の題名だ。来年の年賀状が売り出され、同時に喪中の便りが届く季節になった。年々、この便りは増えているな。そんな思いで一枚のはがきを手に取った。すると、ここ10数年、年賀状のやり取りだけで会う機会がなかった友人の奥さんからの「夫が亡くなったため、年頭のあいさつを失礼させていただきます」という喪中の便りだった。 ...続きを見る

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2013/11/22 22:10
1169 「天を突く皇帝ダリア空碧し」  コーヒー哲学序説
物理学者で随筆家だった寺田寅彦は「コーヒー哲学序説」という作品を残している。題名からすると、論文のようにも思えるが、コーヒーとのかかわりを書いたエッセーである。その中で次の2つの言葉は、コーヒーの本質を突いたもののように受け止めることができる。 ...続きを見る

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2013/11/18 12:17
1165 自分史執筆のすすめ 堀淳一著「旅で出会ったアメリカ人」を読む
この世の中にはさまざまな人生がある。いま、生きている人それぞれに歴史があり、何かしら他の人を惹きつける物語を持っている。昨今は、そんな自分の半生を振り返って一冊にまとめる自分史ブームのようだ。旧知の堀淳一さんから「旅で出会ったアメリカ人」という本が届いた。40年以上前の米国の大学留学時代に体験した旅の記録である。 ...続きを見る

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2013/11/05 23:17
1163 野球の神様の遺言 問われるトップの力量
打撃の神様と呼ばれたプロ野球の強打者で、巨人の監督として9年連続日本一(V9)という偉業を成し遂げた川上哲治さんが老衰で亡くなった。93歳だったから、大往生だったといえるだろう。昨夜の日本シリーズ楽天―巨人戦前には、東京ドームで川上さんの死を悼んで黙とうがささげられた。日本の球史に残る人だった。以前、川上さんが書いた「遺言」という本を引っ張り出して、読み返してみた。一芸に秀でた人は、物の見方も優れていることをこの本で再確認した。 ...続きを見る

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2013/10/31 10:35
1161 秋の彩(いろ)は芳香とともに 金木犀の季節
「金木犀の散りし花穀(はながら)降る雨にひとつひとつ光るこの秋の彩(いろ)」 ...続きを見る

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2013/10/06 10:13
1152 つかの間の喜悦〜それはまたつかの間に地に堕ちる 五輪と古代ギリシャ詩人
2020年の夏の五輪(第32回)・パラリンピック開催地に東京が決まった。アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されているIOC総会の中継のテレビ映像を、早朝から見ていた人は多いだろう。歓喜に沸くシーンを繰り返し流すテレビの映像を見ながら、最近読んだばかりの詩の一節を思い浮かべた。その詩は、古代ギリシャの詩人、ピンダロスの古代オリンピックの讃歌だ。 ...続きを見る

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2013/09/08 10:59
1150 ラジオ体操の効用 被災地ではおらほの…
飼い犬がこの世を去ってから、朝の散歩の代わりに始めたのがラジオ体操だ。近所の公園前の遊歩道の広場で町内会の有志が中心になって始まったのが、いまでは50人近い集まりになっている。8月初めから参加してちょうど1カ月が過ぎ、ようやく体も慣れてきた感じがする。義務教育時代はいやいややっていたはずだが、一応体は覚えていて、何とか間違わずに終えることができるようになった。 ...続きを見る

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2013/09/03 15:20
1150 hana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(16)金木犀とともに
私がhanaの骨を庭の一隅に埋めてやろうと思った理由は、家族の「近くに置きたい」という言葉だけではない。このブログにリンクしている「消えがてのうた part2」のaostaさんの「ボンボンがいた日々」(2012年8月31日)という、絶唱ともいえるブログを読み、さらに名作「ハラスのいた日々」で、作者の中野孝次さんが愛犬ハラスの亡骸を庭の柘榴の木の根元に埋めたことを書いていたことを思い出したからだ。 ...続きを見る

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2013/08/27 10:14
1148 hana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(14)短い命を燃焼
人間と飼い犬の強い結びつきは、「忠犬ハチ公」の話でよく知られている。飼い主が愛情をかければ、犬にもそれがよく伝わるということなのだろう。以前、読んだモンゴメリーの「アンの娘リラ」という小説の中にもそれを示すエピソードが盛り込まれている。hanaが通っていた近所の動物病院の医師がhanaを診察しながら「この子にとって飼い主さんの愛情が一番のごちそうなのです」と話してくれたことがある。それは忘れることができない言葉として私の胸に刻まれている。 ...続きを見る

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2013/08/22 17:36
1143 hana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(9)別れの時
このブログでは、時々「hanaのつぶやき」と題して、hanaにまつわる話を登場させてきた。犬にどこまで思考能力があるかどうか議論が分かれるかもしれないが、私は「ある」と確信している。そしてhanaならこんな時こんなふうに思うだろうと想像し、hanaの立場で様々な日常的事象についてつぶやかせてみた。 ...続きを見る

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2013/08/13 09:36
1142 hana物語 あるゴールデンレトリーバー11年の生涯(8)私は末っ子
hanaは小さいころからわが家にしばしば遊びにやってきていたので、3歳過ぎてからわが家に移り住んでもすぐに慣れてしまった。当時、わが家は私と妻、2人の娘の4人暮らしで、hanaは3番目の娘、すなわち末っ子のような存在になった。外で飼うことも考えたが、それまでの3年余、家の中で暮らしていたためか外に置いてみると「キュン、キュン」と悲しそうな声で泣く。仕方なく私も家の中で飼うことに同意した。以来、hanaは家の中で存在感を示し続けた。 ...続きを見る

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2013/08/10 17:29
1127 ベトナム・カンボジアの旅(1)  アンコールワットへの夢果たせず死んだ記者
都市にはそれぞれの歴史がある。それは日本だけでなく世界中のどの都市にも当てはまる。そしてそこに住む人たちもまた、都市とともに歴史を刻んでいる。東南アジアのベトナム、カンボジアのいくつかの都市を旅した。20世紀後半まで戦火に包まれ、多くの国民が血を流し、命を失った悲しい歴史を持つ両国はどう変化したのだろうか。 ...続きを見る

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2013/07/17 10:28
1125 神様の贈り物の時間を生きる… 愛犬をめぐる7つの物語
「3歳までは幼犬、6歳までは良犬、9歳までは老犬、10歳からは神様の贈り物」。スイスでは大型犬に関して、こんな言葉があるという。特にこの国が生まれ故郷であるバーニーズ・マウンテン・ドッグは短命であり、文字通り10歳過ぎると、この犬は急速に衰えていくようだ。馳星周の犬と家族をテーマにした短編集「ソウルメイト」(集英社)を読んだ。その中に、こんな悲しい言葉が紹介されていた。 ...続きを見る

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2013/07/04 10:51
1119 ことしの花は寂しい アジサイを見に行く
アジサイの季節だ。だが、ことしのわが家周辺のアジサイは精彩がない。わが家の数本と、遊歩道に植えられたアジサイとも花芽が少なく、梅雨入りしてこの花の開花の時期になっても、例年のような瑞々しい花の饗宴はない。インターネットで調べると、花が少ない理由として枝の剪定のやり過ぎや夏場の温度不足、肥料過多、冬場に霜や寒さのためつぼみが十分に育たなかった―などがあるという。私の家の周辺のアジサイは、冬の寒さが影響したらしい。 ...続きを見る

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2013/06/09 19:02
1115 ハトが生け垣に巣作り  欧米の動物愛護の常識は
わが家の庭の生け垣(ヒイラギモクセイ)にハトが巣をつくっているのを知ったのは、10日前のことだ。朝、犬の散歩から帰ってくると、どこかでハトが鳴いている。その声はいやに近い。よく見てみるとハナミズキの木の後ろにある生け垣の間から、ハトの姿がちらちらしている。迷惑にもならないので、毎日巣づくりを観察しているこのごろだ。 ...続きを見る

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2013/05/28 07:09
1113 まとめて読書 系統なき乱読の日々
最近、読んだ本のことをあまり書いていない。そこで、まとめて最近読んだ本について記してみる。小説とノンフィクションが半々だ。以下、その題名(著者)と寸評。あくまでも私自身の感想であることをおことわりしておく。 ...続きを見る

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2013/05/22 09:25
1112 被災地で見た野犬の話 わが家のhanaの話がアマゾン・キンドル本に
朝のテレビを見ていたら、16歳3カ月のゴールデンレトリーバーが出ていた。東京・渋谷の蕎麦屋の看板犬で、街の人に愛されているという。人間なら100歳を超える「おばあちゃんわんこ」と、ナレーションのアナウンサーが紹介していたが、なかなかいい表情をしており、歳を感じさせなかった。同じ種類のわが家の犬が最近体調不良なので、元気な先輩犬の存在が印象に残った。 ...続きを見る

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2013/05/21 16:52
1108 出会いの瞬間が大切 本間秀夫写真集「純白の貴婦人 オオバナノエンレイソウ」を見る
北海道で生活したことがあり、少し野の花に興味を持つ人なら、「オオバナノエンレイソウ」(大花延齢草とも書く)の存在は知っているだろうと思う。この花の魅力にひき寄せられた川崎在住のフリーフォトグラファー・本間秀夫さんは長年にわたって北海道に通い、4月に「純白の貴婦人 オオバナノエンレイソウ」(ナチュラリー社刊)という写真集を出した。20年来のこの花に寄せる思いが凝縮された写真集は、可憐な花の姿を通じて自然保護の重要さを訴えている。 ...続きを見る

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2013/05/04 21:53
1106 村上本はなぜ売れる 居酒屋談義2 「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
村上春樹の新刊本「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が発売から1週間で100万部を超えたそうだ。発売元の文藝春秋は笑いが止まらないだろう。社員は夏のボーナス増を期待しているのではないか。一方、「1Q84」など多くの村上本を出している新潮社は、残念無念の思いで今回の村上本騒動を見ていることと想像する。行きつけの居酒屋で、中年のサラリーマン2人が新しい本を話題にビールを飲んでいた。「1Q84」の時もそうだったが、村上春樹の新刊本は社会現象になるようだ。以下、2人の会話。 ...続きを見る

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2013/04/25 11:58
1102 書き記す者の務め 高橋郁男著『渚と修羅』を読む
私が被災地に初めて入ったのは、大震災から1カ月後の2011年4月16日だった。羽田から岩手・花巻空港に飛び、レンタカーを利用して釜石、大槌、山田、宮古を回った。被災地をこの目で見たいという気持ちを抱きながら、様々な制約があり、ようやく実現した旅だった。知人の高橋郁男さんは震災をテーマにした「渚と修羅」(コールサック社)という作品の中で、こんなことを書いている。「一人の『書き記す者』として3・11大震災という人と時代の営みを激しく揺るがす事態を、及ばずながらも、未来に向けて記述しておくことが務めの... ...続きを見る

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2013/04/08 22:33
1100 笑いが止まらないが… 福島の原風景描いた「夕焼け小焼けで陽が昇る」
映画の「always3丁目の夕日」は、舞台設定が昭和30年代の東京・下町だった。日本が敗戦から立ち直り、復興へと歩み、経済の高度成長が始まる時代の貧しくても明るい人々が描かれている。これに対し、小泉武夫の「夕焼け小焼けで陽が昇る」(講談社文庫)は、福島・阿武隈山中の村に住む少年たちが、知恵を絞って自然の中で遊び抜くという、同じ時代の地方の姿を軽妙なタッチで表現した小泉の自伝的小説だ。 ...続きを見る

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2013/04/02 15:43
1097 電子書籍時代のある体験 アマゾン・キンドルストアで「出版」
日本も「電子書籍(本)時代」になったという。これまでは紙の本の時代で、読書家といわれる人は数多く本に囲まれて生活していた。近未来、紙の本から電子端末による読書という姿が一般的になるのだろうか。電子端末の「キンドル」を持つ知人の希望で、私自身がこれまで書きためた文章の一部を電子書籍として登録してみた。 ...続きを見る

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2013/03/29 18:31
1090 鈍牛・知性派首相の生涯 辻井喬・茜色の空
自民党の現職の総理大臣(首相)だった大平正芳氏が急死したのは1980年(昭和55)6月12日のことである。大平内閣の不信任決議案が可決され、衆院を解散した大平氏は、5月30日の公示日、新宿で第一声の街頭演説をしたあと体調不良となり、翌日虎ノ門病院に緊急入院した。一時は回復するかに見えたが、12日朝、容態が急変、心筋梗塞のため70歳3カ月で亡くなった。辻井喬の「茜色の空」を読んだ。「鈍牛」といわれ、「アー、ウー」が代名詞だった大平氏の評伝ともいえる小説だ。サブタイトルに「哲人政治家・大平正芳の生涯... ...続きを見る

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2013/02/26 16:38
1086 朝霧に神々しい2月の太陽  散歩コースにも光の春
いつもの犬との散歩コースの調整池周辺。休日の早朝。池から霧が漂っている。寒い2月の朝。霧は限定的で池以外は透明感ある風景が広がっている。なかなか幻想的だ。しばらくすると、太陽が昇ってきて、霧の後方にまばゆい光が増し始めた。「朝霧の富士を尊とく見する哉(正岡子規、明治25年)という句があるが、池の朝霧は、太陽をより一層神々しく見せてくれる。 ...続きを見る

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2013/02/11 21:43
1085 ソロモン諸島の地震と映画「ライフ・オブ・パイ」 危機を乗り越えるのに必要なことは
マグニチュード8・0という巨大地震が起きた南太平洋のソロモン諸島に、以前旅したことがある。直行便はなく、成田からグアム、ナウル経由で首都ホニアラに入った。 ...続きを見る

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2013/02/07 21:04
1084 謙虚な指導者像 新島襄と自責の杖、そして八重
ことしのNHK大河ドラマ「八重の桜」は、福島県会津若松出身で、同志社大学の創設者新島襄の妻・新島八重の生涯を描いている。同志社出身の作家、福本武久は八重を主人公に2冊の小説(「小説・新島八重 会津おんな戦記」「新島襄とその妻」を書いている。 ...続きを見る

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2013/02/04 15:57
1081 小さな劇にすぎなくとも 琵琶湖近くの「故郷の廃家」の物語
「故郷」とはなんだろう。辞書には「生まれ育った土地。ふるさと。郷里」などとある。「東京生まれだから故郷はない」と話す人もいるように、この言葉が地方を強くイメージしていると受け止めていいだろう。 ...続きを見る

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2013/01/24 14:55
1079 「人は生き、愛し、苦しみ、亡くなる」 美しい横綱・大鵬との別れ
不世出の大横綱といわれた大鵬が19日に亡くなった。いつも遠くを見るような、哀しみを湛えたような風貌を忘れることができない。土俵入りは孤高さを感じさせ、私は「この人は笑ったことがあるのだろうか」と思ったものだ。 ...続きを見る

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2013/01/21 19:39
1076 「3月2日を忘れないで」 中国残留孤児ボランティアからの便り
「3月2日を忘れないでください」と書いた手紙が届いた。送ってきたのは、長い間、中国残留孤児問題のボランティアをしている東京・大田区の柏実さんだ。 ...続きを見る

