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zoom RSS 1544 異質さを認め尊重する手がかり トランプ時代の『アンネの日記』の読み方

<<   作成日時 : 2017/02/05 15:53   >>

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「人間相互の“異質さ”を認めあい、尊重しあうための手掛かりとして読んでいただければと思う」。翻訳者、深町眞理子は、『アンネの日記 増補新訂版』(文春文庫)のあとがきで、こんなことを書いている。イスラム圏7か国出身者の入国禁止令を出して物議をかもしているトランプ米大統領の姿を見ていて、この本を読み返した。

『アンネの日記』は、ナチスの迫害を逃れ、オランダ・アムステルダムの街中にある住宅の隠れ家で両親や姉ら8人で息の詰まるような潜伏生活を続けた2年間(アンネ13歳〜15歳)の記録(日記)である。8人はだれかの密告によって連行され、生き残ったのはアンネの父のオットー・フランクだけだったことはよく知られている。

 深町によれば、当初アンネの日記はユダヤ人迫害についての教科書として、人種差別反対のためのバイブルとして読み継がれてきた。しかし日記は人間アンネの実像(率直で激しい気性、鋭い人間観察と批判精神、この年頃の少女としてはごく自然な性への関心)をくっきり浮き彫りにしており、そして異質さとどう向き合うかを考えさせられるのである。

 この地球には様々な人間が住んでいる。グローバル化とはまさに異質さとの融合ではないだろうか。しかし、トランプ氏は米国第一主義を掲げ、次々に発令する大統領令によって米国優先の政策を実現しようとしている。その姿は異質さを排除するもので、アンネら世界の多くの人々が苦しんだ暗い時代の再来かと憂える。

 アンネは、最後の日付のひとつ前の日記(1944年7月15日=土曜日)で、当時の心境を記している。

「わたしには、混乱と、惨禍と、死という土台の上に、将来展望を築くことなどできません。この世界が徐々に荒廃した原野と化してゆくのを、わたしはまのあたりに見ています。つねに雷鳴が近づいてくるのを、いつの日かわたしたちをも滅ぼし去るだろういかずち(雷のこと)の接近を、いつも耳にしています。幾百万の人びとの苦しみをも感じることができます。でも、それでいてなお、顔をあげて天を仰ぎみるとき、わたしは思うのです――いつかはすべてが正常に復し、いまのこういう惨害にも終止符が打たれて、平和な、静かな世界がもどってくるだろう、と。それまでは、なんとか理想を保ちつづけなくてはなりません。だって、ひょっとすると、ほんとうにそれらを実現できる日がやってくるかもしれないんですから」

 米ニューヨーク連邦地裁は、7か国からの入国禁止令を一時差し止める判断をした。トランプ氏が「いかずち」になってしまうことを防ぐ動きが米国内外で起きている。一方で、わが国の首相は、蛇に睨まれた蛙のように「おっかなびっくり」の姿勢が見え見えだ。

『アンネの日記』にはこんな言葉もある。「勇気を持ちましょう!ユダヤ人としての使命をつねに自覚し、愚痴は言いますまい。解決のときは必ずきます。神様はけっしてわたしたちユダヤ人を見捨てられたことはないのです。多くの時代を超えて、ユダヤ人は生きのびてきました。そのあいだずっと苦しんでこなくてはなりませんでしたが、同時にそれによって強くなることも覚えました。弱いものは狙われます。けれども強いものは生き残り、けっして負けることはないのです!」

 この精神は現代にも通用するはずだ。

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