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zoom RSS 1546 再読『一九八四年』 全体主義の芽がそこに…

<<   作成日時 : 2017/02/18 17:42   >>

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 北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏がマレーシア・クアラルンプール空港で暗殺された事件が国際的波紋を呼んでいる。北朝鮮による多国籍の人間を使った請負殺人との見方も出ている。国際空港を舞台にした事件は、全体主義国家の恐怖を描いた英国の作家、ジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』の世界が再現されたようで、暗い気持ちになる。

 以前のブログにも書いているが、オーウェルがこの小説を書いたのは米ソ冷戦が始まった直後の1948年のことである。この作品は、歴史の改ざんを業務にしているウィンストン・ スミスという男を主人公に、ビッグ・ブラザーという独裁者率いる党が支配する、近未来の全体主義国家の姿を描いたものだ。当時の米ソ冷戦下の世界情勢を風刺し、全体主義国家(当時のソ連)の怖さ、陰湿さを読者に印象づけた。この作品の発表から69年になるが、世界は依然不安定で、よくない方へと動いているといっていい。

 スミス自身は、何でも服従の体制に疑問を感じ、ジュリアという美しく奔放な女性と人目を避けて恋愛関係を続け、彼女とともに反政府地下活動へと走ろうとする。それを導いた男が、実は反体制派を装った全体主義国家の体制派だったことから、スミスとジュリアは囚われてしまい、暗い結末を迎える。

 全体主義(totalitarianism)は、「個人に対する全体(国家・民族)の絶対的優位の主張のもとに諸集団を一元的に組み替え、諸個人を全体の目標に同動員する思想および体制」(広辞苑)であり、全体主義国家は「全体主義を原理とする国家。多くは一国一党制をとる」(同)国のことである。現代でいえば、その典型は北朝鮮になる。そして「自由」という概念は存在せず、国民はオーウェルが描く世界とあまり差がない生活を強いられている。

 近代の地球は、全体主義で覆われていた。ヒトラーのドイツ、ムッソリーニ―のイタリア、戦前の日本、スターリンのソ連、毛沢東の中国、金日成の北朝鮮、チャウシェスクによるルーマニア……と枚挙にいとまがない。これらはほとんどが崩壊し、共産党の一党独裁体制が続く中国は開放経済によって国民生活は大きく変化した。しかし、北朝鮮はいまも独裁国家としての道を歩み、金正恩委員長は意に染まない側近を次々に処刑するという残忍さを内外に見せ、現代の暴君ぶりを発揮し続けている。

 一方、米国の新しい大統領、トランプは自分に不都合なニュースを流すメディアを偽ニュースとののしるなど、こちらも暴君的言動が目につく。さすがに米国のメディアは、トランプ氏の言いなりにはなっていないから、暗黒社会へと転換することはないだろう。最近『一九八四年』の本が全米で売れているという。それは、トランプ氏に独裁者としての素質があることを米国民が不安に思っている表れなのかもしれない。

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