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2013/01/17 13:56
1075 hanaのつぶやき・私の闘病記 きょうが抜糸でした
昨年暮れに、子宮蓄膿症という病気で子宮摘出の手術を受けた話の続きです。手術を受けたのは12月28日ですから、きょうで19日になりました。きょう、私は10日ぶりに動物病院に行き、血液検査と手術跡の抜糸を受けました。肝臓の調子がおかしかったのですが、先生は「肝臓の数値もだいぶ良くなり、手術の跡もきれいになっている」と、家族に話していました。その時の家族のうれしそうな顔は忘れることができません。 ...続きを見る

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2013/01/16 14:33
1073 「正義と良心・生き方とは」を考える ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」
ミュージカル映画はほとんど見ない。それでも「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)や「王様と私」(1956)など、何本かの映画は心に焼き付いている。この正月、退屈するだろうと思いながら、トム・フーバー監督の英国映画「レ・ミゼラブル」を見た。上映時間158分という長い映画だった。私の予想は完全に外れ、最後まで画面に引き込まれ、俳優たちの歌に聞き入った。 ...続きを見る

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2013/01/11 14:49
1072 「スマ歩」で忙しすぎる日本人 利器に振り回される日常
「スマ歩」という造語が新聞に出ていた。街中や駅のホームなどで歩きながら携帯電話のスマートフォン(スマホ)の操作に熱中すること(日経新聞1月9日夕刊、スマ歩にヒヤリ!)だそうだ。うまい造語だと思う。それにしても、人ごみの中でスマートフォンの画面に熱中するほど、日本人は忙しいのだろうか。 ...続きを見る

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2013/01/10 15:44
1071 文芸全般に挑み続けた太く短い生涯 ドナルド・キーンの「正岡子規」 年末年始の本(3)
日本文学と日本研究で知られる米国人のドナルド・キーン(90)が東日本大震災後、日本国籍を取得して、日本に永住したことに感銘を受けた人は多かったのではないか。その近著である「正岡子規」(新潮社、角地幸男訳)は、結核と闘いながら俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆と文芸全般に挑み続けた子規の34年の短い生涯を、豊富な資料を駆使して分析、評価した評伝だ。 ...続きを見る

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2013/01/09 21:03
1070 こんな村で住みたい 「神去なあなあ夜話」 年末年始の本(2)
日本の方言は含蓄のあるものが少なくない。原発事故で全村避難を余儀なくされた福島県飯舘村では「までい」という言葉がよく使われる。「までいに」といえば「丁寧に」「じっくりと」という意味だ。 ...続きを見る

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2013/01/08 14:53
1069 ことしも本を読もう 「チャ―ズ 中国建国の残火」 年末年始に目を通した3冊(1)
年末年始、暇にあかして3冊の本を読んだ。ノンフィクション、小説、評伝という全く異なる分野の単行本だ。ことしも私の読書は一貫性のない、行き当たりばったりのものになりそうだ。それでいいのだと思う。これから読もうと購入した本もエッセー、小説、自伝である。2013年は何冊の本が読めるのだろうか。 ...続きを見る

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2013/01/06 22:45
1061 「アン」シリーズとは異なる世界 モンゴメリの苦悩をちりばめた最後の作品
カナダのプリンス・エドワード島を舞台に、ひたむきに生きる少女を描いた「赤毛のアン」シリーズの作家、ルーシー・モード・モンゴメリ(1874・11・30−1942・4・24)は67歳で生涯を閉じた。病死といわれていたが、近年孫娘が自殺だったことを明らかにしている。遺作である「アンの想い出の日々」(新潮文庫・上下、村岡美枝訳)は、晩年のモンゴメリの苦悩をちりばめたようなテーマを織り込んだ短編と詩が、明るくひたむきさが印象に残るアンシリーズとは異なる世界を作り出している。 ...続きを見る

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2012/12/20 14:37
1056 知恵と独創性と躍動感と 「TOKYOオリンピック物語」
「『宗谷』の昭和史」に続き、ノンフィクション作品を読んだ。昨年、東日本大震災発生直前に発売になった「TOKYOオリンピック物語」(野地秩嘉著、小学館)だ。震災直後に購入したのだが、当時は茫然自失状態にあり、手に取ることなく本棚の片隅に放置していたのを思い出して引っ張り出した。戦後の経済の高度成長時代の1964年(昭和39)に開催した東京五輪。前を向いて歩き続けた良き時代の象徴ともいえるオリンピック開催を各方面から支えた人たちのストーリーだ。 ...続きを見る

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2012/12/11 16:38
1052 南極観測船・激動の40年 「『宗谷』の昭和史」
目次の次の頁に「川南豊作とスメタニューク、そして矢田喜美雄の各氏に捧ぐ」とあるのを見て、「宗谷とどんな関係があるのだろうか」と思った。「『宗谷』の昭和史―南極観測船になった海軍特務艦―」(大野芳著)は、丁寧な取材ぶりから昭和の激動の歴史を体現したような、宗谷の誕生から東京の船の科学館に引き取られるまでの歩みを検証している。 ...続きを見る

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2012/12/03 16:24
1050 ベスト1の小説「ことり」 メルヘンながら現実社会を投影
ことしも残すところ1カ月余になった。種々雑多な本を読んだ中で、私にとってこれまでのベスト1は、小川洋子著「ことり」である。同じ作者の作品で映画にもなった「博士の愛した数式」も心に残る1冊だったが、それと並ぶ上質な小説だと思う。朝日新聞の文芸批評には「小さな人生に寄り添う」という見出しでこの作品が紹介されたが、メルヘン的でもあり、あるいは孤独感が漂う現実の社会を投影したような、不思議な作品だ。 ...続きを見る

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2012/11/28 14:45
1040 強いリーダーの実像に迫った「プーチンの思考」 ロシア問題担当記者の冷静な分析
他国のこととはいえ4年前の2008年、新しいロシア大統領にドミートリー・メドベージェフが当選した際、それまでの大統領だったウラジーミル・プーチンが首相になった時は驚いたものだ。2人乗りの自転車や2頭立ての馬車を指す「タンデム」をもじって、その政権はタンデム体制といわれた。 ...続きを見る

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2012/11/05 18:38
1038 大義に生きる歴史上の人物 冲方丁の「光圀伝」
本屋大賞を受賞した「天地明察」(囲碁棋士で天文暦学者の渋川春海)を書いた冲方丁(うぶかた・とう)が、再び同じ江戸時代に生きた徳川光圀を主人公にした「光圀伝」という歴史小説に挑んだ。 ...続きを見る

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2012/10/31 07:53
1030 放浪の旅の本を読む 「悼む人U」と「山頭火句集」
最近、読んだ2冊の本について書く。天童荒太の直木賞受賞作「悼む人」の続編「静人日記 悼む人U」(文春文庫)と、漂泊の俳人といわれた種田山頭火の「山頭火句集」(ちくま文庫)である。 ...続きを見る

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2012/10/23 11:36
1026 戦争・高齢者・大震災の本 トルコの旅で読んだ本
急に涼しくなり、「読書の秋」が到来した。電車の中では携帯電話の画面を見つめる人が目立つが、本を手にした人を見かけると嬉しくなる。そんな季節である。以下はトルコの旅の合間に読んだ本。 ...続きを見る

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2012/10/10 20:42
1024 トルコの小さな物語(7)ホジャのとんち話とノーベル賞の山中教授
京大の山中伸弥次教授がノーベル賞の医学・生理学賞を受賞することが決まった。「細胞の初期化」という難解な名前だが、あらゆる組織や臓器に分化する能力と高い増殖(再生)能力を持つという「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作り出すことに成功したことが評価されたのだという。近いうちに受賞するといわれていたので、喜ばしいことだ。そんなニュースが流れた夕、日本でいえば、一休さんのような、とんちの話を集めた「ナスレッディン・ホジャ」という人物を主人公にしたトルコの小話集を読んだ。 ...続きを見る

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2012/10/08 22:46
1017 9月の庭にて 休息に憧れる季節
朝、犬の散歩をしていてマロニエ(トチノキ)の実がたくさん落ちているのを見つけた。実が落ち、落葉も始まっている。この季節のわが家周辺の風物詩といっていい。 ...続きを見る

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2012/09/22 14:21
1005 10歳でも1000キロは歩けるのだ ビクトル古賀の半生
サンボという格闘技があることは知っていたが、かつてサンボの神様といわれた人物がいたことは石村博子著「たった独りの引き揚げ隊 10歳の少年、満州1000キロを征く」(角川文庫)を読むまで全く知識にはなかった。 ...続きを見る

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2012/08/29 21:47
1003 3・11日本の新聞は敗北した NYタイムズ東京支局長の新聞批判
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関して、おびただしいニュースが流されたにもかかわらず、特に原発事故の報道にはいらだちを感じた。事故をめぐって日本のマスコミ、その中心である新聞の報道は頼りなかった。原発のメルトダウンやSPEED(緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク・システム)という重大な情報は隠され続け、真相が報道されたのはかなり経てからだった。太平洋戦争当時の大本営発表を思わせる記事が主流を占め続けたからだ。 ...続きを見る

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2012/08/22 23:03
1002 スピリチュアリティと自分探しの旅 パウロ・コエーリョの「星の巡礼」 (サンチャゴへの道)
スペイン・サンチャゴへの巡礼の旅を描いた「星の旅人たち」は、分かりやすい映画だった。それに比べると、パウロ・コエーリョの小説「星の巡礼」は、同じようにサンチャゴ巡礼の話とはいえ、スピリチュアリティ(霊性)という超自然的なものを求めるのがテーマであり、難解な内容だ。以前読んだ池澤夏樹の小説「光の指で触れよ」にも、ヨーロッパでのスピリチュアリティに関する話が出てきたが、この方面に縁がない私には、読み終えるのに時間を要した。 ...続きを見る

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2012/08/21 14:02
7月のhanaのつぶやき 外房の海に入りました
私は今月の1日で10歳になりました。あの日のことはよく覚えています。家族のみんなが集まって、私のために誕生会をしてくれました。ケーキの格好をした豆腐に10本のろうそくを立てて、祝ってくれたのです。でも、私は早く豆腐ケーキを食べたくて、よだれが出そうでした。このケーキは私が一番好きなお姉さんが焼いて作ってくれたのです。 ...続きを見る

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2012/07/26 21:28
993 大災害に立ち向かう矜持 山本一力著「菜種晴れ」を読む
昨年3月11日の東日本大震災の直後に、山本一力の「菜種晴れ」は文庫本として中央公論から発売になった。単行本としては2008年3月の発行だから3年後の文庫本化である。江戸末期の時代小説である。大火と大地震に襲われた江戸の下町。その中で生き抜く若い女性の姿を山本は情感あふれる筆致で描いた。 ...続きを見る

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2012/07/25 21:43
982 無力が悔しい 福井晴敏著「小説・震災後」を読んで
「このどうしようもない世界で、これから生きていかなきゃなんないのはおれたちだ。返せよ、未来を」。福井晴敏の「小説・震災後」の中で、高校生の長男が父親に向かってこう叫ぶ場面がある。東日本大震災と東電福島原発の事故発生後の東京のサラリーマン家庭をめぐる小説は、大震災と原発事故という事実を前提に描かれ、3・11以後の日本の姿を振り返る材料になる。 ...続きを見る

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2012/07/02 21:18
980 いのちの重さを思う時間 3冊の本・がんと闘う友人・マーラーの5番
この数日は、密度の濃い時間を送った。毛色の変わった3冊の本を読み、がんと闘う友人と話をし、東日本大震災の被災地にも出かけた。友人は、奇跡的にがんを克服しつつある。それは人間の生命力の強さを感じさせ、大震災以来、暗く沈んでいた心に一筋の光明をもたらしてくれた。 ...続きを見る

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2012/06/26 15:58
978 白磁を守った日本人 浅川巧の生涯を再現した映画
山梨県北杜市出身のある兄弟が、日本以上に韓国で知られているとは私は知らなかった。浅川伯教(のりたか)、浅川巧(たくみ)という兄と弟だ。 ...続きを見る

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2012/06/18 22:19
975 日本沈没への不安 ある若者の憂い
「このままでは日本は沈没してしまうのではないか」。希望して入った組織で意欲的に働く若い女性から、最近こんな言葉を聞いた。政治も経済も行き詰まっていて、閉塞社会がどんどん進行しているのではないかと危惧しているのだ。特に昨今の政治状況はひどすぎると言う。 ...続きを見る

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2012/06/14 20:35
974 不来方のお城にて 旅の友とともに「ドーン」「天地明察」「苦役列車」
「不来方のお城の草に寝ころびて空に吸われし十五の心」 盛岡に行ってきた。梅雨の晴れ間、盛岡城跡公園から市内を見ると、後方に雪を抱いた岩手山がそびえている。 ...続きを見る

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2012/06/14 14:19
966 「虚報」と「真実」 2冊の新聞記者本を読む
新聞は「社会を映す鏡」といわれる。時代を的確に映し、記録することが新聞の使命ということなのだろう。2冊の本はそうした役割を担ったはずの新聞記者や新聞社が疲弊し、病んでしまった実態を書いている。 ...続きを見る

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2012/05/11 13:11
962 新緑の季節の木との対話 悲しみ、生きることに耐えられないときは…
新緑の季節になった。あすから5月。街路樹のけやきの葉の柔らかい緑が散歩をする人たちを優しく包み込んでいる。4月の終わりに、木の話を書いてみる。 ...続きを見る

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2012/04/30 09:06
961 社会現象を投影した2本の映画 「ハーメルン」と「わが母の記」
連休に入って2本の映画を見た。双方とも内容は社会派に属し、ともに映像が美しい心に残る作品だった。BSフジで放映された「ハーメルン」(プレカット=縮小版)と話題の「わが母の記」である。 ...続きを見る

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2012/04/29 20:38
959 偉大な米大統領・急死の真相 歴史の襞に埋もれた事実を掘り起こした記者魂
米国大統領として4選を果たしたのは32代のフランクリン・ローズベルト(1882−1945。日本の新聞の表記はルーズベルが多い)のみで、彼はいまも偉大な大統領として、米国の歴史に名を残している。ローズベルトが静養先の山荘で脳出血のため急死したのは、第2次大戦末期に近い1945年4月12日だった。67年前のことである。 ...続きを見る

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2012/04/22 10:02
957 労苦の鉄道の旅 下川裕治・ユーラシア横断2万キロ
沢木耕太郎は「旅する力」という本の中で、「旅には適齢期がある。旅をすることは何かを得ると同時に何かを失うことだが、齢を取ってからの旅は、大事なものを失わないかわりに決定的なものを得ることもないように思える」と書いている。 ...続きを見る

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2012/04/17 20:55
956 大人も惹きつけられる児童書 沢木耕太郎の「月の少年」
まさか、沢木耕太郎が児童書を書くとは思わなかった。青年時代に香港からからロンドンまでを、バスだけを使って旅をした体験記「深夜特急」でノンフィクション作家としての地位を確立した沢木がこうしたジャンルに挑戦したことが面白いと思ったのか、朝日新聞が時の人を紹介する「ひと」に取り上げた。 ...続きを見る

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2012/04/16 15:40
955 すがすがしい小説「舟を編む」 言葉を楽しむ三浦しをん
朝、散歩をしていると、調整池の周囲にある小さな雑木林の木々が緑の葉を出し始めていることに気がついた。柔らかい朝の陽光が緑の葉を包み込んでいるようだ。本屋大賞に選ばれた三浦しをんの「舟を編む」(光文社)は、朝の風が木々の葉ををかすかに揺らすような、すがすがしさを感じさせる作品だ。 ...続きを見る

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2012/04/15 19:58
949 原爆投下とトルーマン 「黙殺」との関係を考察した本
 米国の第32代大統領、ルーズベルト(本書ではローズベルトと表記)は1945年4月12日脳卒中のため急死した。そのあとを引き継いだのは、副大統領のトルーマンだった。太平洋戦争で、日本の敗色が濃厚になっていた時期だった。米国史上4選の大統領はルーズベルトだけであり、偉大な大統領のルーズベルトからすれば、副大統領はお飾りにすぎなかったため、トルーマンは重要政策の内容を知らされないままに大統領になった。 ...続きを見る

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2012/04/06 16:24
938 「遠い『やまびこ』」とともに 厳寒続く被災地を歩く 
3月に入っても寒い日が続いている中、東日本大震災の被災地を歩いた。福島県田村市と宮城県東松島市。前者は原発事故で避難生活を送っていた障害者が暮らす共同住宅(仮設ではない)が完成し、その落成式に参加した。 ...続きを見る

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2012/03/05 22:02
937 雪国・旭川で聞いたいい話 光はすぐ隣にある
どの人に尋ねても「この冬は雪が多い」という答えが返ってくる。深い雪に覆われた北海道旭川で明るい話を聞いた。この街で私立高校を運営している知人が約束の店にやや遅れて飛び込んできた。彼は開口一番「きょうで就職希望者全員の就職が決まった。102人目だ」と、うれしさを隠さずに話したのだ。 ...続きを見る

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2012/02/26 14:04
936 政治・メディアに求められる宏大な和解 内部崩壊への備え
思想家・内田樹(たつる)氏の「日本辺境論」を読んだ人は多いだろう。内田氏は最近「呪いの時代」という本を出した。内田氏によると、最近の日本社会は「自己の正当性を主張し、他人の揚げ足を取って喜び、他者の痛みに思いが至らず、幼稚な論理を振り回す、気持ちが悪くて変な人間が跋扈している」という。 ...続きを見る

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2012/02/21 14:18
935 酒を飲む5つの理由 コリン・ウィルソンの「わが酒の讃歌」より
イギリスの作家・評論家のコリン・ウィルソンの「わが酒の讃歌=うた」(田村隆一訳)を読んだのは1976年(昭和51)のことである。この本はそのまま本棚の奥にひっそりと収まっていた。 ...続きを見る

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2012/02/20 21:34
930 天を怖れよ 小川未明も嘆く世相
児童文学者・小川未明の「天を怖れよ」という短文を読んだ。9歳になった犬を飼っている。ひときわ寒いこの冬でも、元気そのものだ。毎朝の散歩道をすたすたと歩く犬を見ながら、動物に対し深い愛情を示した未明の文章を反芻する。 ...続きを見る

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2012/02/01 13:34
929 芥川の小説作法十則 文芸中の文芸は詩
「共喰い」という作品で芥川賞を受賞した田中慎弥の、斜に構えた受賞後の会見が話題になっている。 ...続きを見る

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2012/01/27 21:30
926 言葉の海に生きる 震災を語る2冊の本
東日本大震災を書いた2人の芥川賞作家の本を読んだ。順に書くと玄侑宗久の「福島に生きる」と辺見庸の「瓦礫の中から言葉を」だ。 ...続きを見る

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2012/01/23 21:56
917 2人の大家意識した社会派小説 伊集院静初の推理小説・星月夜
新年早々に読んだ本は、伊集院静の推理小説「星月夜」(文藝春秋)だった。書店に行くと東野圭吾や道尾秀介、京極夏彦ら推理小説の部類に入る本が店頭を大きく飾っている。 ...続きを見る

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2012/01/05 18:58
907 東日本大震災と文学・詩 比喩が成り立たない 
「震災以後、なかなか詩が書けない」と、新聞記者で詩人の秋山公哉さんが詩誌「薇」5号で書いている。「薇」は昨年亡くなった飯島正治さんが主宰していた同人誌で、飯島さん亡き後も発行されている。今回は、東日本大震災に触れた秋山さんらの詩も載っている。その後に続くエッセーで、秋山さんは震災に直面した一人の詩人の心境を「なかなか詩が書けない」という表現で記したのだ。 ...続きを見る

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2011/12/06 16:09
904 被災地の新聞の一番長い日 河北新報記者が見た悪夢の光景
若い時代に仙台で勤務したことがある。その前には秋田にいた。生まれが福島であり、東北は文字通り私の故郷なのである。だから、東日本大震災で東北各地が痛めつけられ、原発事故で多くの福島の人たちがいまも避難生活を強いられていることが無念でならない。仙台にいた当時、地元の新聞、河北新報を読んでいた。地味で堅実な新聞だった。その河北新報は被災地の人々に頼りにされたと聞いた。「河北新報のいちばん長い日」という本を読んで、その理由が分かった。 ...続きを見る

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2011/11/29 16:22
902 日本人の名誉を守った会津 梅原猛著「日本の深層」
哲学者の梅原猛は仙台で生まれ、愛知県の知多半島で育ち、長じて京都で生活している。哲学者であると同時に日本ペンクラブの会長(13代)も務めた文人でもある。「日本の深層」は、そんな梅原の両面を見ることができる作品だ。 ...続きを見る

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2011/11/24 22:22
896 生死分けたドラマを訪ねて 「震災日誌in仙台」
仙台在住のジャーナリスト、松舘忠樹さんが書き続けていた東日本大震災の記録が「震災日誌in仙台」(仙台市/笹氣出版)という本になって出版された。半年に及ぶ、取材の記録である。この記録については、概要を10月30日に紹介した。 ...続きを見る

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2011/11/13 08:51
889 故郷はおまえの心の中にある ヘッセ「庭仕事の愉しみ」
果樹には、実がつく年とつかない年がある。我が家の一番大きな果樹であるユズは、外れの年のようで、例年なら取りきれないほどなるのに今年はたった2個しか見当たらない。 ...続きを見る

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2011/11/03 20:07
885 非常時こそバイクで現場に あるテレビコメンテーターと東日本大震災
「東日本大震災は戦争を知らない団塊世代の私にとって、初めて列島規模で体験した『非常時』だった」―。東京MXテレビでニュース番組のコメンテーターをしている友人の角田光男さんが「テレビつれづれ帖」(株式会社フロンティア出版)という本を出版した。 ...続きを見る

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2011/10/29 21:20
878 流言飛語と風評被害 原発事故をめぐって
また寺田寅彦のことに触れるが、「流言蜚語」(現在の表記は流言飛語)というエッセーがある。 ...続きを見る

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2011/10/20 13:56
876 「天災は忘れるころにやってくる」という言葉 寺田寅彦と中谷宇吉郎
地球物理学者で随筆家としても知られた寺田寅彦の言葉として「天災は忘れたころにやってくる」がある。東日本大震災に見舞われたことしは、この言葉を思い出した人は多いだろう。 ...続きを見る

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2011/10/16 21:04
875 「どんな本を読み、どんな作品に救われたか」 震災後の本の読み方
《東日本大震災は流れ去って消えていくものとは違う。この国の歴史に深々と打ち込まれた杭として、おそらく将来の長きにわたって、優れた文学作品を語る際の座標軸のひとつになりうるだろう。たとえば、僕はこんなことを考えるのだ。震災の直後にどんな本を読んだか―。どんな作品に救われたか―。(中略)ぼくの場合は、南木佳士さんだった》 ...続きを見る

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2011/10/15 14:00
867 「一世紀を生きて・・・」 柴田トヨさんと日野原さん
この4日に百歳を迎えた医師・日野原重明さんをNHKの特集を見た。認知症になった夫人、聖路加病院緩和ケア病棟の2人の患者を中心に、いまも現役を続ける日野原さんの姿を追った番組だ。 ...続きを見る

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2011/10/08 22:31
864 「それでも、なおの頑張りを」 時代の風・伊佐木健著
いま、日本の政治は危機にあるといっていい。それを政治家は意識しているのだろうか。そんな思いを抱くのは私だけではないだろう。そんな時、知人の伊佐木健さんから「時代の風 20―21世紀の政治をめぐって」(WWB/ジャパン出版部刊)という本が届いた。 ...続きを見る

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2011/09/29 21:22
863 音楽とともに歩んだ記者人生 アマチュアオーケストラは楽しい・松舘忠樹著
音楽の楽しみ方は人それぞれだと思う。この本(仙台市・笹気出版)の著者である松舘さんは、社会部記者を中心に長い間、報道機関のNHKで忙しい生活を送った。そんな生活の中でも松舘さんはヴァイオリニストとしてのもう一つの顔を持ち、クラシック音楽を楽しんだ。頁をめくりながらこんな人生もあるのだと、いまさらながらに松舘さんの歩みを知ってうれしくなった。 ...続きを見る

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2011/09/28 22:09
861 フィヨルド幻想 北欧じゃがいも紀行・6
ノルウェーのハダンゲル・フィヨルド地区のウルヴィックのホテルに泊まった翌朝、ホテルの周辺を散歩した。すると、目の前に幻想的な光景が出現したのだ。それは、透明なフィヨルドを覆っていた霧のいたずらだった。 ...続きを見る

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2011/09/24 22:46
855 被災地3県の県民性 探究心、向上心強い福島
東日本大震災で特に被害がひどかった東北の岩手、宮城、福島3県の被災者に対し、国内外から礼儀正しく、忍耐強いと絶賛の声が上がったことは、ここで書くまでもない。その背景には何があるのだろうか。文春新書の「県民性の日本地図」(武光誠著)を読んでみた。 ...続きを見る

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2011/09/04 23:06
845 ある知人からの便り 震災の惨状は旧満州そのもの!
l昨年1月、このブログで「生獄」という本を紹介した。著者は旧満州(中国東北部)で7歳のとき終戦を迎え、苦難の体験をした柏実さんだ。その柏さんからこのブログに関する便りをいただいた。ブログ「小径を行く」は、匿名で書いているので、彼はこの存在を最近まで知らなかったのだという。嬉しい便りだった。一部を省いて紹介する。 ...続きを見る

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2011/07/25 21:23
837 表現者は現場を踏んで 寂聴さんの含蓄ある言葉
以前のブログでも書いたが、岩手県の平泉が世界(文化)遺産に登録された。このニュースは被災地・被災者を勇気付けることだろう。友人が最近、平泉と縁の深い作家の瀬戸内寂聴さんに会った。その話を聞き、89歳の高齢になっても意気軒昂な作家の力強さを感じた。「現場に行き、自分の目で確かめる」というのが基本姿勢なのだという。 ...続きを見る

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2011/07/04 22:02
836 原子の分裂という宇宙の根源的な力 APの歴史にみる原爆報道
米国の通信社・APの、社史ともいうべき「BREAKING NEWS」(ブレーキング ニュース)=AP通信社の記者たちは戦争、平和、世界のニュースをいかに取材してきたか=という本が新聞通信調査会から届いた。1940年以来67年ぶりにAPの歴史を振り返り英語版は2007年に刊行され、先月(2011年6月)日本語版が我孫子和夫氏の翻訳で出版された。 ...続きを見る

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2011/07/03 21:30
832 暗い街に住む魔物とは 痛んだ被災者の心を癒すには
東電福島第一原発事故の収束の見通しさえはっきりしないのに、海江田万里経済産業相が突然、全国の原発の安全宣言を行い、再稼働を促したことに対し、原発を抱える知事たちから批判、反論が続出している。原発がない大阪の橋下徹知事でさえ「無責任だ。経産省の皆さんを強制的に原発の周りに住ませたらいい」と、経産省の判断が時期尚早だと批判したという。 ...続きを見る

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2011/06/21 21:28
829 「ここは私が生きてきた場所なのだ」 詩人の声を聞く
内閣府がきょう東日本大震災の避難者数を12万4594人(6月2日現在)と発表した。一方、警察庁は2万5000人少ない9万9592人と発表している。国の機関がこうした違った数字を出すこと自体おかしい。協力して正しい数字をなぜ出せないのかと思う。 ...続きを見る

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2011/06/15 17:10
816 若者は虹をかけられるか  「いつかX橋で」を読む
東日本大震災の被災地である仙台市が米軍機の空襲を受けたのは、太平洋戦争末期の1945年7月10日未明のことである。10万人以上の死者・行方不明者が出た東京大空襲からちょうど4カ月目だった。仙台空襲では約1万2千戸が被災し、2755人が死亡、被災者は5万7300人に達した。 ...続きを見る

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2011/05/20 15:01
815 ひょうたん島はどこへ行く 大震災の悲しみを乗せて
一時代の子どもならだれでも知っていた人形劇「ひょっこりひょうたん島」(NHKで1964年―69年に放映)の主題歌「波を ちゃぷちゃぷ ちゃぷ ちゃぷ かきわけて・・・」を作曲した宇野誠一郎さんが、4月26日に亡くなった。人形劇の原作者の一人で、この歌を作詞した作家の井上ひさしさんは昨年4月9日に亡くなっている。2人は歌にあるように、ひょうたん島に乗り、東日本大震災の被災者の悲しみを背負いながら、青い鳥を求めてどこかに向かって進んでいるのかもしれない。 ...続きを見る

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2011/05/19 13:57
812 福島原発大事故の悲劇を予言 広瀬隆の「原子炉時限爆弾」
「原発の大事故は起こり得る。大事故が起これば日本はほぼ壊滅する。その可能性が最も高く、こわい原因として大地震が考えられる」―。昨2010年8月に出版された「原子炉時限爆弾」という本で、広瀬隆は、今回の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故を予言するような指摘をしていた。 ...続きを見る

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2011/05/10 20:49
808 三陸大津波の連鎖を断ち切ろう 吉村昭の記録文学
吉村昭が記録文学「海の華―三陸沿岸大津波」を出版したのは1970年7月のことで、これを「三陸海岸大津波」と改題、文庫本として再出版したのは1984年8月だった。 ...続きを見る

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2011/04/25 22:01
807 翻訳本に浸る ユーモア小説・動物エッセー・冒険ミステリー
脈絡なく翻訳された本を読む。 ...続きを見る

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2011/04/23 21:02
797 悲劇にくじないで 抗議する姿勢を忘れまい
ブログの更新を意図的にやめていたわけではありません。書きたいと思うことは多々ありました。いざ、パソコンに向かうとやはり地震、津波、原発のことが頭から離れず、指先が止まってしまうのです。 ...続きを見る

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2011/04/03 23:11
784 総合芸術家・魯山人の生涯に光 すさまじい取材の評伝
誤解されることが多かった北大路魯山人に光を当てたのが山田和の「知られざる魯山人」だ。山田はこの本で魯山人を「総合芸術家」と書いている。これほど微に入り細にわたった評伝はたぶんないだろう。しかもノンフィクションの取材がいかにすさまじいものであるかを証明する緻密な作品なのである。 ...続きを見る

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2011/03/05 22:45
777 逆境にあっても生きる大事さ モンゴメリー 「アンの娘リラ」の読み方
犬と人間との間には信頼関係が芽生える。それが、日本では有名な「忠犬ハチ公」物語という美談になった。これがモデルになって、アメリカ映画の「約束の犬 HACHI」も生まれた。 ...続きを見る

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2011/02/17 21:31
774 絵本作家・加藤祐子さんとの出会い 絵心を考える 
女子美の4年生で、この春大学院に進むという絵本作家・イラストレーターの加藤祐子さんに会う機会があった。幼いころからの夢を実現した輝く才能の持ち主だ。 ...続きを見る

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2011/02/10 23:36
766 超大国でも長期安泰はない ハンニバルの警告
北アフリカのチュニジアの政変では、カルタゴという地名が登場する。ああ、あのカルタゴかと思う。塩野七生の長編「ローマ人の物語」の最初の方に「ハンニバル戦記」があり、カルタゴの戦術家ハンニバル・バルカとローマとの戦い(ポエニ戦役)が描かれている。ローマにとってハンニバルがいかに手強い相手だったかを物語る言い伝えとして、イタリアではいまでも子どもが悪いことをすると、親は「ハンニバルが来て、連れて行ってしまうよ」と叱ると塩野が書いている。 ...続きを見る

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2011/01/19 14:13
762 一本の赤い山茶花 冬の庭の孤独な花
フランス文学者で文芸評論家の杉本秀太郎は、花ごよみという本の中で、「山茶花」(サザンカ)について「山茶花は、白い花でなくては冬の身が締まらない」と書いている。 ...続きを見る

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2011/01/10 12:04
761 ニュースの原点は人間 「英国式事件報道」
以前は、新聞は真っ先に社会面を読んだ。それから1面に戻って2面、3面と順に読み進める。しかし、いつのころからこのやり方が変わり1面から読むようになり、最終面のテレビ欄を除けば、社会面は最後に目を通すことになった。 ...続きを見る

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2011/01/07 14:44
760 99歳の詩集に脱帽 「柴田トヨさんの「くじけないで」
柴田トヨさんという99歳の女性の詩集がベストセラーになっている。暮れにもNHKで「99歳の詩人 心を救う言葉」というドキュメンタリー番組が放送された。奇しくも、聖路加国際病院理事長の現役医師・日野原重明さんも99歳で、2人はことしめでたく百歳になる。 ...続きを見る

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2011/01/05 11:50
753 ああ!勘違い 飛行機チケットをめぐる家族の失敗
家族がタイ旅行から帰ってきた。ブログの面白いネタを提供するという。以前にも海外でクレジットカードが入った財布をすられたことがあるので、また「失敗したな」と思ったら、その通りだった。しかも出発の羽田でトラブルがあったというのである。それは案外よくありそうな勘違いによる失敗だった。(写真はバンコク空港の夜明け) ...続きを見る

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2010/12/25 18:06
752 高齢化社会を前向きに 小説「万寿子さんの庭」
もし、こんな友達ができたら歳をとっての一人暮らしもまんざらではないなと思った。黒野伸一著「万寿子さんの庭」は、そんなことを感じさせる小説だ。 ...続きを見る

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2010/12/24 16:37
749 ある遺言 「消えた山」に託す大谷さんの思い
ハンセン病患者の強制隔離を定めた「らい予防法」の廃止に尽力した元国際医療大学学長の大谷藤郎さんが7日に亡くなった。86歳だった。先週から北海道を旅行中だった私は、そのことを知らず、葬儀にも行くことができなかった。ところが、北海道から帰ると、大谷さんが書いた小冊子が届いていた。これが「遺作」になったことに気がつかず、読み終えてからネットを検索して大谷さんの死を知った。 ...続きを見る

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2010/12/16 16:58
748 どこにでもいる平凡な少年 わが身と重ね合わせる「しずかな日々」
私は「おばあちゃん子」だったらしい。いまでもきょうだいからそう言われる。私が生まれる前に祖父は死んでいるので物理的にもそうなったのだろうし、「おじいちゃん」という言葉は縁遠いものだった。だがもし、祖父が生きていて私と一緒に暮していたら、児童文学の「しずかな日々」(椰月美智子著)のような祖父と孫の静かな日常があったのかもしれない。 ...続きを見る

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2010/12/12 21:06
746 質素でシンプルな生活を求める 熊本の小泉八雲
日本に住んだ外国人で、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)ほど日本人に愛された人はいないのではないか。日本に帰化したのだから彼自身も日本が気に入ったのだろう。先月、熊本を旅した際、熊本市内に残っている小泉八雲と夏目漱石の旧宅を見る機会があった。2人の間には交流はなかったというが、なぜか不思議な縁で結ばれていることを知った。 ...続きを見る

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2010/12/06 20:43
745 「四十一番の少年」 孤児院で育った井上ひさしの自伝的小説
作家の井上ひさしが75歳で亡くなって8カ月が過ぎた。いつだったか確かなことは忘れたが、JR鎌倉駅西口を出て源氏山公園の方に歩いていたら、どこかで見た顔の人が「ちょこちょこ」という感じで背中を丸めて歩いていた。それが井上ひさしだった。 ...続きを見る

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2010/12/06 13:30
744 昭和政治の裏面史 速記者たちの国会秘録
民主党の中井洽衆院予算委員長が議会開設120周年の記念式典で、秋篠宮ご夫妻に「早く座れよ」という野次を飛ばしたとして懲罰動議が出された。いまさらながら、国会に常識がなく、品格に欠けた議員が存在することが証明された形だ。 ...続きを見る

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2010/12/02 15:33
743 思うままに文章を書いた志賀直哉 「暗夜行路」再読の旅
鳥取、島根への旅の行き帰りの飛行機と電車の中で、完成まで17年を要したという志賀直哉の「暗夜行路」を再読した。 ...続きを見る

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2010/12/01 21:32
741 「言葉と向き合う」詩人の死  追悼飯島正治氏
「薇」の名をつけた「詩誌」の第3号が届いた。佐川急便の「ゆうメール」という宅配便で送られてきた。封を切り、詩誌の目次を見る。なぜかこの詩誌の中心人物である飯島正治氏の作品がない。頁をめくって「静かな人詩人・飯島正治追悼」(石原武さん)という題名があり、目を疑った。飯島さんが亡くなったというのである。私にとってことし一番の衝撃だ。 ...続きを見る

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2010/11/29 22:14
737 『神様は海の向こうにいた』 戦艦武蔵乗組員の証言(2)
戦艦「武蔵」に乗り組んだ小島小三郎さんの話を続ける。 ...続きを見る

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2010/11/20 22:10
736 『神様は海の向こうにいた』再出版! 戦艦武蔵乗組員の証言(1)
このブログを始めた2006年9月、2回にわたって「神様は海の向こうにいた」という題名の小冊子を紹介した。尊敬する姉を含め私よりも早くこの世に生を受けた世代の人たちの戦争体験を集めたもので、この小冊子が4年ぶりにこのほど再出版された。 ...続きを見る

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2010/11/16 22:19
729 出会った後いかに別れるか 「ぼくとペダルと始まりの旅」
「人と人は出会う。しかし大切なのはどうやって別れるかではないだろうか」。米国のロン・マクラーティの小説「ぼくとペダルと始まりの旅」(森田義信訳)は、掛け値なしに面白い。 ...続きを見る

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2010/11/05 11:08
723 電子書籍時代は危機ではない 米文芸編集者の実感
アップル社のタブレット型コンピューター、iPadが日本でも発売され、電子書籍時代に入ったといわれる。それによって、日本の出版業界も大きく変化するのではないかという見方がある。 ...続きを見る

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2010/10/25 22:25
721 短編の楽しみ 「かたみ歌」と「きみのためのバラ」
カミュの「ペスト」を読む途中で短編を読んだ。ペストは前回に書いたように、なかなか読み進めることができない重い小説で、疲れるからだ。 ...続きを見る

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2010/10/23 22:51
720 不条理の哲学との格闘 再読「ペスト」
カミュの「ペスト」を再読した。いまの時期にどうしてか、別に大きな理由はない。 ...続きを見る

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2010/10/22 21:13
704 「シッ ダールタ」の悟り ヘルマン・ヘッセの伝言
孔子の論語「為政編」に有名な言葉がある。「吾、15にして学に志し(志学)、30にして立ち(而立)、40にして惑わず(不惑)、50にして天命を知る(知命)、 60にして耳にしたがう(耳順)、70にして心の欲するところに従って矩(のり)をこえず(従心)」だ。 ...続きを見る

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2010/09/15 20:56
702 「今日われ生きてあり」 特攻は統率の外道
あとがきや解説から読み始めるのは邪道と知りつつ、解説がついている文庫本はつい後ろから読んでしまうことがある。 ...続きを見る

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2010/09/13 16:34
700 いい人たちがなぜ? 悲劇の島を描いた「終わらざる夏」
太平洋戦争で日本がポツダム宣言を受託、連合国に無条件降伏を通告したのは1945年8月14日だ。その翌15日、昭和天皇が放送を通じて終戦詔書を朗読、国民に日本の敗戦を公表した。 ...続きを見る

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2010/09/09 22:08
698 小説・映画「悪人」 現代日本にはそれより悪い奴がいる
悪人の定義は「心の邪悪は人、悪事を働く人、悪者」とある。芥川賞作家、吉田修一の「悪人」の主人公は、たしかに悪事(殺人)を働いた人物だ。しかし、心は決して邪悪ではない。気が弱くて、自分の意見をはっきり主張できないごく普通の青年だ。 ...続きを見る

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2010/09/07 21:57
695 晩夏そして挽歌 コオロギの鳴き始めの季節
9月に入っても涼しくはならない。だが、自然界に住む生物は秋の季節を感じているらしい。 ...続きを見る

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2010/09/02 22:42
689 再読「五十年目の日章旗」、そしてドラマ「歸國」
浅田次郎の「終わらざる夏」を読んでいる。上下二冊の長編だ。その間に青森に行く必要があり、浅田の本を家に置いて中野孝次の文庫本「五十年目の日章旗」を旅行鞄に入れた。 ...続きを見る

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2010/08/23 23:16
688 ナポレオンに背を向けた「黒い悪魔」 差別を乗り越えた快男児の生涯 
快男児である。フランスの歴史で、ナポレオンの時代に「黒い悪魔」という異名を持ったトマ・アレクサンドル・デュマこそ、こう呼んでいいと私は思う。 ...続きを見る

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2010/08/18 22:35
682 清涼剤になりうるか 塩野七生「日本人へ 国家と歴史篇」
自信に裏打ちされた物の見方なのだろう。好き、嫌いは別にして辛口で明快な内容は、猛暑の日々に一服の清涼剤のようなさわやかさを与えてくれる。 ...続きを見る

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2010/08/08 21:24
680 記録されたものしか記憶にとどめられない 「宮本常一が見た日本」
民俗学者、宮本常一の生涯をたどった「旅する巨人」で大宅ノンフィクション賞を受賞した佐野眞一があらためて、宮本が歩いた地方を取材したのがこの本だ。 ...続きを見る

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2010/08/04 08:58
676 再読「天平の甍」 井上靖の文章
京都の旅の帰途、井上靖の「天平の甍」を再読した。その文章の冴え具合に、ほとほと感心しながら、読み進めた。 ...続きを見る

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2010/07/26 21:48
675 戦争を美化した小説 きな臭い著者の意図=『永遠のゼロ』
「永遠のゼロ」(百田尚樹著、講談社文庫)は売れ行きが好調でも、危うさを感じる作品である。「現実味に乏しい」「素人小説的だ」と批判的見方も強い。その意見の中には、戦後60数年も過ぎて、生前の主人公(零戦の搭乗員で、特攻で戦死する)の行動を記憶している80代の高齢者を複数探し当てることなどとてもできない、作り話のようだ―という厳しい指摘もある。著者はなぜこの作品を書いたのだろう。 ...続きを見る

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2010/07/25 20:29
652 戦争とは幻滅 第一次大戦を描いた「八月の砲声」
第一次世界大戦は、1914年から18年までの間世界の列強が2つに分かれて戦った人類史上最初の世界大戦といわれる。ドイツ・オーストリア・オスマン帝国・ブルガリアからなる中央同盟国と英国・フランス・ロシアを中心とする連合国(日本、イタリア、米国も後に連合国側に立ち参戦)の戦いは4年に及び、多大なる人命を失う。しかし四半世紀後、人類は同じ過ち(第二次世界大戦)を繰り返す。 ...続きを見る

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2010/06/29 21:55
646 長老記者の輝き W杯開幕とともに
南アフリカで、アフリカ初のサッカーのワールドカップ(W杯)が始まった11日夜、東京のプレンスセンターである長老記者を書いた本の出版記念会が開かれた。 ...続きを見る

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2010/06/15 01:52
643 言葉と向き合う達人たち 詩誌「・薇2」を読む
友人の飯島正治さんが主宰する詩誌「薇(び)2」が届いた。飯島さんら10人の詩人の詩と、「小景」という短文が載っている。 ...続きを見る

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2010/06/10 21:54
642 郷愁感じる桑の実 口内に広がる甘い香り
犬の散歩コースに調整池を囲む遊歩道がある。その遊歩道の上の斜面には2本の桐の木と、1本の山桑がある。山桑は実が熟する時期らしく、約1センチほどの黒くて小さな実がいっぱいなっている。その実を取ってジャムにしてみた。それは新鮮であり、郷愁を感じさせる味だった。 ...続きを見る

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2010/06/10 16:40
637 ふしぎな波瀾重畳の生涯 ジョゼフ・フーシェの評伝「ある政治的人間の肖像」
「マキャベリズム」という言葉は、悪く言えば「目的のためには手段を選ばない」に解されるが、「国家が危機に陥った場合は、政治家は国家存続のために、手段を選ぶべきではない」と解釈する意見もあるという。ここでは前者の方を使うことにする。 ...続きを見る

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2010/05/25 14:38
635 村上春樹のだまし方 「1Q84年」の不可解さ
東京新聞の夕刊文化欄に「大波小波」というコラムがある。前身の「都新聞」時代から続く名物コラムといわれ、匿名で鋭い批評を載せている。 ...続きを見る

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2010/05/23 21:24
632 人生の選択(2) 北海道・ひまわりの町に移住した知人夫婦 
荻原浩の小説「明日の記憶」は、若年性アルツハイマーになった広告代理店勤務の49歳の主人公と、夫を献身的に支える妻の物語だ。 ...続きを見る

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2010/05/13 12:36
629 3Dの世界を初体験  映画「アリス・イン・ワンダーランド」
いわゆる「3D」という立体画面の映画を初めて見た。今年になって「アバター」が日本でも上映され、3Dが流行語になった。この方式のテレビも最近発売になり、眼鏡をかけた立体映像の世界が急速に浸透しつつある。 ...続きを見る

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2010/05/06 21:53
626 言葉の重さ 北村薫と政治家と
北村薫は「鷺と雪」で2009年に直木賞を受賞した。「街の灯」「玻璃の天」に続く社長令嬢とお抱えの女性運転手、ベッキーさんが謎に挑む「ベッキーさんシリーズ」の3作目である。 ...続きを見る

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2010/05/01 07:01
622 「ここに記者あり!」 自由を愛するジャーナリスト魂
「ここに記者あり!」(岩波書店)は、共同通信社で生涯一記者を貫いた村岡博人の記者としての生き方を通じて、ジャーナリストの「実践論」を書いた本(筆者の片山正彦のあとがき)である。 ...続きを見る

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2010/04/18 22:00
620 派閥抗争は崩壊の始まり トヨタ、そして富士通
米国を中心に逆風が吹いているトヨタで、創業家の豊田家と非創業家メンバー幹部の間で派閥抗争が起きているというニュースが流れている。 ...続きを見る

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2010/04/14 21:27
617 本を読めば「人相がよくなる」 ある元裁判官の読書論
活字離れ、読書と縁のない学生の増加・・・。そういわれて久しい。しかし、書店に行けば、新刊本がズラリと並んでいる。おかしな時代だ。 ...続きを見る

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2010/04/08 22:12
616 iPad30万台とは 書籍の世界の革命なのか
米国のアップルがこの3日に発売したばかりのiPadという新型の携帯端末が、初日に30万台も売れたと夕刊に出ていた。 ...続きを見る

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2010/04/06 21:48
610 キプリングの「少年キム」 この世には多くのうそがありうそつきがいる
ラドヤード・キプリングは、1907年にノーベル文学賞を41歳で受賞した英国の作家である。文学賞受賞者としては最年少で、現在もこの記録は破られていない。 ...続きを見る

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2010/03/24 22:31
607 これも人間の世界 全体主義国家を描いたオーウェルの一九八四年
村上春樹の「1Q84」が爆発的に売れたのは、昨年の6月ごろだった。変わった本の名前だが、一説によると、英国の作家、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」という作品をもじって付けたのだという。 ...続きを見る

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2010/03/14 21:09
599 3代にわたる職業 佐々木譲の警官の血
祖父の代から3代、教師を職業としている知人がいる。伝統芸能の世界ではその仕事がさらに長く受け継がれることも少ない。しかし、警察官という厳しい職業では、3代続くことはあまりないのではないかと思う。 ...続きを見る

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2010/02/25 20:43
595 光の季節の前に 冬の風を感じて
このところ、寒い日が続いている。カナダのバンクーバーでは冬のオリンピックが始まった。 ...続きを見る

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2010/02/15 22:12
594 国母とライ麦畑の少年 異端の五輪選手
バンクーバー五輪のスノーボード代表、国母和宏の「腰パン」問題の報道を見ていて、1月27日に亡くなったアメリカの作家J・D・サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」の主人公、ホールデン・コールフィールド少年を思い浮かべた。 ...続きを見る

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2010/02/13 18:32
591 乱読週間 6冊の文庫本
本を乱読する6日間を送った。電車で、新幹線で、飛行機で集中的に読んだのが以下の6冊だった。(1冊は再読)特に理由はない。文学作品が小型の電子端末で読めるようになるというニュースに感化され、紙の本へと回帰したのかもしれない。対象は分野を問わず、適当に選んだのだが、老眼鏡をかけても集中力が失われていなかったことに自分自身で驚いた。 ...続きを見る

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2010/02/09 21:51
588 永遠の日々への手伝い 映画「おとうと」より
山田洋次監督の映画「おとうと」を見た。吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟役を演じ、フラガールの蒼井優が吉永の娘役を演じる。「男はつらいよ」の「寅さん」を彷彿とさせる喜劇調の前半から、後半はがらりと変わって死がテーマになる。 ...続きを見る

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2010/01/31 11:14
580 温父と頑固親父と 日本史有名人「親父の背中」
子どもは親の背中を見て育つといわれる。それだけ、親の生き方は子どもに影響を与える。「日本史有名人、おやじの背中」(新人物往来社)を読んで、それを実感した。世の多くの父親たちは、子どもに生き方の基本となるような背中を見せているのだろうか。 ...続きを見る

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2010/01/14 22:28
578 ナポレオンに翻弄された女性の生涯 「マリー・ルイーゼ」
「会議は踊る されど進まず」という言葉は、1814年から15年にかけ、ナポレオン失脚後のヨーロッパのあり方を話し合ったウィーン会議に出席したはオーストリアのリーニュ将軍(あるいはフランスのタレーラン外相の言葉ともいわれる)が残したものだ。 ...続きを見る

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2010/01/10 22:59
575 体験者の真実の遺言 少年の過酷な現実を描いた「生獄」
ことしは戦後65年になる。この「戦後」という言葉は、多くの国民には遠い存在になっているようだ。だが、このほど出版された「生獄」(柏実著、文芸社刊)を読むと、65年前を忘れてはならないことを思い知らされる。著者の柏さんは、私の知人である。この本のあとがきの結びで彼は書いている。 ...続きを見る

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2010/01/04 22:56
574 走れメロスと柏原 箱根駅伝の奇跡再び
東京、箱根大学駅伝の往路で、東洋大学の柏原竜二が5区の山登り区間(標高差864メートル)を昨年以上の速さで駆け抜け、母校に逆転優勝をもたらした。 ...続きを見る

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2010/01/02 21:05
572 ポプラのように 09年旅の終わりに
先日、「傘の自由化は可能か」という、大崎善生の一風変わったエッセー集を読みながら、九州の西端、枕崎から鹿児島中央まで約2時間45分、JR指宿枕崎線のロ−カル列車の旅をした。 ...続きを見る

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2009/12/31 18:43
571 さらば日曜菜園 瞑想と魂の休養と
車で5分ほどの所に、不動産屋が営む貸し農園がある。この1区画を借りて、家族とともに野菜を育てて10年以上が過ぎた。つい先日、不動産屋からはがきで「3月をもって貸し農園は終了する」という通告が届いた。 ...続きを見る

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2009/12/30 22:00
564 現代日本人論 ザビエル時代との変化
フランシスコ・ザビエルが日本にやってきたのは1549年のことだ。ポルトガル人のアルバレスという船長の「日本記」という文章によって、ザビエルは日本に興味を持ったようだと、司馬遼太郎が「街道を行く・南蛮のみちT」の中で書いている。当時の日本人の性格はアルバレスによると次のようのものだったという。 ...続きを見る

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2009/12/14 11:19
557 ああ「火車」状態 どうする鳩山さん
父親の借金から、不幸を背負った女性が他人になりすまそうとする悲劇を描いた宮部みゆきの「火車」を再読した。この作品を読んで、日本自体が「火車」状態にあることを思い知らされた。 ...続きを見る

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2009/12/02 20:57
555 詩人が考える言葉とは 詩集「薇」から
「薇」(び)という漢字は、植物のゼンマイのことであり、「薔薇」(イバラ)にも使われる。その「薇」の名をつけた「詩誌」が詩人の飯島正治さんから届いた。8人の詩人の詩と小文を掲載した38頁の創刊号だ。私は詩のことはよく分からない。しかし、言葉を大事にする人々の「心」がどの詩からも伝わってくる。 ...続きを見る

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2009/11/28 21:38
553 まとめて読書 秋の夜長に
季節は秋から初冬へと移行している。昔から「秋の夜長は読書」といわれる。しかし、この言葉は生きているのだろうか。せわしい現代日本人からは、そうした習慣は次第に失われていっているのかもしれない。いい本に巡りあうことができれば、その習慣は復活すると思うのだが、なかなか難しい。次は私の最近の読書からの寸評。さて、いい本は何冊あっただろう。 ...続きを見る

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2009/11/24 21:56
549 フィクションとノンフィクションの境目は 沈まぬ太陽
フィクションとノンフィクションには、創作と事実という境界がある。しかし日航ジャンボ機が群馬県・御巣鷹山に墜落し、乗員乗客520人が亡くなった事故をモデルにした映画「沈まぬ太陽」は、フィクションとうたいながらもノンフィクションに近い。日航の経営危機問題がいまクローズアップされているだけに、映画も注目を集めているようだ。 ...続きを見る

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2009/11/16 23:14
547 夕焼け空 茜雲に思う
昼ごろまで降っていた雨が午後には上がり、犬の散歩をする時間帯には虹が出た。少しすると、西の空は見事な夕焼けになった。昨日までの寒さはうそのようだ。携帯電話のカメラを使って、何枚か撮影したのが添付している写真だ。茜色に染まった夕空を見上げながら、きのうのことを思い出していた。 ...続きを見る

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2009/11/14 22:50
543 理解困難な小説 高村薫「太陽を曳く馬」
難解で手に負えないと思った。 ...続きを見る

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2009/11/07 22:20
533 藤沢周平とともに 鶴岡を歩く
鶴岡も米沢と同様、城下町(庄内藩)としての歴史がある。そして、鶴岡を有名にしたのは、作家の藤沢周平だった。 ...続きを見る

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2009/10/24 22:16
532 漆の実のみのる国 「天地人」でにぎわう米沢 
かつて仙台に住んだことがある。もちろ、隣県の山形県まで足を伸ばしたが、米沢と鶴岡には行く機会がなかった。先日2つの城下町に行くことになり、旅行バッグに藤沢周平の「花のあと」という文庫本を入れて新幹線に乗った。 ...続きを見る

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2009/10/24 20:41
516 神様がくれた指の女性たち スペイン・ポルトガルの旅(3)
佐藤多佳子の作品に「神様がくれた指」というスリを描いた小説がある。スリという犯罪は、日本だけでなく世界各地で横行していることを、今回の旅で実感した。夏の五輪が開催されたバルセロナは、スペインでもマドリードと並ぶスリの街なのだそうだ。そして、実際に目の前にスリが2回も姿を現したのだから驚いた。(女性スリが現れたグエル公園) ...続きを見る

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2009/09/18 21:00
507 夜想曲集(音楽と夕暮れをめぐる5つの物語) カズオ・イシグロの世界
カズオ・イシグロは、独特の感性を持った作家だ。イシグロといえば人生の黄昏を描いた「日の名残り」の印象が強かった。そうしたカテゴリーだけでなく音楽を共通の背景にした5つの短編からは人生の襞といおうか、あるいは陰影を感じ取り、考えることが多かった。 ...続きを見る

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2009/08/26 21:53
505 走ること 人類はどこまで行くのか
世界陸上でジャマイカのウサイン・ボルトが100、200メートルで世界新記録を出して優勝した。特に100の9秒58という数字は、日本人には今後100年経っても、更新できない夢の記録ではないか。ほかの選手と比べて、ゆったりとした雰囲気で走るボルトに、別の世界の生物を見る思いだ。 ...続きを見る

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2009/08/21 20:54
502 稀有な裁判官 「気骨ある判決」
かつて日本の司法界には、2人の稀有な裁判官が存在した。太平洋戦争時代の翼賛選挙無効判決を出した吉田久と、悪法もまた法なりとして、戦後ヤミ物資の購入を拒否して餓死した山口良忠だ。山口の話は社会の教科書に載ったし、テレビドラマにもなったので、多くの人が知っている。しかし吉田の存在を知る人は司法界を含め少ないのではないか。 ...続きを見る

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2009/08/17 22:34
500 散るぞ悲しき 硫黄島の栗林忠道
太平洋戦争末期の硫黄島で日本軍と米軍が死闘を繰り広げた。日本側の指揮官は栗林忠道だった。 ...続きを見る

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2009/08/13 21:49
490 「朗読者」 人間の無力さと愛の哀しみ
ナチによる戦争犯罪をテーマに、15歳の少年ベルクと36歳の女性ハンナの年齢を超えた愛の姿を描いている。 ...続きを見る

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2009/07/28 11:05
483 「アジア新聞屋台村」 不思議な多国籍新聞社の物語
マニラで日本語新聞を発行している知人がいる。元新聞記者の彼は、家の事情で一度新聞業界から足を洗った。しかし記者としての仕事を忘れることができなかった知人は、それじゃやあと、自分で新聞社を作ってしまった。高野秀行の「アジア新聞屋台村」を読んで、知人の新聞創刊当時を想像した。 ...続きを見る

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2009/07/20 17:06
477 映画「劔岳 点の記」 立山連峰の美しさ・厳しさ
いま、日本では中高年の間に登山ブームが起きている。趣味として山に登り、頂上を極めた達成感と美しい景観を味わおうということだろう。 ...続きを見る

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2009/07/12 21:37
476 夏の過し方 あるゴールデンレトリーバー
蒸し暑い日が続き、10日には東京の最高気温は30・3度を記録した。夕方、少し早めにhana(ゴールデンレトリーバー、7歳)の散歩に出た。 ...続きを見る

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2009/07/11 22:02
472 人生の歌 悲運の米国詩人
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(1807−1882)という米国の詩人の「人生のさんび歌」(文春新書、あの頃、あの詩をより。以前は「人生の歌」として知られているようだ)という詩がある。 ...続きを見る

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2009/07/03 16:53
471 東京五輪の恩人 日系人和田勇の生涯
知人が勤務先を退職し、近く米国ロサンゼルスに行くという。ロスには「東京オリンピック開催の恩人」といわれた日系人が住んでいた。野菜や果物を扱う食品ストア十数店を営みながら、東京五輪開催を全力で応援したフレッド・和田勇である。 ...続きを見る

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2009/07/02 21:26
468 お母さんただいま奮闘中 飛行機で再会した先輩の本
以前、奈良と京都を旅していて偶然、京都のデパートで東京の知人と出くわしたことがあった。ことしになって、今度は沖縄に向かう飛行機の中で同じ職場で働いたことがある先輩と乗り合わせ、空港到着までの時間を昔話に花を咲かせた。 ...続きを見る

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2009/06/25 22:14
467 熱の中で読む「1Q84」 村上春樹のメッセージ
体調を崩した。セキや鼻水は出ないが、熱があり、体がだるい。風邪薬を飲んで、数日、ゴロゴロと横になっていた。そばには気になる本があった。村上春樹の「1Q84」だ。 ...続きを見る

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2009/06/24 21:16
462 「少年」をめぐる2つの作品 「少年の輝く海」「少年時代」
自分の少年時代を思い出して、輝いていたなと語ることができる人はどれほどいるだろう。 ...続きを見る

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2009/06/19 13:34
453 みずみずしい感覚 「今ここにいるぼくらは」
川端裕人はテレビ局の報道記者から転身した作家だ。関西から自然がいっぱい残る里山の近くに家族とともに引っ越してきた博士(ひろしと読むが、あだ名ははかせ)の小学生時代を7つの話に分けて描いた。 ...続きを見る

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2009/06/02 22:15
452 党首討論の野次合戦 国会議員の品性
もう旧聞になるかもしれないが、27日の麻生太郎首相と民主党の鳩山由紀夫代表の初めての党首討論の際の野次合戦はひどかった。 ...続きを見る

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2009/05/31 20:00
451 村上本はなぜ売れる 居酒屋談義
村上春樹の新刊本「1Q84」が発売され、出版元の新潮社によると発売前からの予約を含めて4刷り、68万部の発行部数になったという。 ...続きを見る

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2009/05/31 11:04
447 旅する巨人 後世への道は
日本中を歩き尽くした歴史上の人物の中で、特に惹かれるのは伊能忠敬と宮本常一の2人である。 ...続きを見る

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2009/05/17 22:35
439 豚インフルエンザの発生 やまない戦争への警告
カミュの「ペスト」は、ペストが大流行したアルジェリアのオランという都市を舞台に、さまざまな階層、職業の人たちが協力しながら、恐ろしい伝染病に立ち向かう物語だ。人類が経験してきた災厄との闘いをモデルにした、これまで読んだ文学作品の中でも極めて印象に残る小説だ。 ...続きを見る

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2009/04/27 22:08
435 ライラックの咲くころ リラ冷えの季節に
近所の庭や遊歩道のわきのライラックが咲き始めた。フランス語ではリラともいうが、渡辺淳一に「リラ冷えの街」という札幌を舞台にした作品がある。 ...続きを見る

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2009/04/22 22:20
431 人間の宝物は言葉 奥田英朗の書きたいこと
ふと手に取った文庫本でも心にしみることがある。それが奥田英朗の「空中ブランコ」だった。変わった精神科医と5人の患者の診療を超えたペーソスとユーモアのある交流につい引き込まれていく。 ...続きを見る

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2009/04/16 23:14
429 桜の木の下の読書 春爛漫の一日
4月に入って好天が続いている。桜の花が長持ちして得をしたような思いをした人が多いのではないか。我が家の庭も春の花盛りだ。チューリップ、パンジー、水仙、石楠花、カイドウにカメラを向けた。 ...続きを見る

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2009/04/12 21:07
428 「一歩進んでも形は変えない」 中国の俳優たちの思い
現代中国には、日本の歌舞伎と似ている京劇があり、新劇のことを話劇というそうだ。 ...続きを見る

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2009/04/08 23:15
427 人間の原罪を問う舞台 劇団四季の「ひかりごけ」
劇団四季の「ひかりごけ」の舞台を見た。日下武史らの4人芝居だ。初めから終わりまで暗い内容で、重い気持ちのまま舞台の4人に見入った。 ...続きを見る

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2009/04/08 13:28
421 哀感あふれる捜査官の回顧録 田宮榮一著「警視庁捜査一課長」
田宮榮一氏が出版した「警視庁捜査一課長 特捜本部事件簿」という本を読んだ。警視庁の鑑識課長を経て、日本の警察の中でも最も激務といわれる捜査一課長を務めた田宮さんが犯罪捜査に取り組む捜査員の姿を中心に、捜査の裏側の実態を哀感込めて振り返った作品である。 ...続きを見る

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2009/03/30 22:36
420 写真とは絵画とは スペインの小説「戦場の画家」
主に登場するのは3人という小説を読んだ。スペインの作家、アルトゥーロ・ペレス・レベルテの「戦場の画家」という作品だ。 ...続きを見る

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2009/03/29 22:32
416 世界頂点の国の崩壊? 本から得る教訓 
奥田英朗が「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞を受賞した。この作品の中には、世界のトップを走っていた米国の経済混迷ぶりを示唆するようなくだりがある。それは豊富な資料を駆使した奥田の作品の奥の深さを示している。 ...続きを見る

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2009/03/21 21:09
411 現代社会の負を強調 湊かなえ「告白」
湊かなえの「告白」は、現代社会のネガティブ面を強調したサスペンスで、救いようがない暗さを秘めた作品だ。 ...続きを見る

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2009/03/12 22:53
405 生と死への問いかけ 天童荒太「悼む人」  
本の題を見ただけでは、内容はなかなか想像できない。しかし、手に取るとその内容の濃さに心がうずく。天童荒太はベストセラーになった「永遠の仔」以来8年ぶりにこの本を出版した。 ...続きを見る

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2009/03/03 21:48
402 語り継ぐべき個人の歴史 城戸久枝「あの戦争から遠く離れて」
かつて、中国残留日本人孤児問題にかかわった。多くの人たちと出会い、苦しみ、悲しみの表情に接した。一方で肉親と再会した喜びの顔にも何度も遭遇した。 ...続きを見る

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2009/02/23 21:46
399 村上流発想の妙 エルサレム賞受賞に思う
私が「エルサレム」という都市の名前を覚えたのは、小学5年生のころだと記憶する。学芸会に「善きサマリア人」という劇を私のクラスが演じた。サマリア人は、イスラエル人とアッシリアからサマリアに来た移民との間に生まれた人々とその子孫のことをいうが、聖書の中に「善きサマリア人」という逸話がある。 ...続きを見る

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2009/02/20 22:11
390 フランス革命から220年 衰退する仏の新聞
フランスのサルコジ大統領が、成人に当たる18歳の誕生日を迎えた市民には、向こう1年間新聞代を無料にするという政策を発表した。大統領は「若いころから新聞を読む習慣をつけないといけない」と語ったというが、若者の新聞離れ現象が日本だけではないことを物語っている。 ...続きを見る

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2009/01/31 12:31
386 一流の島人(しまんちゅう)になりたい
沖縄在住の平田大一さんの「南風(バイカジ)・海風(ウミカジ)に吹かれて」(かんき出版)という本を読んだ。平田さんは、テレビドラマ「ちゅらさん」で有名になった小浜島の出身で、東京の大学を卒業後、沖縄に戻り「島おこし」のためさまざまな活動をする。 ...続きを見る

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2009/01/20 20:15
380 日本が燃えた時代の物語 オリンピックの身代金
東京五輪が開かれたのは、45年前の1964年10月のことだ。日本は敗戦から19年、経済の高度成長時代に入っていた。復活を遂げた日本の象徴がオリンピック開催だった。しかし、東京と地方の格差はこのころから次第に広がっていく。 ...続きを見る

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2009/01/10 18:08
375 この世はすべてよし ブラウニングからの贈り物
2008年の大みそかだ。イギリスの詩人、ロバート・ブラウニング(1812―1889)の詩を多くの人に贈ろうと思う。それは「神は天にあり、この世はすべてよし」である。モンゴメリの「赤毛のアン」のラストに引用されていることでも知られ「ピッパが通る」という劇詩の最後の2行がこの言葉なのだ。 ...続きを見る

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2008/12/31 20:06
374 どこに行く日本
2008年が、このような一年になるとだれが予想しただろう。世界経済の不況によって住む家を失い、明日への希望をなくした人々のニュースが後を絶たない。 ...続きを見る

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2008/12/30 21:04
373 新聞記者の原点 本田靖春著『警察(サツ)回り』
 ある報道機関で社会部記者をした友人がいる。彼の話を耳にたこができるくらい聞いていた私は、この本を読んで知人の若い記者時代を思い出した。ノンフィクション作家として独立するまで本田は読売新聞の社会部記者をしていた。そのスタートは、サツ回りと呼ばれる警察担当だ。 ...続きを見る

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2008/12/25 16:06
372 旅する力 沢木耕太郎の本
沢木耕太郎は26歳のとき、1年間をかけて香港からバスを使ってユーラシアへの旅をした。「深夜特急」というノンフィクションとして作品化されるのは10年後のことで、産経新聞の新聞連載という形だった。 ...続きを見る

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2008/12/21 21:28
369 「悩む力」・「自壊する帝国」 読まず嫌いの本を読む
この種の本とはこれまであまり縁がなかった。人生の生き方を考える本だ。知人の奨めで東大大学院教授の姜尚中(カンサンジュン)氏の「悩む力」を読んでみると、これがけっこう面白い。文字通り考えさせられ、少しだけ後輩の姜氏の思いに共感を持った。 ...続きを見る

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2008/12/10 20:56
364 「おくりびと」で知った死者への礼 本と映画から思う人生模様  
最近読んだ2冊の本「危機の宰相」(沢木耕太郎)、「無人島に生きる十六人」(須川邦彦)と、遅ればせながら見た映画「おくりびと」から、私なりに「人生模様」を考えた。偶然にしても、全く異質の世界の話である3作品から得たものは少なくなかった。 ...続きを見る

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2008/11/29 23:11
359 不思議な村上春樹の世界 ありそうでなさそうな「東京奇譚集」
ノンフィクションの沢木耕太郎と純文学の村上春樹を比較するのは、両者に失礼かもしれない。年代的には2人とも団塊の世代(沢木1947年11月29日生まれ、村上1949年1月12日生まれ)である。 ...続きを見る

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2008/11/17 21:30
358 80日間世界一周 新幹線で読むヴェルヌ
神戸に行ってきた。六甲や郊外は紅葉の季節を迎え、六甲に向かう中高年ハイカーの姿をあちこちで見かけた。行き帰りとも新幹線ののぞみに乗った。往復約6時間余を読書の時間に当てた。 ...続きを見る

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2008/11/16 11:55
356 難しい言葉の遣い方 想像力の乏しい人々
井戸敏三兵庫県知事が関西経済活性化をテーマにした近畿ブロック知事会議で「関東大震災が起きれば相当ダメージを受けるからチャンス。チャンスを生かさないといけない」と、語った−というニュースは、震災で大きな被害を受けた人々もあきれたに違いない。 ...続きを見る

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2008/11/13 16:27
354 詩的な旅エッセー 伊集院静「旅行鞄にはなびら」
風邪が長引き、一日中横になっている。そんな時に手に取ったのがこの本だ。ヨーロッパを中心に、花を求め絵画を鑑賞する旅をテーマにした伊集院静のエッセー集「旅行鞄にはなびら」だ。 ...続きを見る

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2008/11/11 20:50
352 人はなぜ山へ登るのか 沢木耕太郎「凍」を読む
私は登山とは縁がない。山への気持ちは、田中冬二の「山への思慕」という詩程度のものだ。 ...続きを見る

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2008/11/07 21:08
349 繰り返す歴史 塩野七生「ローマから日本が見える」
小さな都市国家だったローマがいつしかヨーロッパを席捲する巨大帝国になり、長い間ヨーロッパの支配を続ける。その歴史を塩野七生は「ローマ人の物語」(全15巻)としてまとめる。その蓄積を背景に古代ローマの攻防の歴史を振り返り、現代日本に対する塩野の見方を示したのがこの本だ。 ...続きを見る

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2008/10/29 21:17
347 エリザベート ハプスブルク家最後の皇女の波乱の生涯
「激動の歴史」という言葉が頭に浮かんだ。塚本哲也の「エリザベート」を読み終えたのは、中国・上海に向かう飛行機の中だった。これから行く中国とエリザベートが生きた中欧は、第二次大戦後、「社会主義」というイデオロギーに翻弄された共通の歴史があるが、いまはそのまま社会主義を歩む中国と、社会主義の呪縛から解放された中欧とはかけ離れた存在だ。 ...続きを見る

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2008/10/27 20:19
339 中欧の旅(10) 名画で読み解くハプスブルク家12の物語 
約650年という長い時代、ヨーロッパに君臨したのがハプスブルク王朝だ。日本では徳川幕府(江戸時代)が264年、足利幕府(室町時代)が237年の長期政権を維持したが、とても及びもつかない。スイスの一豪族が偶然手にした神聖ローマ帝国皇帝という地位から、急成長し、ヨーロッパの歴史に重要な位置を占めるのがハプスブルク家だ。 ...続きを見る

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2008/10/05 21:45
335 中欧の旅(9) 終わりからの旅(辻井喬著) 
今度の中欧の旅は、成田からロンドンを経由してベルリンに入り、帰りはブタペストからロンドン経由で成田に帰るという長時間飛行を余儀なくされるものだった。 ...続きを見る

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2008/09/28 20:31
332 中欧の旅(6) チェコの古城でスリの話
観光地はどこに行ってもスリの目が光っているのは、万国共通だ。日本では浅草や新宿などの繁華街では、いつも危険信号が灯っているといえる。それは、チェコでも同じだった。 ...続きを見る

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2008/09/22 21:30
326 人間の根源とは 東野圭吾・さまよう刃
娘に宿題を与えられた。東野圭吾の「さまよう刃」を読んで、感想を話してほしいと。最近、サスペンスとはあまり縁がない。しかし、あまりにしつこく言うので読み始めた。そうしたらやめられなくなり、一日で読み終えてしまった。 ...続きを見る

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2008/09/06 20:47
324 電車内で立ったままの食事 常識の変化?
地下鉄銀座線の中で、目を疑う光景を見た。新橋から虎ノ門に向かう満員に近い車内で、立ったままの日本人と思われる若い女性がビニール袋からおにぎりを取り出し、食べ始めたのだ。 ...続きを見る

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2008/09/04 17:29
318 8月(10) 戦争絶滅へ、人間復活へ
秋田県横手市在住のむのたけじさんは、93歳の老ジャーナリストである。むのさんは、フリーのジャーナリスト、黒岩比佐子さんとの対談(岩波新書)で「戦争の世紀」といわれた20世紀を中心に振り返り、厳しい視線を私たちに向ける。それは、私にとって目からウロコのような、大先輩の確かな視点なのである。 ...続きを見る

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2008/08/24 22:59
317 8月(9) 近くて遠い旅
作者の坂上弘さんは、1936年の生まれだ。いまでは珍しくはないが、19歳という若さで芥川賞の候補作を書いた早熟の作家だ。ペン1本の道は選ばず、リコーに勤めながら作家活動も続けた。 ...続きを見る

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2008/08/24 19:21
311 8月(3) 名記者からの手紙 
友人から、ある新聞記者の話を聞いた。やや長いがその話を紹介する。 ……………………………………………………………………………………………… 私の所属する社に長く社会部記者をやり、編集委員になって急性の白血病で亡くなった辻山という先輩記者がいた。 ...続きを見る

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2008/08/04 21:47
308 芥川賞「時の滲む朝」 挫折と再生の青春 
中国の地方で育った2人の天安門世代青年の挫折と再生の物語だ。テレビに映し出された戦車の姿を今も忘れることはできない。天安門で学生や市民に銃を向けたケ小平の強硬な政治姿勢は世界に大きな衝撃を与えた。それだけに重厚な作品を想像して手に取った。だが、その想像は外れていた。 ...続きを見る

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2008/07/28 22:05
302 旅の友は文庫本 北海道の夏に読んだ2冊
旅をするときには、必ず文庫本をバッグに入れる。電車や飛行機、あるいはバスの中で読みふけるのが習慣になっている。数日前、北海道を旅して2冊の文庫本を読んだ。 ...続きを見る

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2008/07/21 14:57
300 クラシックとの再会 仕事の合間のコンサート
猛烈に仕事が忙しい時代に、ある交響楽団の定期会員になり、仕事の途中で演奏会に足を運んだ。会場はいつも新宿の厚生年金会館だった。たまに音楽でも聴かないとストレスがたまってしまうと思ったからだ。それが私の場合はクラシックだった。 ...続きを見る

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2008/07/15 22:30
298 「こんにちはアン」 スーパー少女の生い立ち 
現代日本をどのように見たらいいのだろう。戦後の高度経済成長期、バブル経済期までを例えば「ポジティブ日本」と呼ぶなら、バブル崩壊から現代に至るまでの社会は「ネガティブ日本」といえようか。自殺者が10年連続して3万人を超えるという事実はその象徴であり、後ろ向きの社会が続いていることの証のように思えてならない。 ...続きを見る

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2008/07/13 22:03
296 「朝の散歩」 詩人の命の声
友人の詩人、飯島正治さんから最新の詩集「朝の散歩」が届いた。何げない日常を26篇の詩にまとめ、美しい言葉で綴っている。文芸評論家の秋山駿さん流にいえば「生きることを喜び、その喜びを深くするために、愉しんで書いている。愉しく書くそこから、命の声が静かに聞こえる」詩集なのである。 ...続きを見る

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2008/07/09 20:21
293 誘拐捜査 歳月を経て浮かんだ事の深層
日本のノンフィクションで、一連の沢木耕太郎の作品は嫌いではない。「深夜特急」は多くの若者に旅の醍醐味を教えた。沢木に比べると地味なのだが、本田靖春の「事件」を題材にした作品は社会部記者の原点を見るようで、いつも姿勢をただして読んだ。 ...続きを見る

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2008/07/05 11:45
290 人間の尊厳を問うシベリア抑留 辺見じゅん「ダモイ遙かに」
辺見じゅんの「収容所から来た遺書」は、シベリアに抑留され、過酷な強制労働の末に収容所で病死した島根県出身の山本幡男さんの遺書を、抑留仲間たちが暗記したり、ひそかに隠して持ち帰り、遺族に届けるというノンフィクションだ。辺見はこの作品を「ダモイ遙かに」という小説に書き改め、最近新興の出版社、メディアパルから出版した。知人推薦の一冊であり、読後、人間の生と死のはかなさを思い「人間の尊厳とは何だろう」と考えた。 ...続きを見る

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2008/06/28 22:00
289 けやきと映画と本の話 「奇跡のシンフォニー」「30%の幸せ」
最近、涙もろくなった。本を読み、映画を見ては涙ぐむことが多いのだ。アメリカ映画「奇跡のシンフォニー」は、孤児院で育った音楽の天才少年が実の父、母に巡り会うまでの話である。そのストーリーは他愛ないといえばそれまでなのだが、子どもが見ても楽しめるようにつくられていて、映画とは分かっていてもついほろりとしてしまうのだ。モーツアルトの再来を思わすような少年が周辺にいたらどんなに人々の心を明るくさせてくれるだろうかと思う。音楽が極めていい。 ...続きを見る

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2008/06/26 21:22
288 方丈記の時代と変わらぬ世の無常  10年連続自殺者3万人
最近の新聞報道によると、2007年1年間の自殺者は3万2000人になるという。日本の自殺者は1998年以来、10年連続で3万人を超える異常事態だ。G8ではロシアに次いで高く、世界でも9位というから、日本社会が生きるうえでつらい社会になっていることは間違いない。こんな暗いニュースに接すると、つい鴨長明の「方丈記」を読み返してしまう。 ...続きを見る

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2008/06/25 20:55
287 先人たちの生きる知恵 映画「西の魔女が死んだ」に思う 
児童文学者である梨木香歩の「西の魔女が死んだ」が映画化された。学校に行くことができなくなった少女がイギリス人のおばあちゃんと自然の中で暮らし、魔女修行の手ほどきを受けるストーリーだ。登場人物が少なく、映画化できるのかと思っていたが、原作にはいない人物も配置され、ゆっくりとした展開とふんだんに出てくる緑がしたたるような自然が美しく、原作を読んだときと同じように、気持ちが和んだ。 ...続きを見る

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2008/06/22 18:40
286 だれにでもある原風景 「海に帰る日」
原風景はだれでも持っている。その育った環境、その人の感性によって大きく異なる。海辺近くに住んだ人は、海での出来事が原風景になっているかもしれない。山や川を間近に育った人は、そうした自然環境での体験が心に残っているだろう。 ...続きを見る

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2008/06/21 21:12
281 パーキンソン病に侵されても 言葉−解体することなく
いつもまぶしい存在と思っていた同年代の1人が難病のパーキンソン病に侵され、職場を去ってからかなり時間が経過した。病と闘いながら原稿を書き続けていると聞いていたが、つい最近、彼から「言葉−解体することなく」という本が届いた。それは20数編のエッセーをまとめた123頁の薄い一冊だった。著者は伊佐木健さん。私と同時代を歩んだエッセーは、どれもが輝きを持っていて、いとおしさとノスタルジアを感じながら頁をめくった。 ...続きを見る

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2008/06/07 21:21
279 それぞれの人生 「畑・歌・本」と
周囲には人生経験豊かな面白い人たちがいる。たまたま、最近知り合いになった2人と酒を飲んだ。同じ時代を歩んだはずだが、2人の話を聞いて私に比べてゆとりを持って生活を楽しんでいると思ったものだ。先月、団塊世代を対象にした広告会社マッキャンエリクソンの「定年後奥さんを頼りにする依存夫と、そうではない自立夫の割合は6−4だった」という調査結果を紹介した。2人はこれに当てはめると、自立夫の代表だろう。 ...続きを見る

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2008/06/03 21:15
278 ひとすじの道 医師たちの苦闘
イギリスの作家でA・J・クローニンを知っている人は少なくなったかもしれない。医師として歩んだクローニンは、いつしか文学に志し、イギリスのベストセラー作家になる。 ...続きを見る

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2008/06/02 22:03
274 最も大事な本3冊は? 村上流翻訳術
作家であり翻訳にも力を入れている村上春樹は、これまでの人生で巡り合った最も重要な本を3冊上げろといわれたら、答えは決まっているという。スコット・フィッツジェラルド「グレート・ギャッビー」、ドストエススキー「カラマーゾフの兄弟」、レイモンド・チャンドラー「ロング・グッドバイ」の3作品だ。 ...続きを見る

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2008/05/23 21:55
269 息を聴け 熊本盲学校の音楽への挑戦
視覚に障害のある音楽家は少なくない。バイオリニストの和波孝禧と川畠成道は豊かな才能に恵まれ、第一線で活動を続けている。2人の演奏をテレビで聴くと(正確には見たというべきか)ただ感嘆するばかりだ。 ...続きを見る

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2008/05/08 21:48
268 ゆっくり読みなさい 光の指で触れよ
玄関を開け、朝の澄んだ空気を味わいながら新聞受けの新聞を取りに行く。一面から社会面までざっと目を通し、気になる記事を読み返す。これが毎朝の習慣。 ...続きを見る

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2008/05/06 10:20
266 連休の朝に へそ曲がりの犬と
庭のハナミズキが雨に打たれている。白い花弁は散る寸前だが、もう一度青空を見ようと頑張っている。人影のない遊歩道には、降り続けた雨水が川のように流れている。 ...続きを見る

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2008/05/03 10:33
264 少年時代のひた向きさ 集中するということ
佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」が、多くの読者の支持を得ているのは、陸上競技にかける若者たちのひた向きさ、さわやかさが伝わるからなのだろうか。 ...続きを見る

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2008/04/29 21:20
262 そうか、もう君はいないのか 城山三郎の喪失感
出会いと別れは人生には付きものだ。それが人生だとしても、だれもが別れの悲しみは味わいたくないと思う。 ...続きを見る

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2008/04/24 22:53
261 1本のチューリップで逮捕 レ・ミゼラブルとの違いは
ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」は、1本のパンを盗んだとして19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を描き、日本では「ああ無情」で知られる。 ...続きを見る

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2008/04/21 22:33
259 現代中国の救世主と守護神の生涯 ケ小平秘録
この夏、北京五輪が開催される中国は共産党独裁が続く中で、驚異的な経済発展を遂げている。中国を今日の繁栄へと導いたのは、ケ小平だった。 ...続きを見る

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2008/04/17 22:49
254 栄枯盛衰を現代訳で 吉村昭の平家物語
吉村昭は、新聞記者以上に深い取材を重ねて小説を書いた。フィクションの形をとってはいるが、ノンフィクションとの境界すれすれの作品が多かったと思う。その吉村昭が琵琶法師によって語り伝えられたといわれる軍記「平家物語」を現代訳にしたのがこの作品だ。 ...続きを見る

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2008/04/08 21:25
252 赤毛のアン100年 周囲を明るくさせる個性
つい最近まで、私の近くにカナダのL・M・モンゴメリの小説『赤毛のアン』をほうふつとさせる人がいた。本人はそのことには気づいていないかもしれない。あるいは、アンの生き方を指針にしていたのかもしれない。 ...続きを見る

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2008/04/05 21:55
249 ある転勤 裁判官故郷へ
知り合いの裁判官が1日付で関東地方の裁判所から、故郷である関西の裁判所に異動した。関西地方で弁護士をしていた彼は「弁護士任官制度」により、裁判官になった。 ...続きを見る

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2008/04/01 21:10
247 犬と10の約束 戸惑う理由
いま、犬と飼い主の心の通い合いを描いた映画「犬と私の10の約束」が上映されている。映画や原作の本によると、犬を飼うに当たって10の戒め・注意があるという。そのやってはならない戒めの一つを私は破ってしまい、しばらくの間、犬の顔を見るのがつらかった。 ...続きを見る

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2008/03/28 22:48
246 731部隊の闇 取材の深さを示した青木冨貴子の作品
もう20数年前になるが、中国東北部各地を旅したことがある。かつて満州といわれ、日本とは縁が深い地域だ。北京から飛行機で大連に行き、その後は列車の旅だった。中でもハルビン郊外の731部隊の跡地を案内されたときの気持ちは暗かった。 ...続きを見る

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2008/03/24 21:13
245 背伸びした少年時代 「ライ麦畑でつかまえて」
不可思議というのか、作者は何を言いたいのか理解しにくい作品がJ.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」(白水ブックス、野崎孝訳、The Catcher in the Rye)だ。昔読んだものをあらためて読み返す。1951年の作品だが、背伸びした少年の姿はいまとあまり変わらない。 ...続きを見る

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2008/03/23 21:58
243 ある団塊の世代の転身 活字から語りの世界に
誠実を絵に描いたような男がいる。その生き方は真っ直ぐで、その姿を見る度に清々しさを感じる。定年を機に「メディアつれづれ帖」(株式会社虔発行)という本を出版した角田光男氏だ。 ...続きを見る

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2008/03/16 21:20
236 映画「明日への遺言」 信念貫いた高潔な人間像  
小泉堯史監督は、文学の秀作をじっくりと映画化するのが特徴といえる。「阿弥陀堂だより」(南木佳士)、「博士の愛した数式」(小川洋子)、今度の「ながい旅」(大岡昇平)からの「明日への遺言」。共通するのは静かな語りかけだ。 ...続きを見る

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2008/03/02 21:35
233 小説に集中した週間 女性作家が面白い
このところ旅をする機会が多く、連続して小説を読んだ。佐藤多佳子の「しゃべれども しゃべれども」、加納朋子「てるてるあした」は、作者が女性、題名が平仮名と共通点があり、文章のうまさ、構成の確かさも際立っていた。 ...続きを見る

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2008/02/22 21:34
230 冷静、実証的な東京裁判論 不毛な論争に一石
「東京裁判」と聞くと、「A級戦犯」「靖国合祀」という言葉を連想するはずだ。そして、戦勝国が戦争に敗れた日本の指導者を裁いたもので、到底受け入れることはできないという反発も強い。軍国主義を裁き、戦後の民主化のために寄与したという肯定論もある。 ...続きを見る

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2008/02/16 12:55
227 人間としての魅力 半藤一利の「山本五十六」
山本五十六は、「悲劇の海軍大将」といわれる。太平洋戦争の開戦に反対しながら、戦争へと突き進む時代の潮流に飲まれ、短期決戦を目指して「真珠湾奇襲戦」を成功させる。 ...続きを見る

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2008/02/10 18:59
225 母(かあ)べい 懸命に生きた一家の物語
日中戦争から太平洋戦争。昭和20年8月15日で、戦争は終わった。その時代を生きた一家の物語だ。 ...続きを見る

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2008/02/04 23:10
222 「野性の呼び声」  リズム感あふれる名訳
ジャック・ロンドンのこの作品は、いまや古典の部類に入るのだろうか。訳者の深町眞理子のリズム感あふれる日本語は、過酷な運命を生きるバックを現代に甦らせた感さえ抱く。 ...続きを見る

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2008/01/26 23:17
220 赤い諜報員  ゾルゲ・尾崎秀実・スメドレー
先週の新聞に小さな記事が載った。気をつけてみないと見逃してしまう。見出しには「ロ側から400万円 内調職員」とあった。いわゆるスパイ事件の報道だった。 ...続きを見る

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2008/01/20 21:56
213 「君のためなら千回でも」 凧揚げの風景に思う
「君のためなら千回でも」という翻訳小説(早川書房刊、カーレド・ホッセイニ著、佐藤耕士訳)がいま売れているという。恋愛小説のような題名だが、戦火に包まれたアフガニスタンとアメリカを舞台に、少年時代に親友を裏切りその人生を破壊した男が償いのためアフガンへと旅立つ物語だ。 ...続きを見る

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2008/01/04 21:44
209 アイ・アム・レジェンド 疑問多いSF映画
東京駅近くの国際フォーラム広場のあちこちに「地球上に人間は一人だけになった」と大書された映画のポスターが掲示されている。いま上映中のウィル・スミス主演の「アイ・アム・レジェンド」の宣伝ポスターだ。 ...続きを見る

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2007/12/27 21:00
208 熱球 国語審議会その他
新聞の読書欄は、書評担当委員が選ぶことし出版された本のベスト3というような特集を組んだ。12月恒例のもので、書評委員の好みがはっきりしていてなるほどと思う。だからといって、読んでみたいと思った本は少ない。私が12月に入って読んだ中でも当たり外れがけっこうあった。 ...続きを見る

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2007/12/26 22:38
203 「マリと子犬の物語」&「さくら」 映画と小説で活躍する犬たち 
自宅で犬を飼っていることもあって、犬が重要な役割を占める映画や小説にすぐに目が行ってしまう。中越地震の際の実話を基にした映画「マリと子犬の物語」を西加奈子の小説「さくら」は、映画と小説の違いはあっても犬が準主役の物語であり、私の興味の対象になった。 ...続きを見る

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2007/12/18 21:09
199 時代を映す作品集 小説とノンフィクションと
バイオリズムは「体調の波」という意味に使われることが多くなった。私の場合、この体調の波は、週後半に大きく下降線をたどるのが通例のようになっている。そんな時には、難解な本を手にとっても内容はなかなか頭に入らない。 ...続きを見る

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2007/12/01 18:35
196 遠別少年(坂川栄治著) 透明な静けさの物語
13の短編集の中に「山おっちゃん」という話がある。幼いころに病気で耳が聞こえなくなったおじさんの思い出を描いたかつてはどこにでもあったような、郷愁あふれるストーリーだ。最後の一節がとても気になった。 ...続きを見る

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2007/11/22 21:14
193 有頂天家族(森見登美彦著) 狸一家の抱腹絶倒の物語
登場するのは狸に天狗に人間たち。善玉狸と悪玉狸一家の攻防を軸に、作者は想像をたくましてして、ストーリーを展開していく。複雑化した現代にあって、狸や想像上の怪物・天狗が人間の世界に入り交じって生活しているとしたら、考えるだけでも愉快である。 ...続きを見る

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2007/11/16 10:08
189 文章の磨き方 書くことが大事(辰濃和男著)
文章を書くことは難しい。では、どうしたら簡潔な文章が書けるのか。そうした疑問に答えるのがこの本(岩波新書)だ。作者の辰濃和男は、朝日新聞の一面コラム、天声人語を13年間にわたって書き続けた名文記者だ。 ...続きを見る

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2007/11/06 19:11
186 「暴走老人」(藤原智美著)考  青木の一途さに脱帽
いま、「新老人」という言葉が使われている。各地で老人たちがキレた末に、暴力を振るうケースが跡を絶たないのだ。殺人を犯す老人もいる。自分を抑えることができずに暴走して、事件を起こす。そこまでは至らないものの、公共の場で、あらゆる醜態を見せる老人たちを「新老人」というのだそうだ。 ...続きを見る

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2007/10/28 20:59
185 野間文芸賞 「ノルゲ」 佐伯一麦のノルウェーの四季 
このようにして、ゆったりとした時間を送る日本人もいる。それが私小説作家、佐伯一麦の近著「ノルゲ」(ノルウェー語でノルウェーのこと)に登場する作家だ。6年をかけて書いたというだけに、分厚い小説だ。佐伯に対する冒涜かもしれないが、私はそれを数日で読み終えてしまった。 ...続きを見る

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2007/10/26 21:45
182 『川の光』 大人も読める寓話(松浦寿輝著)
この土日は穏やかな天気に恵まれ、のんびりと犬と自宅周辺を散歩した。森を切り崩して大規模な住宅街を造っている地区があり、ここに棲んでいた動物たちはどうしただろうかと思った。この街に住んで20年になる。宅地開発のために山が切り崩され、緑は私が移り住んだ当時より格段に少なくなった。 ...続きを見る

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2007/10/21 21:15
180 疲れないための読書法 頭を休める本を選ぶ
読書の秋である。書店に入って、これはと思う本にめぐり合ったときのときめきはだれでも味わったことがあるだろう。そんな本に最近出会い、いま読んでいる。この本については、次の機会に記すとしよう。きょうは、疲れないための読書法についてのうんちくである。 ...続きを見る

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2007/10/16 23:00
176 世界遺産第1号「姫路城」 司馬遼太郎の世界を思う
「うーん」とため息をついた。何とも言いがたい感情だ。昨年3月に訪れたドイツのノイシュバンシュタイン城を連想した。いつでも行けると思いながら、これまで行くことがなかった国宝、姫路城についに立ち寄った。 ...続きを見る

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2007/10/11 22:33
172 小説『どろがめ』 あるクリスチャンの波乱の生涯
この世にはいろいろな人間がいる。そしてすべて個性が違う。だが、この小説の主人公である「どろがめ」こと「亀松」のような、魅力あふれた人物はそうはいない。(「どろがめ」は燦葉出版社刊) ...続きを見る

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2007/10/04 21:35
171 面白い小説を読む楽しみ 辻原登「ジャスミン」
中国・上海と神戸を舞台に、スケールの大きく読み応えのある小説を読んだ。登場人物も魅力があり、男女の愛や日中の歴史、さらに阪神大震災も登場して、物語がどのように進むのか、小説を読みながらハラハラドキドキするという、久しぶりの興奮を味わった。 ...続きを見る

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2007/10/01 18:12
169 「ロッキード秘録」 政治とカネの原点
政治とカネは、いつの時代でも議論の的になる。今回の安倍政権のわずか1年での崩壊も背景にはこの問題があり、戦後の政治の世界も同様だった。そして、顕著な例は「ロッキード事件」だった。 ...続きを見る

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2007/09/26 20:46
167 カフカ・変身を読む 非日常的ながら現実を投影
周囲に読書好きがいて、ある日「カフカを読みませんか」と、手渡されたのが「変身」(白水Uブックス・池内紀訳)だった。いまさら変わった作品で知られるカフカでもあるまいと、数日放っておいた。 ...続きを見る

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2007/09/19 21:54
165 小説から学ぶ人間の根源 アフリカの瞳 わたしを離さないで
全く分野が異なる2つの小説を読んだ。アフリカを舞台に、日本人医師がエイズと闘う小説『アフリカの瞳』(帚木 蓬生 著)と、臓器を提供するために生まれてきたクローン人間の青春を描いた『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ著・翻訳本)である。 ...続きを見る

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2007/09/15 22:12
157 『にんじん』を読む 残酷な少年の物語
なぜか本棚にあった古い文庫本を手に取った。紙にはしみが入っている。もう何十年も前に買った本だ。フランスの作家、ジュール・ルナールの『にんじん』だった。 ...続きを見る

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2007/08/23 21:34
151 翻訳小説に浸る 週間読書日記
このところ、なぜか翻訳小説に凝っている。旅の友はこうした外国小説の文庫本だ。最近読んだのは@テリー・ケイ「ロッティー、家(うち)へ帰ろう」Aカズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」Bステーヴン・キング「トム・ゴードンに恋した少女」Cケン・グリムウッド「リプレイ」−の4冊だ。 ...続きを見る

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2007/08/12 21:12
147 「戦争紀行」3 時代を超えて
「戦争紀行」の続き(完) ...続きを見る

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2007/07/27 21:38
146 「戦争紀行」2 学生兵士の体験とは
前回の「戦争紀行」の続き。 ...続きを見る

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2007/07/27 21:33
145 「戦争紀行」 日中戦争の実相を描く本 
「戦争紀行」(発行・いりす、発売・同時代社、2500円)という本がこの8月出版された。この本の出版にかかわり、解説めいたことを書いた。この本は、昭和の中でも大きな歴史に位置付けられる日中戦争がテーマだ。著者の杉山市平氏は既に故人だが、学生時代に召集され、3年半にわたって中国で兵隊生活を送った。その戦争体験記である。以下に「戦争紀行」のあとがきとして書いた文章を一部割愛して紹介する。 ...続きを見る

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2007/07/27 21:20
122 バラの街 福山城が目の前に
バラは世界共通の花である。その種類の多さは他の花を格段に引き離している。野ばらは別にして、病気に弱く、手間がかかる花であるにもかかわらず、愛好者が多いのは、やはりその美しさゆえであろうか。狭い庭にバラを植えてもう何年になるのだろう。手入れ次第で花の付き方も違ってくる。ことしはつるバラが元気だ。 ...続きを見る

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2007/05/22 21:15
116 私が住んだ街7・仙台編続き 新緑の季節
新幹線網が北海道を除いて日本列島に敷設された。旅行者には大変便利な世の中である。 ...続きを見る

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2007/04/30 21:53
114 私が住んだ街6・札幌 優しい人々
札幌人気質という本がある。いまから約5年前に北海道新聞社から発行された「さっぽろ文庫」シリーズの99冊目の本である。 ...続きを見る

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2007/04/18 21:23
111 近衛文麿とは 彼はなぜ自殺したのか
戦前、3回にわたり首相の座に座り、敗戦後GHQの呼び出しの動きを知って青酸カリで服毒自殺した近衛文麿。これまで「優柔不断」「太平洋戦争を阻止できなかった男」というイメージが強かった。 ...続きを見る

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2007/04/15 21:10
102 映画は小説を超えられるか 「バッテリ」ーを見る
児童文学者・あさのあつこの野球小説「バッテリー」が映画化された。小説は文庫本として第5部まで出版され、超がつくベストセラーになった。完結編の第6部も近日発売になる。天才投手と捕手の友情や病身の弟を抱える投手の家族の問題を描いた児童文学だ。 ...続きを見る

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2007/03/30 22:15
101 ロング・グッドバイ 村上春樹の名翻訳
翻訳小説はあまり読まない。その理由は文体がいわゆる翻訳調のため、なじめないからだ。そうした先入観を打ち消してくれたのが、村上春樹が翻訳したこの小説だ。 ...続きを見る

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2007/03/29 20:45
95 医師群像 ひた向きに患者に向かう
江戸時代に活躍した相撲の名大関「雷電」を主人公にした飯嶋和一の「雷電本紀」は、いつになっても色あせしない小説だ。 ...続きを見る

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2007/03/19 21:17
88 少年がいない国  ある医師の解説より
医師であり、エッセィストの海原純子さんを時々テレビで見かける。テレビで訳知り顔で、コメントを話す人種はあまり信用できないと常日ごろ思っている。彼女もその1人だと分類をしていた。 ...続きを見る

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2007/03/06 21:21
87 ドイツの犬はなぜ吠えない?
日本のペット数は増える一方のようだ。しかし、ドイツに比べればまだまだらしい。日本では100人に対し犬の数は2・2匹だが、ドイツは5・5匹だ。犬の数が多いにもかかわらずドイツの犬は、人間に対してあまり吠えることはないという。 ...続きを見る

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2007/03/05 13:32
84 空をつかむまで 現代児童文学を読む
かつて児童文学の道を志した。挫折した結果、事実を直視するペンの道を選んだのだが、時折、児童文学を読む。関口尚のこの小説は坪田譲治文学賞に選ばれた優れた作品だ。読後、このように爽快感を得ることができたのは久しぶりのことだ。 ...続きを見る

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2007/02/27 22:29
77 空飛ぶタイヤ 企業社会の病理を描いた小説
新聞の朝刊を開く。毎日のように社会面の下に企業の「おわび広告」が掲載されている。多い日は、8社のおわび広告が社会面と第2社会面の下の広告欄をすべて占めてしまった。これは何なんだと思う。 ...続きを見る

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2007/02/15 21:54
75 フラガール もったいない図書館 2つの奇跡
これから紹介する2つのエピソードは「奇跡」と呼んでいいだろう。映画「フラガール」が第49回ブルーリボン賞で作品賞、主演女優賞(蒼井優)助演女優賞(富司純子)の3冠を達成した。さらにキネマ旬報の「第80回キネマ旬報ベスト・テン」(2006年日本映画ベスト・テン)でも1位になった。 ...続きを見る

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2007/02/10 22:39
67 「イスラーム帝国のジハード」  「興亡の世界史」を読む
講談社の「興亡の世界史06」として刊行された「イスラーム帝国のジハード」(小杉泰著)は、「イスラム」の複雑な歴史を描き、最近「聖戦」と訳される「ジハード」についても詳しく触れている。 ...続きを見る

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2007/01/19 13:18
66 千の風になって  ある墓碑銘
一昨年秋、家から徒歩圏に自分の墓を買った。ここを決めるまで紆余曲折があった。生まれ故郷に先祖伝来の墓があるのだが、やはり近くの方がいいと思い、ここに決めた。 ...続きを見る

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2007/01/16 23:26
64 昭和史 戦後篇を読む
きょう、防衛庁から昇格した防衛省が誕生した。戦後は遠くなりにけりの印象だ。 ...続きを見る

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2007/01/09 22:33
61 平和の代償 塩野七生の本音
「ローマ人の物語」(全15巻)を書いたイタリア在住の作家、塩野七生(しおのななみ)が、テレビ番組で作家の五木寛之と対談し、現代日本の世相について触れ「いま様々な問題が起きているのは平和の代償だ」と話していたことが頭から離れない。 ...続きを見る

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2007/01/06 21:14
59 風を切って走れ 賢治の世界は永遠に
穏やかな天候の正月だ。散歩も気持ちがいい。「hana」の散歩を早い時間にやり、恒例の東京−箱根間大学駅伝をテレビでじっくり見た。 ...続きを見る

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2007/01/02 20:59
56 へそ曲がりが好き2
世の中には、へそ曲がりはいるものだと思う。しかし、そうした人の方が実はまっとう(健全)な精神状態を保持しているのある。 ...続きを見る

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2006/12/26 22:34
55 藤沢周平未刊行初期短篇 荒削りな魅力
「幻の短篇 書庫の片隅に眠っていた 無名時代の未刊行作品14篇。40年の時を経て今、甦る」と、帯に書いてある。 ...続きを見る

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2006/12/21 22:04
53 硫黄島(続) 戦争を直視
硫黄島を含め、太平洋戦争で米軍が日本向けに途中から多用したのは、火炎放射器だった。塹壕、ジャングルに隠れた兵隊だけでなく、沖縄では非戦闘員の一般市民にまで無差別にこの兵器を使い、焼き殺した。 ...続きを見る

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2006/12/12 21:50
50 歓喜する円空 名僧の生涯に光
梅原猛の「歓喜する円空」(新潮社、382頁)は、各地に多くの円空仏を残しながら、あまり評価をされなかった円空に、真正面から光を当てた作品である。 ...続きを見る

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2006/12/09 13:41
48 昭和史 過信と狂信の日本人
友人の父親が書いた日中戦争の記録を読んだ。昭和史の中でも、大きな位置を占める日中戦争に学生の身で従軍した記録である。 ...続きを見る

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2006/11/30 18:21
46 『ららら科學の子』
第17回三島由紀夫賞を受けた矢作俊彦の小説『ららら科學の子』の映画化が決まったという。題名は手塚治虫の漫画を原作にしたアニメ「鉄腕アトム」の主題歌の一節をとったものだ。 ...続きを見る

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2006/11/25 22:36
42 深まる秋
暦の上では冬に入っている. 私の散歩コースである遊歩道は「深まる秋」一色という気配だ。このところの冷え込みで、けやきの葉は一段と色づき、強い風に吹き飛ばされていく。木の葉を集める人の姿も目に付くようになった。好天の日は散歩をするのに最高の季節だ。 ...続きを見る

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2006/11/14 19:31
41 マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと
  犬は、飼い主に対し強い愛情と忠誠心をもつといわれる。それが本当がどうかは、一度犬を飼った経験がある人にはわかるはずだ。この本(早川書房刊)は世界一おバカというほど、やんちゃで圧倒的なエネルギーを持つアメリカ・ラブラドールの「マーリー」(雄)と13年間暮らした思い出をつづったエッセーである。 ...続きを見る

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2006/11/13 15:30
40 漫画家の死
漫画家のはらたいらさん(本名・原平)が亡くなった。63歳であり、現代では短い一生だったといえるだろう。 ...続きを見る

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2006/11/10 21:37
38 自然の脅威(続)
北海道佐呂間町の竜巻被害は、自然の脅威を示している。亡くなった9人の方に哀悼の意を表したい。 ...続きを見る

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2006/11/08 18:44
37 秋の色
けさ(6日)は、かなり濃い霧が立ち込めていた。散歩をしていても、周りの景色がよく見えないほどだった。 ...続きを見る

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2006/11/06 11:06
36 学校評価
東京都足立区教委が区立の小中学校に配分する来年度予算で学力テストの成績に応じて各校の予算枠に差をつける方針を固めたという新聞記事を読んで、教育もここまで来たかという印象を持った。 ...続きを見る

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2006/11/04 21:52
26 硫黄島の星条旗
 今月下旬、アメリカの映画「父親たちの星条旗」が日本でも封切りになる。 ...続きを見る

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2006/10/14 20:53
16 へそ曲がり・頑固が好き
知り合いに、自称「無頼記者」を名乗るへそ曲がりの人の本が面白いので、読むように薦められた。 ...続きを見る

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2006/09/25 22:11
13 赤毛のアンは文化遺産
カナダの作家、L・Mモンゴメリの小説「赤毛のアン」をいまごろになって、読み返した。 ...続きを見る

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2006/09/21 13:39
12 神様は海の向こうにいた(2)
神様は海の向こうにいたの中で、私の姉が書いた作品を紹介します。 ...続きを見る

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2006/09/20 12:23
10 神様は海の向こうにいた(1)
「神様は海の向こうにいた」という題のついた戦争体験集を読みました。 ...続きを見る

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2006/09/18 21:10
08 奇跡の図書館
福島県の矢祭町という名を聞いたことがあるだろうか。福島県と茨城県の県境に位置した人口6985人(9月1日現在)の小さな町である。 ...続きを見る

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2006/09/16 21:15

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